ダイエットのアドバイスやサポートとしてもおすすめ。ダイエット外来について筑波胃腸病院理事長鈴木先生にお伺いしました。
どうしても自己流ではダイエットが成功しない・・・このような悩みを抱えている方は多いと思います。
実は「ダイエット外来」というものがあり、医師にダイエットの相談ができるってご存知ですか?
ダイエット外来って何? 他にも病院でできることってある?
今回は、筑波胃腸病院の鈴木隆二先生に、ダイエット外来とメディカルダイエットについてお話を伺いました。
ダイエット外来って何? 本当に痩せられる??
以前までは、食べて痩せられる薬はない!とされてきました。
しかし薬も進化し、最近では「ない!・・・わけではない」というのが正解になってきました。
とはいえ、にわか知識でダイエット薬に踏み込むと、危険な合併症をきたすことも考えられます。
ダイエット外来では、医師の管理のもとで科学的にダイエットを行うことができます。
基本は食事指導、運動指導としながら、本当の健康を見つめ直した上で薬物療法、最近注目されている「GLP-1受容体作動薬」などの肥満治療薬を使う場合もあります。
個々の状態に合わせて治療が行われるため、適切なサポートのもとで減量が期待できます。
ダイエット外来は、ダイエットのパーソナルコーチのようなものです。
個別の問題点に合わせて、アドバイスやサポートを受けられる場といえます。
現在では、健康診断と合わせて治療するクリニックも見られてきましたので、非常におすすめです。
メディカルダイエットとは?
医院でおこなわれるダイエットには、医師の指導のもとで行う「内科的な方法」と、より積極的な「外科的な方法」があります。
それぞれの特徴と対象をわかりやすく説明します。
〇内科的な方法
1.食事療法
内容:医師や栄養士が個々の体質や生活習慣に合わせて、栄養バランスの取れた食事を計画します。カロリー制限や低炭水化物ダイエット、糖質制限など、さまざまなアプローチがあります。
対象:食事の見直しが必要な人、ライフスタイルを改善しながらゆっくり体重を減らしたい人。
メリット:健康的な食生活を身に着けられ、リバウンドが少ない傾向があります。
2.薬物療法
内容:医師の処方により、肥満治療薬(例:GLP-1受容体作動薬)を使用します。これにより、食欲を抑えたり、満腹感を高めたりして、食事量を自然に減らす効果があります。
対象:過度の肥満があり、食事療法や運動だけでは効果が出にくい人。
メリット:食欲を抑えることで、無理のない体重減少を促します。
3.運動療法
内容:個々の健康状態に合わせた運動プランを作成し、適切な運動量を維持することで体脂肪を減らします。軽い有酸素運動や筋力トレーニングが一般的です。
対象:体を動かすことが可能で、運動を取り入れたい人。
メリット:筋力アップや基礎代謝の向上も期待でき、体型改善に有効。
〇外科的な方法
外科的なダイエット法は、内科的な方法では十分な効果が見られない場合や、BMIが非常に高い場合に検討されます。
これらの手法は、体重を急速に減らしたい方、または健康リスクが高い方に適しています。
1.胃バイパス手術
内容:胃の一部を切除し、小さな胃袋を作り、食事の量を大幅に制限します。また、腸を一部バイパス(迂回)させることで、食事の吸収量も減らします。
対象:内科的治療では効果が出ない高度肥満患者(BMIが40以上、もしくは35以上で合併症がある場合)。
メリット:食事量が大幅に減るため、体重が急速に減少しやすい。
デメリット:手術リスクが伴い、栄養素の吸収不足による合併症が発生することもある。
2.スリーブ状胃切除術(胃スリーブ手術)
内容:胃の約80%を切除し、バナナ状の細長い胃を作ります。これにより、食事量が制限され、食欲ホルモン(グレリン)の分泌も減少します。
対象:食事量を大幅に減らしつつ、長期的に体重をコントロールしたい高度肥満患者。
メリット:消化機能を維持しつつも、食事量を自然に減らすことができる。
デメリット:手術リスクがあり、術後は栄養管理が必要。
3.胃内バルーン療法
内容:胃内に一時的にバルーンを挿入し、胃の容量を物理的に減少させ、食欲を抑える方法です。このバルーンは数ヶ月後に取り除きます。
対象:食事量のコントロールが難しく、手術リスクを避けたい中程度の肥満患者。
メリット:非手術的な方法で、体重を減らすことができる。
デメリット:バルーンは一時的なものなので、取り除いた後のリバウンドに注意が必要。
内科的・外科的治療の選び方
「軽度から中程度の肥満」であれば、内科的な方法(食事、薬物療法、運動)が基本です。
しかし、「高度な肥満」や内科的治療だけでは効果が出ない場合には、外科的な方法が推奨されることがあります。
いずれの方法も、医師と十分に相談し、自分の健康状態に合った治療法を選ぶことが重要です。
外科的な治療は、国が認可する標準治療として、保険適応となるものもあります。
ダイエットに関する悩みは、ご自身にしかわからない繊細なもの。
最近は、必要のない方が「ダイエットしなきゃ」と思い過ぎている場合も見受けられます。
また、自分でも気づいていない病気や疾患が影響していることもあります。
適切なダイエット方法を知るためにも、体型や体重に悩みのある方は、是非医師にご相談ください。
[執筆者]
鈴木隆二先生
筑波胃腸病院理事長
日本消化器内視鏡学会専門医
日本外科学会専門医
全ての患者の健康を第一に考え、日々最新の医療技術を提供しています。
理事長として筑波胃腸病院と千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック健診プラザをメインに運営し、消化器疾患の早期発見と治療、予防に力を入れています。