ターンオーバーが乱れるとどうなる?表皮の仕組み

ちょっぴり複雑、でもとても大切!お肌の仕組み、今回は「表皮」について説明します。

前回は、皮膚全体の構造についてお話ししましたが、今回は皮膚の中でも最も身近な表皮について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

ちょっと難しい話になりますが、図と見比べながらがんばってついて来てくださいね♪

表皮は、厚さ0.07~0.2mmととても薄いのですが、細胞は密に重なってできています。
表皮というと、皮膚の一番外側で、外部から身を守るためのもの、というイメージを持たれるかもしれません。

しかし!

実は、表皮は体の内部組織を守るという役割以外に情報処理機能を持っており、そこで得た情報から神経・免疫・内分泌系などの全身のシステムや、「こころ」にまで影響を与えているといわれています。
表皮は色を識別する能力を有しているという実験結果も出ており、皮膚というのは第2の脳である腸に続き、第3の脳であるともいわれているのです。

表皮の構造

表皮を構成する細胞の95%は角層細胞に変わるケラチノサイト(角化細胞)、それ以外にメラノサイト(色素細胞)、ランゲルハンス細胞(免疫細胞)などからできています。

そんな表皮ですが、前回も少し書いたとおり、4つの層に分かれています。
体の内部(真皮に近い方)から順に説明したいと思います。

◆基底層:真皮に接している層で、核のある円柱形の基底細胞が横一列に並んでいます。真皮の毛細血管から栄養をうけとり、その力で基底細胞は絶えず分裂を繰り返し、新しい細胞をつくり出しています。
また、基底層にはメラニン色素をつくる「メラノサイト(色素細胞)」と、最近では細胞分裂しても未分化な状態を維持して新たな細胞の供給源となっている細胞、表皮幹細胞の存在が示唆されています。

◆有棘層:この層を構成する細胞は、デスモソームと呼ばれる糖たんぱく質により接着されており、それが細胞の表面上棘(とげ)のように見えることから有棘細胞と呼ばれています。
有棘層は数層からできており、表皮内では最も厚い層です。
また、中ほどに「ランゲルハンス細胞」とよばれる細胞が点在していて、木の枝のような突起を表皮全体に張り巡らし、外から来る異物の認識と、その排除にかかわる免疫担当細胞として機能しています。異物の認識と排除にかかわる免疫担当細胞◆顆粒層:この層の細胞には、顆粒(ケラトヒアリン顆粒など)がつまっているため、顆粒細胞と呼ばれています。
顆粒細胞が角層へ移動するときに、細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)がつくられ、角層へと放出され、肌のうるおいやバリア機能を維持しています。

◆角層:もっとも体の外側にある層です。
1mmに満たないこの層で、外敵からの侵入を防いだり、肌の水分蒸散をコントロールしたりしています。
角層細胞は、核や細胞内の小器官がない平べったい細胞で、ケラチンという線維状のたんぱくで細胞内のほとんどが満たされています。
柱のように積み重なり、細胞同士のすき間を細胞間脂質が埋めています。

ターンオーバーとは?

基底層で分裂したケラチノサイトのうち、1つは基底層にとどまり次の細胞分裂に備えますが、もう1つは扁平になりながら基底層→有棘層→顆粒層と、どんどん上に押し上げられていきます。

角層の手前で核などが消失し、角層細胞という死んだ細胞になるという劇的な変化を遂げますが、それを角化といいます。

角層細胞は重なり合って角層を構成し、最後は垢となって肌の表面からはがれ落ちていきます。

この一連のサイクルをターンオーバーといい、このサイクルによりお肌は生まれ変わっているのです。

ターンオーバーにかかる時間は、部位や刺激の種類やその有無により変わります。

一般的には、基底層から顆粒層に到達するまでが約4週間、角層細胞になり最後に垢となってはがれ落ちるまでが約2週間かかるといわれています(皮膚の薄い顔などではもっと早くはがれ落ちます)。

ところが、このサイクルは様々な刺激によって乱れてしまいます。
刺激を受け角層の破壊などが起こると、皮膚はターンオーバーの速度を上げて、急いで異物の排除や修復を行おうとします。
しかし、急速に細胞分裂が行われると、未成熟なまま角層細胞となり、不完全な角層がつくられてしまいます。
角層が不完全だと、外敵の侵入を許したり、必要以上に肌の水分を蒸散させたりしてしまいます。
肌トラブルの多くは、このサイクルの乱れによって起きているのですね。

少し長くなりましたが、表皮の役割とその重要性についてわかっていただけたでしょうか?
次回は表皮の最上部、角層についてもう少し詳しくお話ししたいと思います。ターンオーハ?ー

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