健康診断前のダイエットには要注意って本当?対策について看護師の視点で解説します

健康診断の前だから断酒しよう、ダイエットしておこう・・・こういう方はいませんか?
自身の体の調子を見てもらうための健康診断・・・直前の調整はアリ?ナシ??
株式会社TAYORI代表取締役で看護師・保健師でもある奥野実羽心さまによる解説です。

健康診断前だけに生活習慣を改善?!

よく、「健康診断が近くなったらダイエットします。」という人がいらっしゃいます。
ですが、実際に健康診断前に頑張ってダイエットし、体重が8キロほど落ち、BMIの数値が改善されたとしても、その後にリバウンドしてしまうことが多いのです。
また、健康診断の結果をよくするための行動だと思われますが、実は逆の結果となることも。
なぜ、健康診断の前だけ痩せるのが問題となるのでしょうか。

健康診断前にあせって痩せるとありがちなこと

1.水分量の減少からくる数値の変化
急いで減量しようとすると、まず考えつくのは食事量を減らすパターンです。
元々沢山食事をとっている人は、食事からの水分量も多いため、食事量が減ることにより水分量も低下します。
それにより血液が濃縮され、尿酸値や腎機能の数値(BUN、クレアチニン)が悪化する可能性もあります。
また、血液が濃縮されることにより、ヘモグロビンや赤血球の数値が実際よりも高く判定されるといったこともあります。
2.極端な糖質制限からくる代謝の低下
炭水化物ダイエットなどで糖質(ごはん、パン、麺類など)を極端に制限すると、体はエネルギー不足を補おうとして、筋肉を分解し始めます。
そうすると、身体の代謝量が減ってしまうだけではなく、筋肉の分解からくる尿タンパクの数値に影響が出たり、肝機能の数値(AST、ALT)が一時的に上昇したりするリスクがあります。
3.激しい運動からくる検査数値の異常
普段運動をあまりしない人が、健康診断前だけ激しい運動(ランニング、筋トレなど)を行うと、筋肉から酵素が放出され、肝機能の数値(AST、ALT)や、筋肉のダメージを示すCPK(クレアチンホスホキナーゼ)が上昇することがあります。

健康診断前の「悪あがき」のリスクとは

先ほどの項目でご説明した通り、急な変化による数値の異常がみられることもありますし、そもそもが「一時しのぎ」なので習慣にはなっておらず、結局は元の習慣に戻ってしまうことが多いです。
テストに置き換えてもらうと分かりやすいのですが、テストの直前で一夜漬けをしても、記憶には定着されにくく、テスト後には忘れてしまいやすいですよね。
テストというのは本来、学んだことをどれだけ記憶できているかを確認するものであり、一夜漬けをしてしまうと、本当はどこまで覚えていたのかを正確に確認できません。
普段のテストならそれで問題ないかもしれませんが、大勝負の受験や、知識を問われるタイミングで、困るのは自分自身です。
同じように、普段の生活の中で、健康かどうかを確認するのが「健康診断」なので、そこを「一時しのぎ」で取り繕ってしまうと、自分の健康習慣を見直す機会を逃してしまうことにもなりかねません。
一年に一度、自分の生活習慣や健康状態を見直し、自分の体を大切にするための大事なタイミングですから、ぜひ普段の健康状態を把握する機会にしましょう。
そして、勉強よりも、健康において大事な点は、自分だけの問題ではないということです。
正しく健康診断を活用し、早いうちに健康習慣を見直すことで、自分の体を大切にすることとなり、大切な家族・友人・恋人などの近い人を大切にすることにも繋がります。

体を大切にするために気を付ける事

では、健康診断前や、その後、どのような事に気を付けたらいいのでしょうか。
当たり前のことも書きますが、その当たり前、本当に出来ていたかな?と振り返るために見てみてください。
●食事
栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
油ものが多くなっていませんか?外食が当たり前になっていませんか?
「自炊を絶対にしない!」と決めている人もいますが、簡単レシピもネットに多く出回っているため、試しに作ったら簡単で美味しく節約できるので、自炊にハマる方も少なくありません。
ヘルシーで簡単なレシピのお気に入りを3つほど決めてしまうだけでも、効果的ですよ。
ジュースが多くなると脂肪肝につながりやすいので、お水に慣れておくのもいい習慣です。
●睡眠
睡眠をしっかりとりましょう。
理想は7~8時間程度ですが、個人差があります。
「12時間寝たから、しっかり休めた!」と思うのはちょっとまって。
寝すぎからくる体内時計の乱れや、肥満・心疾患などのリスクを高めてしまう場合もあります。
休みの日に寝だめせず、毎日同じ時間帯に睡眠をとり、睡眠の質を高めるために、日中に日光を浴びたり、適度に体を動かしたりするようにしましょう。
●運動
1日30分程度のウォーキングなどの、無理のない有酸素運動を習慣にしましょう。
「立ち仕事だから大丈夫」「電車で立ってるし大丈夫」「駅から家まで歩いてるし」などといわれることがありますが、理想的なのは有酸素運動に集中する時間が持てることです。
ウォーキングで理想的な心拍数は、「カルボーネン法」という計算式で求めることができます。
これは、メタボリックシンドロームの解消や筋力維持などの運動指導の場で使われている方法です。
目標心拍数=(最大心拍数―安静時心拍数)×60%+安静時心拍数です。
最大心拍数は、220-年齢で出すことができます。

例)50歳、普段の心拍数は80回/分の場合
(220-50-80)×0.6+80=134
目標心拍数134回/分

最近はスマートウォッチで簡単にウォーキング時の脈拍も測定ができるようになりました。
スマートウォッチは価格が手ごろなものもあり、万歩計代わりに使う方もいます。
自分の体に最適な強度で運動をすることで、心肺機能の維持向上を図ることができるでしょう。

まとめ

健康診断は、誰かに評価されるとおびえる機会ではなく、自分自身を大切にするための機会です。
深刻な状態になってしまう前に気付けるよう、国を挙げて、予防の仕組みを作ってくれています。
海外ではここまで予防する仕組みがある国は少なく、病気になってから膨大な医療費を払わなくてはいけないところも多いのです。
せっかくある予防の機会をうまく使って、自分のために活かしてくださいね。
健康診断結果を見て、毎年何か1つ、新しい健康習慣を取り入れて1年取り組んでみるのもお勧めです。
次の年に効果が見えていいかもしれませんよ。

[執筆者]

奥野実羽心
株式会社TAYORI代表取締役

看護師・保健師として10年にわたり、急性期から回復期リハビリ、終末期、健診の現場を経験する。
治療と予防の両面からケアと指導を実施。
「働いている方が健康になる」と思える会社を増やしたいと想い、現在は企業の健康経営やストレスチェックの実施・アフターフォローを事業として行い、働く人たちの健康と、会社全体の人材管理サポートを行う。
小学生と中学生、2児の母、趣味はアニメと写真。

株式会社TAYORI
https://tayori-health.com/

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