髪や頭皮を知ってキレイな髪へ!髪の構造と断面について
私たちのカラダを覆っている毛。
場所によっては大切に扱われたり、邪魔者扱いされたりします。
特に髪の毛は美容に欠かせない体の一部であり、ヘアスタイルや髪の美しさなどがその人のイメージまでを変えてしまうほどの大切なものです。
皆さまも色々なヘアスタイルを試したり、ヘアカラーやパーマで色やフォルムを楽しんだり・・・髪には楽しいオシャレがたくさん!
でも、美しい髪でオシャレを楽しむためには、髪の健康があってこそだということをご存知ですか?
髪や頭皮のことを少し知るだけで、美しい髪を楽しむための近道になると思います。まずは基礎的な内容からご紹介していきましょう。
髪の構造;髪はお肌の角層が変化したもの
髪は、爪と同じように硬ケラチンというお肌の角層が変化してできたもの、すなわち死んだ細胞が集まったものです。(爪のはなし①~爪の構造と役割~)
髪は、表皮が真皮に向かって下方にのびてできたくぼみ(毛包)の中に生えており、毛包の壁(毛包壁)は表皮で覆われています。
また、その構造は、皮膚の表面に出ている毛幹(「髪の毛」と呼んでいる部分)と、毛包の中の毛根の二つの部分に分けられます。
毛根の根本、球状にふくらんでいる場所を毛球といい、その先のくぼみには真皮が入り込み、毛の栄養、発育をつかさどる血管や神経につながっています。これが毛乳頭です。毛乳頭が髪の毛をつくる指示を毛母細胞にだすと、毛母細胞が分裂し、角化して毛髪となって頭皮から押し出されるように次々と上に向かって押し上げられていきます。
お肌のように、切られた部分から新しく細胞がつくられるのではなく、毛根から生えてきた髪は生きていないので、自己修復することはありません。
髪は外からの環境や美容技術などの要因で傷ついたとしても元には戻ることはできず、また痛いという感覚もないので、ついつい負担をかけすぎてしまいがちです。美しい髪のためには、まずは髪のことを知って、傷めないことを考えることが大切なのです。
髪の断面;髪はキューティクルで守られている
髪の断面を見ると、中心を取り囲んで大きく分けて3つの層からできています。
中心部はメデュラで、その周りをコルテックスが取り囲んでおり、一番外側はキューティクルに覆われています。
1,髪の中心、メデュラ(毛髄質):
髪の中心に存在し細かな空胞に空気を含んだ多孔質体で、一般的には太い髪でよくみられます。頭皮に近い根元でメデュラがみられない毛髪でも、毛先になるとみられることがよくあり、ドライヤーの熱などのダメージにより空洞化し、顕在化することがあります。
2,髪の強さや硬さのもと、コルテックス(毛皮質):
髪の大部分(85~95%)を占め、この部分のたんぱく質や脂質の構造や水分量が、髪の柔軟性や太さに影響します。コルテックスの量が多いと髪は太く、硬くなり、少ないと細くなります。また、メラニンが含まれていて、メラニンの種類と量によって髪の色が決まります。日本人はメラニン量が多いので黒髪が多く、白髪にはメラニンはほとんど存在しません。
コルテックスは繊維状のたんぱく質の集合体で、まるでお線香の束のような繊維が何束も束ねられているように、コルテックス細胞が縦につながってできています。それぞれの繊維の束が側鎖(そくさ)という繊維間を結びつける腕でバラバラにならないようにつながっています。
しかし、繊維の強度に比べて側鎖は切れやすいため、ダメージを受けると縦に裂け、枝毛ができやすくなります。
3,髪を守るキューティクル(毛小皮);
髪の表面にある保護膜のような組織で、硬いたんぱく質が主成分です。半透明のうろこ状に重なって、髪の内部を守る働きをしており、これが壊れると髪が傷みます。キューティクル1層の厚さは約0.4~0.5μm(マイクロメートル/1μm =0.001mm)で、4~10層ほど重なっています。キューティクルの間には細胞膜複合体(CMC:Cell Membrane Complex)と呼ばれる部分があり、キューティクル同士を接着し、髪の内部をダメージから保護したり、毛髪成分の流出を防いだり、ヘアカラーやパーマ剤の通り道になったりもしています。このように、髪は自己修復しないために、とても硬いたんぱく質で表面を覆って外部からの刺激から守っています。しかし、生きた細胞ではないからこそ、美容の一環としてヘアカラーやパーマなどお肌とは違った方法でのオシャレの楽しみ方が可能になったのです。今後、ヘアカラーやパーマなどの上手な取り入れ方をご紹介していきたいと思います。
(キレイ研究室 研究員:西川)