乾燥ケアは内側からも!お肌の保湿に欠かせない「セラミド」について
セラミドとは、角層の細胞間脂質を構成する成分のひとつです。
細胞間脂質は、ラメラ構造という水層と油層が密着した層状の繰り返し(サンドイッチ状)構造になった特殊な形状をしています。
なぜこのような形をしているのかというと、細胞間脂質を構成するセラミド・遊離脂肪酸・コレステロールなどの、親水性の部分と疎水性の部分が規則正しく配列しているためです。
細胞間脂質のラメラ構造は、角層バリア機能に重要な役割を果たしていますが、美しいラメラ構造を形成するには、セラミドをはじめとした構成成分の比率がとても重要で、偏りがあるとラメラ構造が乱れ、バリア機能が低下する原因になると考えられています。
角層細胞と細胞間脂質は、レンガとモルタルの関係にたとえられます。
モルタルがスカスカになると、レンガをうまく支えて壁をつくれなくなりますよね?
お肌にとって、細胞間脂質の構成はとても重要なのです。
そして、セラミドの産生力は加齢により衰えてくることが分かっており、40歳を過ぎると20歳の時の半分ほどのセラミド量になると報告されています。
年々肌の乾燥がひどくなる…という方は、セラミド不足によるものかもしれません。
こんなにたくさん!化粧品に使われるセラミド
セラミドとひとくちにいっても、化粧品に配合されているものにはたくさんの種類があります。
セラミド配合と謳われている化粧品を買おうと思ったら、表示名称を確認してみるのもいいかもしれません。
バイオセラミド(ヒト型セラミド)
セラミド1、セラミド2、などセラミドと数字で表示されています。
主に酵母から生成され、ヒトの肌の中にあるものとほぼ同じセラミドなため、効果は抜群!
ただ、生成にコストがかかってしまうため、商品が高額になってしまうのが玉に瑕。
水にはほとんど溶けないので、クリームや美容液に配合されていることが多いです。
番号により構造や働きが異なるのですが、お肌には特にセラミド1、2、3が重要です。
セラミド1:バリア機能に影響。アトピー性皮膚炎の人はセラミド1が少ないといわれています。
セラミド2:保湿効果が高い。肌以外に髪にも多く含まれているセラミド。
セラミド3:保湿効果が高く、乾燥肌やシワの改善などに優れた効果を発揮。加齢により著しく減少してしまうため、化粧品に良く利用されています。
天然由来のセラミド
馬などの動物や牛乳、麦・コーン・コメなどの植物から抽出されるセラミド。
●●セラミド、○○スフィンゴ脂質、フィトスフィンゴシン、グルコシルセラミドなどと表示されていることが多いです。
ヒト型のセラミドに近く、種類によって保湿効果やシワに対する効果、美白効果など様々な効果が報告されています。
最近は、こんにゃくやパイナップルといった、ちょっと変わった植物から抽出されるものもあります。
抽出できる量が僅かなため、バイオセラミド同様コストは高めです。
合成セラミド(疑似セラミド)
セラミドに似た構造の保湿成分を化学合成したもので、厳密にいうとセラミドではありません。
セチルPGヒドロキシエチルパルミタミドや、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベへニル)など、表示名称はちょっと難しく、“セラミド”という名称もつかないので、表示だけでは分かりにくいかもしれませんね。
大量生産が可能で、安価に配合できるのがメリットです。
食べても飲んでも美肌に!
実は、最近セラミドは化粧品としてお肌に塗るだけではなく、経口摂取による美肌効果にも注目が集まっています。
なんと、セラミドを経口摂取することにより、特定保健用食品(トクホ)で肌への訴求を謳う表示の許可(「肌が乾燥しがちな方に適する」旨)を申請中の製品がいくつかあるのです。
これらの申請が認められると、トクホ初の「美肌効果」を謳ったドリンクやゼリーなどが販売されることとなります。
内からも、外からもセラミドケアができ、乾燥知らずのお肌が目指せますね!
なお、セラミドが含まれる食品は小麦やコメ(胚芽部分の残っているもの)、コーン、牛乳など、実はけっこう多いのですが、中でもこんにゃくにはたくさん含まれています。
手軽にセラミドを摂取したい方は、こんにゃくを食べるのもおすすめです。
お肌のバリア機能を維持し、乾燥や外敵からの侵入を防ぐためには欠かせないセラミド。
種類も利用法もたくさんあるので、自分に合ったものを探して、うるおいケアをおこないましょう!
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]