
そら豆が美容の味方って本当?健康管理上級指導員の視点から解説します
まっすぐ空へ向かって伸びるさやの姿から、その名がついたといわれるそら豆。
初夏の食卓を彩る、さわやかな緑のそら豆を、スーパーなどで目にする時期になりました。
そら豆にはどんな栄養があるの?
健康管理上級指導員でサプリメントアドバイザーの船木彩夏さんの解説です。

海外でもポピュラーなそら豆。主食としてもたんぱく源としても人気!
海外ではfava beanなどと呼ばれるそら豆。
地中海や中東では、非常に古くから食べられており、なんと1万年以上前にも栽培の痕跡が確認されている、最古級の栽培豆類のひとつともいわれています。
日本ではおつまみのイメージが強いそら豆ですが、地中海や中東では粥やピューレのようにして、主食のような扱いをされることも。
イタリア南部では「貧しい人の肉」「庶民の肉」として、安価なたんぱく源として食卓を支えてきた歴史があるそうです。
死者の豆?!不思議なイメージを持つそら豆・・・ジャックと豆の木にも登場?
地中海近辺の国では、そら豆は古くから死者・冥界・再生と結びつけられてきました。
古代ローマでは、そら豆の長い根や茎の形から冥界とつながる植物と考えられ、死者の魂を宿すとも信じられていたそうです。
一方で、豆は「死んでいるように見えて芽を出す種」でもあるため、死だけでなく再生の象徴にもなりました。
イタリアには「fave dei morti=死者のそら豆」という、そら豆形の菓子を万霊節に食べる文化もあります。
そして、私たちにとって身近な童話であるジャックと豆の木に出てくる、天までつたを伸ばす豆も、そら豆だったのではと考える説もあります。
原文にはbeansやmagic beansなどと記載されており、そら豆であると言い切ることはできません。
そら豆は古くからイギリスで親しまれた豆であること、さやが空に向かって伸びること、死者や冥界など、神秘的な世界と結び付けられて考えられている点などから連想されているのかもしれません。
実際、そら豆はつるで巻き付いて伸びる植物ではないので、実在の豆というよりは、豆が持つ生命力を膨らませた物語と考えるのがよさそうです。
主食にもなり、たんぱく源にもなる・・・そら豆の栄養価とは?!枝豆と比べると??
主食としても、そしてたんぱく源としても食べられてきたそら豆。
どんな栄養が含まれているのでしょうか?
同じように、熟す前の豆を食べる、枝豆と比較してみました。

カロリー、たんぱく質、食物繊維の量に関しては、どちらも近い数値ですが、脂質の多い枝豆と、炭水化物の多いそら豆という違いがあります。
そら豆がたんぱく源としても、そして主食としても食べられてきた理由がわかりますね。
他にもカリウム、マグネシウムや亜鉛などのミネラル類、ビタミンB類、葉酸などのビタミン類も含まれたそら豆には、野菜と豆の中間のような栄養があるといえます。
実は、表の出典である日本食品標準成分表でも、そら豆と枝豆は豆類ではなく野菜類に分類されています。
美容の味方?そら豆のポテンシャル
ビタミンやミネラル以外にも、そら豆には美容や健康にうれしい成分が含まれています。
そら豆にはポリフェノールやフラボノイドといったフィトケミカルが含まれていることが報告されています[1]。
カテキンやエピカテキンという成分を聞いたことがある方も多いと思います。
緑茶に含まれ、強い抗酸化作用を持つとして注目される成分ですが、実はそら豆にも含まれていることが分かっています[2]。
また、美容が気になる方にとって関心の高い「糖化」。
糖化は血糖値の変動や糖の摂り方とも関係するため、食事で何を摂るかも大きなテーマのひとつ。
そら豆には糖の分解や吸収に関わるα-グルコシダーゼ阻害作用があることが報告されており、代謝などの面からも注目され、研究が進められています[2]。
美容や健康面からも、ぜひこの時季に食べたい食材といえますね。
ピリ辛で人気の調味料も、そら豆でできていた?!
辛い料理に欠かせない中華調味料の豆板醤。
実は、これはそら豆と唐辛子、米麹などを発酵させてつくられたもの。
そら豆は、ゆでたり炒ったりして食べる以外にも、発酵食品の原料としても利用されています。
豆板醤からは、抗酸化作用や血圧調節に関わるACEという酵素を阻害する作用を示すペプチドが同定されたという報告もあります[3]。
発酵によって、新たな成分が生まれるというのも面白いですよね。
ほくほくした食感と風味が魅力、初夏の楽しみであるそら豆。
今日の食卓に、いかがですか?
※なお、そら豆は多くの人にとって旬の味覚として楽しめる食材ですが、まれにG6PD欠損症の方では体調に影響することが知られています。
該当する方は摂取を避けるなど注意が必要です。
参考文献
1.Chaieb N, González JL, López-Mesas M, Bouslama M, Valiente M. Polyphenols content and antioxidant capacity of thirteen faba bean (Vicia faba L.) genotypes cultivated in Tunisia. Food Res Int. 2011;44(4):970-977. doi:10.1016/j.foodres.2011.02.026.
2.Loizzo MR, Bonesi M, Leporini M, Falco T, Sicari V, Tundis R. Chemical Profile and In Vitro Bioactivity of Vicia faba Beans and Pods. Proceedings. 2021;70(1):45. doi:10.3390/foods_2020-07712.
3.Li M, Fan W, Xu Y. Identification of angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitory and antioxidant peptides derived from Pixian broad bean paste. LWT. 2021;151:112221. doi:10.1016/j.lwt.2021.112221.
[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ
[監修]キレイ研究室編集部



