バリウム検査以外の選択肢はある?メリット・デメリットをクリニック院長の渡海先生にお伺いしました

会社勤めの方だと、35歳から健康診断に組み込まれるバリウム検査。
苦手…と思っている方も多いのではないでしょうか。
バリウム検査でわかることは?他の方法でも胃の検査はできる??
半蔵門渡海消化器・内視鏡クリニック院長の渡海義隆先生による解説です。

苦手な人が多いバリウム検査・・・これって必要?他の方法はある?

健康診断のたびに、「バリウムが苦しくて憂うつ」「できればもう受けたくない」と感じている方は少なくないと思います。
発泡剤でおなかが張る感じがつらい、バリウムを飲むこと自体がつらい、検査中に何度も体を動かすのが大変、検査後に便秘になる。
こうした負担から、胃の検査そのものが嫌になってしまうことがあります。
しかし、「つらくても受けないといけないのでは」と考えて、毎年我慢して受けている方も多いのではないでしょうか。
胃がん検診にはバリウムを使った胃部X線検査(バリウム検査)と胃内視鏡検査(胃カメラ検査)があり、厚生労働省の指針では、いずれも対策型検診の検査項目として位置づけられています。
胃がん検診は、原則として50歳以上を対象に2年に1回行うこととされています。
以下、バリウム検査と胃カメラ検査についてみていきたいと思います。

バリウム検査のメリット・デメリット

バリウム検査とは、発泡剤で胃をふくらませたうえで、バリウム(造影剤)を飲み、胃の形や粘膜の凹凸をX線で写して観察する検査です。
まず知っておきたいのは、バリウム検査は胃の病気をその場で確定診断するための検査というより、胃がんなどの異常が疑われる所見を拾い上げるための検査だということです。
もちろん、バリウム検査は胃がんによる死亡を減らす効果が示されており、公的ながん検診として長く行われてきた大切な検査ですが、異常が疑われた場合には、あらためて胃カメラなどの精密検査が必要になります。
つまり、異常が疑われる場合には、「バリウムを受ければそれで終わり」とはならないのです。

胃カメラ検査のメリット・デメリット

これに対して胃カメラ検査は、口または鼻から内視鏡という細い管を挿入し、食道・胃・十二指腸の内部を直接観察する検査です。
わずかな色調の変化や凹凸、平坦な病変も評価しやすく、必要があればその場で生検(組織検査)を行い、病理診断につなげることができます。
微細な所見まで詳しく観察できること、異常が見つかったときに診断が行えることで次の診断へ進みやすい点は、胃カメラ検査の大きな強みです。
ただ、「胃カメラ検査も苦しいのでは」と不安に思う方も多いでしょう。
確かに、胃カメラ検査は喉を通して内視鏡を挿入するため嘔吐反射が起きやすく、つらいと感じる方も多い検査です。

つらい検査を少しでも受けやすく。鼻から&鎮静剤

胃カメラ検査には、口から入れる経口内視鏡と、鼻から入れる経鼻内視鏡があります。
経鼻内視鏡は、経口内視鏡に比べて嘔吐反射が起こりにくく、人によっては比較的楽に受けやすい方法です。
一方で、鼻腔の狭さや形の問題などから、経鼻内視鏡が難しい場合もあります。
さらに苦痛や不安をより軽くしたい場合には、鎮静剤を使うという選択肢もあります。
鎮静剤を使用すると、うとうとした状態やぼんやりした状態で検査を受けやすくなり、のどの違和感や緊張を和らげることができます。
以前に胃カメラ検査でつらい思いをした方でも、鎮静剤を使うことで苦痛を緩和できることが多くあります。
ただし、胃カメラ検査にも、鼻出血や粘膜の傷、まれではあるものの出血や穿孔、鎮静剤や前処置薬に伴う偶発症などのリスクがあります。
それに加え、鎮静剤を使用した場合には、検査後は眠気が覚めるまで院内でしばらく休む必要があり、その日は車やバイク、自転車の運転を控えなければなりません。
また、年齢や持病、体調によっては慎重な判断が必要です。
しかしながら、鎮静剤の使用は、胃カメラ検査はどうしてもつらそう、受けたくない。と思っている方にとって、知っておきたい選択肢です。

結局おすすめの検査はどっち?大切なのは自分に合った検査方法を選ぶこと!

一方で、バリウム検査にも重要な役割があります。
バリウム検査は、胃カメラ検査同様、胃がんによる死亡を減らす効果が示されている公的ながん検診の方法であり、自治体健診や職場健診でも実施されています。
ただし、つらさだけでなく、検査後の便秘や、まれではあるものの誤嚥や腸閉塞などの偶発症が挙げられます。毎年の健診が大きな苦痛になっている方にとっては、「本当に自分に合った方法なのか」を一度見直してみる意味があります。
では、今後胃の検査はどちらを選択すればよいのでしょうか。
大切なのは、自分に合った検査方法を選ぶことです。
バリウム検査は、健診の仕組みの中で受けやすく、公的ながん検診として広く用いられているという利点があります。
その一方で、バリウム検査が非常につらい方、より詳しく胃の状態を見たい方、異常があった場合にそのまま生検まで行える方法を希望する方にとっては、胃カメラ検査のほうが納得して受けやすい可能性があります。
ただし、胃カメラ検査を希望していても職場健診ではバリウム検査と胃カメラ検査のどちらかを選べる企業もあれば、バリウムのみで運用されている企業もあります。
その場合には、会社や健康保険組合に相談し、職場健診のバリウム検査は受けずに、別の医療機関で胃カメラ検査を受けるという方法もひとつです。
勤務先の制度や費用負担、結果の提出方法などはそれぞれ異なるため、事前に確認は必要ですが、「選べないから我慢するしかない」と決めつけなくてもよいのです。

大切なのは、つらさを我慢してバリウム検査を受け続けることではなく、続けやすく納得できる方法を選ぶことです。
バリウム検査には異常を拾い上げる役割があり、胃カメラ検査にはい粘膜を直接観察し、必要ならそのまま生検できる強みがあります。
そして、胃カメラ検査のつらさは、経鼻内視鏡や鎮静剤の使用によって軽減できる可能性があります。
胃の検査が憂うつになっている方こそ、一度「受け方そのもの」を見直してみてはいかがでしょうか。

[執筆者]

渡海義隆先生
半蔵門渡海消化器・内視鏡クリニック院長

2008年筑波大学医学専門学群(現・筑波大学医学群医学類)卒業。
2008年4月がん・感染症センター都立駒込病院にて研修。
2017年4月がん研究会有明病院消化器内科へ。
2021年4月より上部消化管内科医長に就任。
2023年9月より頭頸部がん低侵襲治療センター兼務。
2024年に半蔵門 渡海消化器内視鏡クリニックを開院。
「来てよかった」と思ってもらえるようなクリニックの雰囲気づくりや外来での丁寧な診察、これまでの経験を活かした質の高い内視鏡検査および治療を一人ひとりに提供することを第一に心がけて診療を行っている。

・日本内科学会認定内科医
・日本消化器病学会専門医
・日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
・日本消化器内視鏡学会学術評議員

半蔵門 渡海消化器・内視鏡クリニック
https://www.tokai-naishikyo.com/

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