
相手をコントロール?過剰な愛情表現「ラブ・ボミング(Love Bombing)」逃れるにはどうしたらいい?
恋の始まりは、とても特別で楽しいものですよね。
「ついに運命の人に出会えたかも!」とときめいたり、お互いが真剣に思いを伝え合ったり。
相手からの突然のプレゼントに、舞い上がってしまうこともあるかもしれません。
ですが、相手のあなたへの行動は、本当に恋や愛によるものなのでしょうか?
今回は、米国で話題のLove Bombing(ラブ・ボミング、ラブ・ボンビング)について解説します。
愛の爆撃?ラブ・ボミングとは??
ラブ・ボミングという言葉を「初めて聞いた」という方も多いのではないでしょうか。
これは、注意や愛情を示すことで相手に影響を与えようとする行為を指す言葉で、まるで爆撃のように愛情を与えるところから名づけられています。
親子関係の感情的な問題の解決といった良い目的に使用されることもあれば、宗教の勧誘や恋愛などにおいて相手をコントロールしようとするような、悪意のある目的で使用されることもあります。
ラブ・ボミングは、過剰な愛情表現で相手をコントロールしようとしますが、それはソーシャルメディアが発達し、24時間365日いつでもつながることのできる現在において、とても行いやすくなっているといえます。
あなたの身近に迫っているかもしれない、恋愛関係での問題となるラブ・ボミングについてお話しします。
なぜラブ・ボミングは危険なの?
相手が、情熱的なあなたの運命の人なのか、それともラブ・ボミングをしているのか・・・?
特に、付き合いたての頃は激しい愛情表現をすることも多く、「ただラブラブなだけでは?」と思われるかもしれません。
そこで、精神科医のDale Archer氏の報告より、ラブ・ボミングの3段階の進行についてお話しします(出典:Psychology Today,Posted March 6, 2017)。
STEP1.Intense Idealization(過剰な理想化)
この初期段階では、加害者は相手を理想の存在として扱い、絶え間ない褒め言葉や贈り物、連絡を繰り返します。
「あなたは運命の人」「理想的」「最高の恋人」のように思わせます。
急速に関係を深めることで、被害者は「特別な存在」として扱われていると感じ、強く依存するようになります。
実は付き合い始めのカップルでは、よくあることで、この段階のみなら全く問題ありません。
このような過度な愛情表現をどう受け取るかは人それぞれですが、そのこと自体は不健康ではなく自然なことともいえます。
しかし、STEP2へ進む場合、これは支配への布石であり、相手をコントロールするための手段にすぎません。
STEP2.Devaluation(価値の引き下げ)
関係が安定し始めると、加害者は突然冷たくなり、批判や無視を繰り返します。
かつての理想化との落差により、被害者は自己価値を疑い、不安や混乱を抱えやすくなります。
「私のせいで相手を怒らせてしまった」
「あんなにすばらしかった相手が変わったのは、自分に問題があるのでは」
このように感じてしまうのです。
加害者は被害者の行動を非難し、関係維持の責任を押し付けることで、より強い心理的支配を確立します。
さらにこのような加害者は、いわゆる「外面がいい」ことが多く、傍目には気づかれにくい手法をとるので、周囲から理解されなくなってしまった被害者は、より孤立して、加害者に依存してしまうのです。
STEP3.Discard(切り捨て)
最終段階では、加害者は被害者に対し、突然興味を失ったような態度で、冷淡に扱ったり、関係を断ち切ったりします。
被害者は
「自分が至らないせいで捨てられたのでは?」
という自己否定感や喪失感に苛まれます。
そして予告なしにあなたの前に現れ、
「やっぱりあなたしかいない、ずっと一緒にいよう」
と愛を告げます(多くの場合、このときに謝罪の言葉はないことが多いようです)。
あなたがそれを受け入れれば、それはあなたが彼のコントロール下にあることを示します。
加害者はあなたを捨てることも、あなたをコントロールするための一部として利用するのです。
そして多くの場合、STEP1に戻りこのサイクルを繰り返すことでコントロールを強めようとします。
ラブ・ボミングから逃れるために
相手の行為が、愛情表現でなくラブ・ボミングだと感じたらどうすればよいのでしょうか?
ラブ・ボミングからの回復には、精神科医のDale Archer氏により、以下の行動が大切であると報告されています。
1:連絡を絶つ
相手との関係を、文字通り断ちましょう。
「カップルではなく友達としてなら・・・」
というのも避けるべきです。
次のターゲットを見つけるまで、相手はあなたを取り戻そうとするかもしれませんが、強い意志で拒否しましょう。
ここで相手を受け入れてしまうと、ラブ・ボミングの虐待のサイクルに取り込まれてしまいます。
2:周囲の人との関係を大事に
相手がしつこく付きまとってくる場合、あなたを守ってくれる家族はとても大切です。
また、「相手と離れるべき」と、その理由も含め、しっかり話をしてくれる友人の存在も重要です。
加害者は、これまであなたと周囲の人との距離を空けようとしていた可能性があります。
「私たちのことに口を出さないで!」
などといって、一時的に友人を拒絶してしまったとしても、それはラブ・ボミングによるコントロールの影響といえます。
必要があればきちんと謝罪して、あなたを心から案じ、本音で話し合うことのできる親しい人とのつながりを大切に。
また、仕事や学業・趣味などで、人生の充実感や満足感を得られるようにしておくことも大切です。
「私には相手しかいない」
とは、決して思わないようにしましょう。
3:ラブ・ボミングは虐待であることを認識する
ラブ ボミングについて覚えておくべき重要なことは、それが心理的な虐待であるということです。
一方が意図的に他方の弱点や不安を利用し、あなたをコントロールするような場合、虐待という言葉以外はありません。
愛情とはお互いを尊重し合うことが前提であり、あなたが誰と会うか、何をするかなど、あなたの選択ををコントロールすることでは決してないのです。
あなたの相手は運命の人なのなのか、それとも過剰な愛情を武器にあなたをコントロールしようとしているのか?
「大好きな相手だけど、なんかちょっとおかしいかも・・・?」
相手に不安や不信を感じたら、一度立ち止まって2人の関係を見つめなおすことをおすすめします。
[執筆者]
船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定1級
[監修]キレイ研究室編集部