[後編]大切なのは品質と使い方!自然界に存在する天然の界面活性剤があるってホント?界面活性剤の種類ついて

化粧品開発者の目線で、化粧品成分のひとつ「界面活性剤」の種類についてにフューチャーします。
[前編]では界面活性剤の種類についてお話しました。ひとくちに界面活性剤といっても色々な種類があったのがわかっていただけたと思います。
今回は、天然の界面活性剤のお話をしたいと思います。

自然界に存在する天然の界面活性剤

界面活性剤は石油や天然油脂などを合成することによってつくられるものが多いのですが、もともと自然界に存在する天然の界面活性剤もあることをご存じでしょうか?

例えば、天然の界面活性剤の代表的なものとしてはレシチン。卵黄や大豆に含まれています。
例えばマヨネーズを作る際、お酢と油を混ぜる時に卵黄を使用したことはありませんか?

他にも大豆などの豆類やお茶など、さまざまな植物に含まれているサポニンや、私たちの体内で働く胆汁酸(肝臓で合成され、脂肪や脂溶性の栄養素の消化吸収に大切な働きを担う)も界面活性の機能を有しています。
また、水分と脂肪分の両方が含まれる牛乳や母乳には、もともとカゼインという界面活性作用を持つ成分が含まれています。

さらに、最近は高分子系界面活性剤や、シリコーン系界面活性剤なども開発され、さまざまな界面活性剤がさまざまな場所で活用されています。

化粧品はもちろん、私たちの生活にも密着した存在である界面活性剤。
そんな界面活性剤を、十把一絡げに「悪者」としてしまうことが、本当に正しいのでしょうか?
現在、化粧品に使用されている界面活性剤は、長年の使用実績があるもので、純度などもきちんと確認されています。
しかし、中にはラウリル硫酸ナトリウムなど、乾燥肌や敏感肌の方には脱脂力や洗浄力が強すぎて、炎症やダメージの一因となってしまうものもあります。

また、シャンプーや洗顔後のすすぎ不足など、肌の手入れの仕方によっては、界面活性剤が刺激となってしまうこともあるので、使用量を守ったり、きちんとすすいだりと使い方も大切です。

化粧品を使用する際には、自分の肌質や、使用目的に合ったものを選ぶこと、そして正しく使用することを心がけましょう。
特に、石油由来の界面活性剤を「合成界面活性剤」と呼び、特に嫌う傾向がありますが、もとをただせば石油も自然が作り出したものです。
また、界面活性剤はもちろん、化粧品に使用される原料は、日本化粧品工業連合会(粧工連)の策定した「化粧品安全性評価に関する指針(2015)」において定められた9つの必須項目によって、安全性が確認されています。
私たちの身近な存在である界面活性剤。
『合成』『天然』といった言葉のイメージから判断するのではなく、化粧品の品質そのものに目を向けて、選ぶようにしたいですね。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

関連記事一覧