
梅雨も穏やかに過ごしたい!美容と心のセルフケアについて精神科専門医の清水先生にお伺いしました。
梅雨になると、なんとなく心が沈んだり、イライラしやすくなったりする・・・そんな経験はありませんか?
実は、心の状態は肌や身体の調子にも直結する重要な要素です。
今回は、ライトメンタルクリニック理事長の清水聖童先生に、精神科専門医の知見から、梅雨に感じやすい心の不調の原因と、その対策について解説して頂きました。
なぜ梅雨に心が乱れるのか?
1)セロトニン不足が気分を不安定に
梅雨時季は曇りや雨の日が続き、太陽光を浴びる時間が極端に減ります。
これにより「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が低下してしまいます。
セロトニンは気分を安定させたり、ストレスへの耐性を高めたりする脳内物質です。
その不足が、気分の落ち込みやイライラ、不安感、さらには不眠などの症状を引き起こします。
これは「季節性情動障害(SAD)」として医学的にも知られており、梅雨時の気分の不調はその軽症型と考えられています。
2)自律神経が気圧の変化で乱れる
梅雨の低気圧も心に影響を及ぼします。気圧の変動によって自律神経のバランスが崩れ、頭痛、倦怠感、集中力低下といった身体症状に加え、不安や情緒不安定といった心理的症状も現れやすくなります。
とくにもともと不安傾向がある方やストレスに敏感な方は、この影響を強く受ける傾向があります。
3)行動制限による心理的な閉塞感
雨の日が多いと外出の機会が減り、好きなカフェや美容サロン、ジムなどへの足も遠のきがち。
行動範囲が狭まることで心理的な閉塞感が強まり、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌が増加。これが肌荒れや免疫力の低下にもつながります。
精神医学では、このような行動制限がうつや不安障害を悪化させる要因とされており、美容や健康にも無視できない影響を与えます。
梅雨でも心穏やかに過ごす5つのコツ
1.朝の光を意識的に取り入れる
朝はカーテンを開けてできるだけ自然光を浴びましょう。
曇りや雨の日でも光を感じることで脳は朝を認識し、セロトニンの分泌が促されます。
さらに、光療法用の白色ランプを活用するのも効果的です。
2.リズム運動を生活に取り入れる
ウォーキング、ヨガ、または好きな音楽に合わせた軽いダンスなど、一定のリズムで身体を動かす運動を習慣にしましょう。
こうしたリズム運動はセロトニン系の神経を活性化し、気分の安定を助けます。
天候が悪い日は室内でできるエクササイズでも十分です。
3.深い呼吸とマインドフルネス
気圧の影響で乱れた自律神経を整えるために、1日5分でも腹式呼吸を意識しましょう。
さらに、マインドフルネス瞑想を取り入れることで、不安や焦燥感をやわらげ、穏やかな心を保つことができます。
4.美容ルーチンはあえてキープ
外出の制限があっても、自宅でのスキンケアやボディケア、アロマテラピーなど「自分を大切にする時間」を確保することが大切です。
これにより自己効力感(自分をコントロールできる感覚)が高まり、心身の健康維持につながります。
5.不調が続く場合は専門家に相談
もし気分の落ち込みや不安が2週間以上続く場合は、ためらわず精神科や心療内科を受診してください。
早期に適切なサポートを受けることは、あなたの美容と健康を守る大切なステップです。
おわりに
梅雨の心の不調は決して「気のせい」ではありません。
心と身体、美容はすべてつながっています。
ご紹介した方法をぜひ日常に取り入れ、この季節も美しく、心穏やかに過ごしましょう。
[執筆者]
清水聖童(しみずせいどう)先生
精神科専門医。
医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック理事長
心理療法、生活習慣、栄養学など幅広い知識を背景とした精神予防医学を専門とし、病前から介入する精神医療を模索したクリニック「ライトメンタルクリニック」を立ち上げる。
メンタルヘルスに関する記事監修や講演、取材対応も積極的に行い、専門的な知見を広く発信している。
日本精神神経学会認定専門医
精神保健指定医
ライトメンタルクリニック
https://light-clinic.com/