興味はあるけど難しそう・・第三の生理用品「月経カップ」の使い方やメリット、気をつけることについて森先生にお伺いしました!

ナプキンやタンポンに続く第三の生理用品として注目される月経カップ。
ディーバカップやスクーンカップと呼ばれることもあります。
便利だと聞くし興味はあるけど、使い方やそのサイズ感に、ハードルの高さ感じている方もいるかもしれません。
今回は、話題の月経カップについて、森女性クリック院長の森久仁子先生にお話を伺いました。

月経カップってそもそもどういうもの?

生理用品はナプキンやタンポンが一般的ですが、フェムテックが注目されるようになってからは、月経カップや吸水ショーツを生理用品として使用する方が増えています。
月経カップは膣の中に挿入する天然ゴムや樹脂、医療用シリコンでつくられた、お椀型の生理用品で、中に経血を貯めて、一定時間後にカップごと経血を取り出し、繰り返し使用することができます。
繰り返して使用できるアイテムの中では、簡単に洗うことができ、乾燥させる必要がなくすぐに使用可能です。

月経カップを使ってみよう!

・月経カップを用意する
外国でつくられた製品がほとんどですが、日本製の製品もあります。
サイズがいくつか用意されており、経血量により大きさを決めます。
小さいサイズのほうが膣内に入れやすいため、初めて使用する際は小さめから始めて、慣れてから経血量に応じてサイズアップしていくことをおすすめします。
出産経験がある方は大きいサイズからスタートしてもいいでしょう。
購入後、使用する前に煮沸消毒をしておきます。
・月経カップを膣内に挿入する
手指を石鹸で洗った後、月経カップの開いている口を潰してから縦に折り曲げ、折り曲げた状態で膣内に挿入します。
中腰の状態(和式トイレをまたぐスタイル)が入れやすいです。
入れた後はカップが膣内で開いているか、痛みや異物感がないか確認します。
・月経カップを取り出す
親指と人差し指(と中指)でカップの開いている口の一部をつまんで取り出します。
月経カップは膣と密着しているため、指で挟んで膣と月経カップの間に隙間をつくることが大事です。
・月経カップのお手入れ
製品により異なりますが、8~12時間連続装着が可能です。
説明書を熟読し、使用方法を確認しましょう。
月経中は1日1回水やぬるま湯と低刺激性石鹸で洗い、空気穴の汚れも取りましょう。
月経終了後は煮沸消毒をおこない、付属のケースで保管します。

月経カップを使用するメリット

1)繰り返し使用することができ、経済的
ゴミが出ないので環境に優しく、繰り返し使えるので、初回の購入費用のみで済むので経済的です。
シリコンやゴムでつくられているため、経血を容易に洗い流すことができます。
また他の繰り返し使えるアイテム(布ナプキンなど)は、洗った後は乾かすという工程が必要ですが、月経カップは濡れたまますぐ使用できます。
2)においが気にならない
汗や皮脂がおりものや雑菌と混ざり、それが空気に触れると酸化が始まり、においを発します。
デリケートゾーンは蒸れやすいので、雑菌が繁殖しやすくなります。
特に月経中は、経血が排出される際に酸化し、においの原因になります。
月経カップを使用することで、経血が空気に触れないため、においが発生しにくくなり、快適に過ごせます。
3)経血漏れの悩みが減る
経血の多い日やまだ慣れていない時期であれば、ナプキンとの併用が好ましいですが、長時間の連続使用が可能であり、経血が多い夜間でも経血漏れの心配が減少します。
月経中の旅行やプール、運動なども安心して楽しむことができます。
4)経血量や状態を確認できる
月経カップには目盛りがついているものがありますし、計量カップを用意することで、自分の経血量が何mLであるかを確認することができます。
※100円均一などで専用のカップを購入して用意してご使用ください
1日の経血量は20~140mLが正常範囲です。
それ以上の場合や、頻繁に月経カップを取り換える必要があれば、婦人科を受診しましょう。
経血量が多いと、その環境に慣れてしまい、月経が異常であることに気付かない場合もありますし、ナプキンやタンポンを使用していると実際の量はなかなか分からないものですよね。
また粘度・色・塊の有無など、経血の状態も確認できます。
月経カップを使用することで、健康状態を把握しやすいというメリットがあるのです。

月経カップで気をつけること

1)出し入れに慣れが必要
慣れるまでは経血が漏れたり、膣内から脱出してしまったりすることがあります。
また、位置の確認や取り出しの際、膣内に指を挿入する必要があります。
自分の性器を触る行為に抵抗がある方は、使いづらく感じるかもしれません。
はじめは着脱に時間がかかりますが、2~3回目の月経周期で慣れてくることが多いといわれています。
諦めずに継続して下さい。
2)取り換えの際、手指が経血で汚れる
外出の際は、個室内に洗面台がついているトイレが安心です。
そうでなければ、ペットボトルに入れた水を用意して手指や月経カップを洗ったり、ウエットシートできれいに拭いたりするなど、カップと手指をさっと洗える環境を用意する必要があります。
3)トキシックショック症候群
トキシックショック症候群(TSS)とは、黄色ブドウ球菌が産生する毒素が原因で起こる急性疾患で、突然の高熱や発疹・発赤・倦怠感・嘔吐・下痢などの症状が出ます。
黄色ブドウ球菌は体に定着している常在菌です。
どの女性にも膣の中には常在菌(善玉菌と雑菌などの悪玉菌)が存在しています。
善玉菌は乳酸をつくりだすことで膣の中の酸性度が保たれ、雑菌の繁殖を防ぐことができますが、これを膣の自浄作用といいます。
体調の変化や生活習慣の乱れやストレスなどで、膣内の常在菌の環境が乱れることで、膣の自浄作用が弱くなり、炎症を起こしたり、TSSを引き起こす可能性が高まる場合もあります。
月経カップは清潔に保ち、製品が定めた使用時間を守り、正しく使用することが大事です。

最初は膣内にカップが入っていることに違和感があったり、カップの着脱に手間取ったりすることがあるかもしれませんが、慣れれば月経期間を快適に過ごすことができます。
興味がある方は試してみましょう。

[執筆者]

森久仁子先生
産婦人科専門医、医学博士
大阪医科大学を卒業後、同大学産婦人科学講座に入局。
同大学産婦人科学講座助教、和歌山労災病院をへて、平成25年和歌山市に森女性クリニックを開院。
プライバシーに配慮したクリニックで、産婦人科としての枠組みだけではなく、女性医療の充実を目指すべく診療を行っている。

森女性クリニック
https://www.mori-ladies.com/

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