「オーラルケア=虫歯予防」の認識に落とし穴が!?口腔環境による全身への影響についてみずた歯科医院理事長の楊先生にお話を伺いました。
『オーラルケア=虫歯予防のため』の認識だと、落とし穴が?!
実は口腔環境は全身に広く影響するんです。
今回は、みずた歯科医院 理事長の楊義弘先生にお話を伺いました。
口腔環境・・・実はさまざまな疾患と関係あり!
口は全身の健康の入り口といわれていて、近年口の健康が全身の健康や病気の予防に密接に関わっていることが示されてきています。
オーラルケアは歯や歯茎のみの手入れを意味するデンタルケアとは異なり、歯や歯茎だけではなく、舌、口腔粘膜、口腔周囲筋などを含む口腔全般のケアを指します。
虫歯や歯周病の原因である口腔内細菌は間接的にも含め、さまざまな全身疾患と関与していることがわかっています。
1:糖尿病
歯周病は糖尿病の合併症の一つといわれています。
糖尿病になると細菌に対する抵抗力や組織の修復力が低下し、口腔内乾燥などにより歯周病の悪化に繋がったり、高血糖による血管損傷によっても歯周病が悪化しやすくなります。
逆に歯周病になることによって歯肉の中でつくり出される炎症物質が血液を介して血糖値を下げるインスリンの効きを悪くすることも報告されています。
口腔内環境を整えることで血糖値のコントロールが良好になることが示されていることから深い相関関係があるといえます。
2:心臓疾患・脳血管疾患
歯周病原性細菌が原因となり、動脈硬化を誘発し、血管の狭窄・塞詮を引き起こすと報告されています。
3:誤嚥性肺炎
食べ物や飲み物が誤った流れで気管や肺にいくことを誤嚥といい、その結果、細菌やウイルスが炎症を起こす肺炎のことを誤嚥性肺炎といいます。
誤嚥性肺炎からは、歯周病の原因にもなる歯周病原性細菌が多く検出されるため、口の中の歯周病菌が多い方、すなわち歯周病が進んでいる方は、誤嚥性肺炎になるリスクが高いといえます。
舌の筋肉の衰えも誤嚥性肺炎を誘発する原因となるので舌のトレーニングをすることは予防にも繋がります。
4:低体重児出産
低体重児出産の原因に、喫煙・アルコール・年齢・歯周病などが挙げられます。
中でも歯周病による低体重児出産のリスクは、喫煙や年齢によるものよりも7倍近くもあるといわれています。
炎症を起こした歯肉の血管から歯周病原性細菌が血中に入り、さらに羊水内に入り込んで胎児の成長に影響を及ぼすと考えられています。
5:メタボリックシンドローム
食事をよく噛むことで唾液の分泌が良くなり、食べ物が細かく噛み砕かれます。
その際に唾液と混ざることで唾液中の消化酵素であるアミラーゼにより、消化されて血糖値が上がり、それにより脳の満腹中枢が刺激されます。
しかし噛み合わせが悪いと良く噛めず、噛んだつもりでいても、しっかりと噛んでいないことが多いです。
そのため早食いにつながり、メタボリックシンドロームになりやすくなります。
歯並びや噛み合わせを整えることは見た目はもちろんのこと、栄養摂取効率を良くするためにも重要なのです。
6:インフルエンザ
歯周病原性細菌がインフルエンザウイルスの活性化を促進するため、インフルエンザウイルス単独での感染よりも歯周病原性細菌が加わった場合の方が感染が拡大することがわかっています。
上記のようにさまざまな疾患が口腔内との関わりにより、誘発されたり悪化したりします。
口腔環境は全身の健康に大きくかかわっているのです。
毎日の歯磨きをしっかりおこない、歯科医院に行き定期的なケアをおこなうことが病気の予防にも繋がります。
歯医者に苦手意識がある方もいるかもしれませんが、是非検診にいらして下さい。
[執筆者]
楊義弘先生
歯科医師
みずた歯科医院 理事長
略歴
日本歯科大学卒。
都内歯科医院勤務後、みずた歯科医院勤務開始。
2019年よりみずた歯科医院継承、理事長就任。
丁寧で正確な治療を心がけています。
患者さんのご希望に添い、必要な治療についてわかりやすくご説明いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。
所属学会など
日本成人矯正歯科学会
日本メタルフリー歯科学会
日本小児歯科学会 所属
みずた歯科医院 ホームページ
https://www.mizuta-shika.com/