お年寄りだけじゃないって知ってた?女性やスポーツをしている人に多いと言われる膝トラブルについて石坂整形外科クリニック 院長 石坂淳先生にお伺いしました!
膝が痛くて・・・という悩みは、お年寄りのものだと思っていませんか?
実は女性やスポーツをしている方には若くても起こるトラブルなのです。
今回は石坂整形外科クリニック 院長の石坂淳先生にお話を伺いました。
膝が痛いなんてお年寄りっぽいは、間違い?女性に多い膝トラブル
膝が痛い=お年寄りの悩みというイメージもありますが、意外に30~40代女性にも多い膝トラブル。
女性は男性に比べて早く変形を起こすことが知られています。
40歳前後から変形が始まる方も珍しくありません。
「階段の下りで膝の内側が痛い」、「膝がなんとなく腫れぼったくなった」という方は膝関節の変形を起こしている可能性があります。
ただ40歳代までであればそれほど変形はすすんでいないことがほとんどなので、セルフケアで痛みをコントロールすることができます。
膝のためのセルフケア
太ももの前の筋力(大腿四頭筋)をつけるためにスクワットやエクササイズなどをしたり適度に歩行したりすることが大事です。
また膝への負担を減らすため、体重が増えないように注意をしてください。
また正座は膝の変形をすすめる原因になります。
必要以上の正座はなるべく避けて、床に座る生活よりも、机と椅子の生活に切り替えることがおすすめです。
それでも日常生活動作で痛みを感じるようであれば、一度整形外科を受診するようにしてみてください。
スポーツしてから調子が悪いときは?
(1)ケガによるトラブル
スポーツによる膝トラブルは、おおまかにケガによるものと、オーバーユース(使い過ぎ)によるものとにわけられます。
スポーツによるケガはスポーツの種目によって異なりますが、靭帯損傷、半月板損傷などがあります。
特に女性で発生しやすいのが前十字靭帯損傷です。
サッカーやバスケットボールなどで多く、膝をひねる動作だけで損傷することもあり、損傷すると膝の動揺性を生じ、競技復帰するためには手術が必要になることが多いです。
(2)オーバーユースによるトラブル
オーバーユース(使い過ぎ)によるものとしては、昨今のランニングブームで増えている腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん、ランナー膝とも呼ばれる)・鵞足炎(がそくえん)やバレーボール・バスケットボールプレイヤーに多いジャンパー膝などがあります。
腸脛靭帯炎はO脚の人がなりやすく、膝の外側に痛みを生じます。
鵞足炎は逆に膝の内側に痛みを生じ、X脚の人が起こしやすいとされています。
ジャンパー膝は文字通りジャンプ競技をする人に発生しやすく、ジャンプやキック動作で使われる太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)のオーバーユースで生じ、膝前面に痛みを感じます。
オーバーユースによる痛みは、動き始めに感じますが、ウォーミングアップが終わるころには軽くなってくることが特徴です。
そのため初期であればそれほど痛みなくプレイすることができ、ついつい動きすぎてしまい治るまでに長期間かかることもよく見られます。
発生してしまったら、思い切って練習量を減らしたり、場合によっては一定期間練習を中止したりして、痛みを感じなくなってから練習を再開したほうがベストコンディションに持っていくのに近道であったりします。
予防としては練習前のストレッチと練習後のクーリングです。
ストレッチではスポーツでよく使う筋肉やその周囲の筋肉を時間かけてゆっくりと伸ばしていきます。
その際は強い痛みが出ないよう、「イタ気持ちいい」程度の強さでやることが大事です。
クーリングは氷や保冷剤で局所を30分くらい冷やしてください。
運動直後に行うのが理想ですが、現場に氷などがない場合には帰宅してからでも構いません。
整形外科にかかるタイミングとしては症状が長期にわたり(1か月以上)、なおかつ痛みの程度が徐々に強くなっていくときです。
治療のタイミングを誤ると長期にわたっていいパフォーマンスが出せなくなってしまいます。
整形外科では正しい練習方法や処置のアドバイスを受けたり、理学療法士による運動療法などを受けたりすることができます。
今回は、女性に多い膝トラブルと、スポーツ時に起こりやすい膝トラブルについてお話ししました。
次回は、膝に感じがちな小さな違和感を中心に、放置して良いのか、受診した方がいいのかご説明したいと思います。
[執筆者]
石坂 淳
[プロフィール]
北里大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学整形外科教室に入局。
大学病院および関連病院での勤務を経て、2007年10月神奈川県海老名市に「石坂整形外科クリニック」を開院。
クリニックでは副院長の岩﨑先生と共に、中高生のスポーツ障害から高齢者の腰痛・膝関節痛、関節リウマチ、骨粗鬆症、捻挫・骨折等の外傷など多岐にわたる患者様を診察している。
X線診断やエコー検査器を用いた最新の診断技術や治療法を選択し、また理学療法士との連携により運動療法も積極的に行い治療効果を高めることに注力し、患者様一人ひとりに合った最適なケアを提供するようにしている。
お子様からご高齢の方まで皆様に”居心地の良い医療”を提供したいと考えている。
地域の皆様に信頼されかつ、お気軽にご相談いただけるようなクリニックでありつづけるべく努力してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
石坂整形外科クリニック
https://ishizaka-seikei.jp