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美肌の立役者?!ヒートショックプロテイン(HSP)とは?

近頃、様々なところで取り上げられているヒートショックプロテイン(HSP)。
ヒートショックプロテインとは、熱ショックタンパク質のことで、その名の通り、熱によるストレスを受けると体内でつくられる量が増します(熱以外にも、加圧や酸化などのストレスによっても発現するため、ストレスたんぱく質とも呼ばれます)。
HSPには、傷んだ細胞を修復したり、メラニンの産生を抑制したり、コラーゲン生成を助けたり……と、お肌にうれしいたくさんの働きがあります。
「HSPってテレビや雑誌などで、目にするとはあるけれど、実のところなんだかよくわからない」という方もいらっしゃるのでは?
今回は、そんな「HSP」についてお話ししたいと思います!

美肌の立役者?!HSP47とHSP70

HSPには、その分子量によりHSP10、HSP60、HSP90など、様々な種類があります。
それぞれ役割は違いますが、体内で新しくつくられたたんぱく質を安定化したり、破壊されたたんぱく質を修復したり、たんぱく質が変性してしまうのを抑制したりしています。

今回は、お肌に最も関連のあるHSP47とHSP70についてお話しします。
HSP47は、お肌の土台とも言えるコラーゲンのみに働くHSPです。
コラーゲンはたんぱく質の1つで、私たちの体内では合成と分解が常に繰り返されており、バランスを保ちながらコラーゲンが新しく入れ替わっていますが、加齢によりそのバランスが崩れるとシワやたるみの原因となってしまいます(シワのはなし②)。
さらにコラーゲンがつくられても、質が悪いと正しく働いてくれません。
HSP47にはプロコラーゲンというコラーゲンの前駆体と結合してコラーゲンが正しくつくられるのを助ける働きがあり、このような、HSPの持つ「新しいたんぱく質を助け安定化させる働き」を分子シャペロンと呼びます。
シャペロン(chaperon)とは、フランス語で、「デビューしたての若きレディが一人前になるのを介添えする年配の婦人」を指します。
プロコラーゲン(=若きレディ)が、社交界で正しく振舞い立派なレディとなれるよう (=正しくコラーゲンを合成できるよう)に助ける介添人(=HSP47)というわけで、とっても面白いネーミングですよね!
また、HSP47は成熟したコラーゲンにも結合し質を高めること、さらにHSP47の発現量とコラーゲンの産生量には相関があることが分かっています。
お肌にとってとても大切だということが分かりますね。
続いてHSP70についてお話しします。
HSP70には、コラーゲンの分解酵素を抑える働きがあります。
上述の通り、お肌のシワの原因の一つはコラーゲンの分解と合成のバランスが崩れることですが、HSP70には、そのバランスを整えてくれる作用があるのです。
さらにHSP70には、メラニンの産生を抑制し、細胞をUVに強くする作用があることが分かっています。
シワとともに気になるお肌の悩み、シミに対する効果もあるとは、とても心強いですね!

体内にHSPを増やすには??

様々な美肌効果を持つHSP。
では、これらを体内で増やすには、いったいどうすればよいのでしょうか?
最も手軽で安全な方法は、その名にある通り「熱」を加えることだと言われています。
一般的に体温が36~37℃で、そこから温度差(約3~5℃)が必要とされるため、40~42℃の入浴で、温める方法があります。
入浴法としては「42℃で10分」を勧めている専門家がいます。
しかし、42℃とはかなり高温なため10分入り続けるのが無理な場合は、途中で出たり浴槽内で立ち上がったりしてもよく、合計で10分ほど入浴するとよいそうです。
ただし、急激な温度差は、年齢や体調によっては刺激が強すぎることもあるので、のぼせや湯あたりにも注意して、自分の体の調子に合わせて行ってくださいね。
入浴の前後には、しっかり水分補給することも大切です。
最近の研究では、HSP量が最大になるのは入浴を行った2日後だということが分かっています。
ここをピークに1~3日ぐらいは効果が持続するそうなので、HSPを増やす目的であれば、週2回ほど40~42℃で入浴するとよいようですね。
ただし、熱めのお風呂は必要以上に皮脂を奪い、入浴後のお肌は乾燥してしまいがち。
熱めのお風呂に入った後は、いつも以上に丁寧なスキンケアを心がけましょう。

HSPは、アルツハイマー病の原因と言われる脳内のタンパク質βアミロイドの変性や凝集を抑えたり、体内の様々な炎症の原因となるNF-κBという炎症の元となる転写因子の活性を抑えたりする働きも持っています。
日本人の長寿の秘訣のひとつは、入浴の習慣にあるのかもしれませんね。

まだまだ寒い日が続き、ゆっくりとあったかいお風呂に浸かるのがシアワセな今日この頃。
お風呂でゆっくり温まってみてはいかがでしょうか?
(キレイ研究室:研究員 船木)

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