SNSがストレスを増大させる!?12分でできるストレス解消法

桜の季節とともに年度も新しくなり、自分を取り巻く環境が大きく変わったという方も多いと思います。
新しい職場、新しい生活、新しい人間関係。
日々の変化に順応するまでは、心にも体にも知らずのうちにストレスがかかっています。
そのため、いつもより疲労感が抜けなかったり、うまく睡眠が取れなかったりといったことを感じられている方もいるのではないでしょうか?
実は、ストレスは心身の健康だけでなく、乾燥や肌あれを起こしやすくしたり、くすみができやすくなったりと、肌にも影響することがわかっています。(ストレスがお肌によくないって聞きますが本当?!)

美の大敵でもあるストレスですが、現代に生きる私たちはストレスから完全に開放されることは、なかなか難しいですよね。
今回はストレスを軽減するのにおすすめの、たった12分の過ごし方についてお話ししたいと思います。

12分の散歩中に〇〇するだけで、気分が劇的に改善する?!

米国アイオワ州立大学のDouglas Gentile教授は、学生に校舎の周りを12分間歩かせるという簡単なテストをおこないました。
ただし、散歩中にどのようなことを考えるかについて、
①愛情を込めた優しい気持ちを持つ
散歩中に見かけた人に対し、「あなたの幸せを心より願っています」といった優しい気持ちを持つ。
②相互持続性について考える
散歩中に見かけた人々が自分とどのような共通点や関係性(自分と同じ授業を取っているなど)があるのかを考える。
③下方比較をする
散歩中に見かけた人々よりも、自分の方が優れている点(例えば裕福である、背が高いなど)を探す。
それぞれ①=127名、②=125名、③=109名という3つのグループに分けて、テストをおこないました。
12分の散歩後に学生たちの幸福感や不安感、ストレス、共感性などのスコアをチェックすると、①の愛情を込めた優しい気持ちで散歩をしたグループは、全体的にとても良い結果となりました。
不安感やストレスが減少し、他者を思いやったり、他者とのつながりを感じたりする気持ちが増加していたのです。
②の相互持続性について考えていたグループも、他者への共感性やつながりについてプラスに働いていました。
しかし、③の下方比較をおこなっていたグループでは、優しさや共感性が、①のグループに比べて有意に減少してしまったのです!
(出典:Gentile, D.A., Sweet, D.M. & He, L. Journal of Happiness Studies 2019)

他人と比較してもいいことはない??

他者と自分を比較して、「でも、あの人よりはマシ」と思ってしまうようなことって、ありますよね。
その時の自分の感情や環境によって、街で見かけるホームレスだったり、TVに映る難民キャンプの様子だったり、離婚したばかりの友人だったり、比較対象はさまざまだと思います。
実は比較による自己肯定の感情については、デメリットばかりではないという意見もあります。
2001年に発売されベストセラーとなった「世界がもし100人の村だったら」という本を読んだことをある方はいらっしゃいますか?
あの本を読むと、「日本人は恵まれている」「日本に生まれてよかった」と感じられる方が多いかと思います。
もちろんこれは下方比較を推奨するような本ではないですが、人間には「自分よりも下の人がいる」ことを知ることで、「自分はまだいい方だ」と安心できる面があるのです。
心理学的にも、自信を失った際や落ち込んだときに下方比較をおこなうことは有効であると考えられています。
しかし、共同研究者のDawn Sweet氏は「基本的に、下方比較をおこなうことは、生存戦略のひとつである」と述べ、「いくつかのメリットがないわけではないが、他人と自分を比較することは、ストレスが増し憂鬱な気分を促進する面もある」としています。

流行りのSNSが他者との比較を加速させる!

ストレスを増大させる可能性のある他者と自分との比較。
そんな友人や知人との比較を加速させる傾向にあるのが、流行りのSNSではないでしょうか?
『結婚した』
『子どもができた』
『車を買った』
『旅行に行った』
『仕事がうまくいった』
他人の暮らしの充実ぶりや、幸福な様子が過度に伝わってきたときに、相手に対する嫉妬心や自分に対する失望を感じるということはよくあることです。
私たちがまだ子どもの頃、スマートフォンがなかった時代では考えられないほど、今は周りの状況がSNSを通じて溢れています。
ノモフォビアなんていう言葉が新しくつくられてしまうほど、現代の私たちはスマートフォンとそこから受けるさまざまな情報に囚われてはいないでしょうか。(「ノモフォビア」って何? スマホ依存症度チェック方法と対策)
飛び交う情報が本当に自分にとってメリットとなっているのか、一度見直してみてもいいかもしれませんね。

自分と誰かと比較することで、学ぶことや得ることもあります。
しかし、愛情を込めた優しい気持ちで誰かと接することほど、自分自身の安らぎや幸福感にとって効果的なものはないようです。
12分の優しい気持ちの散歩で、自分の感情やストレスの状況が劇的によくなるなんて、驚きですよね。
暖かい春の日差しの中、優しい気持ちで散歩をしてみませんか?

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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