[6]いざ投資を開始したいと思っても、やっぱり気になるのがリスク。どんなリスクがあって、どう回避すればいいの??今だから聞きたい「お金」のはなし
いざ投資を開始したいと思っても、やっぱり気になるのがリスク。
どんなリスクがあって、どう回避すればいいの??
若いうちから知っておきたい、お金の基本について、今回はくらしサポート代表の木村隆紀さまにお話を伺いました。
やっぱり不安?投資にはどんなリスクがあるのか
今まで投資をしてこなかった理由の一つに「お金が減るかもしれない」といったリスクがあるのではないかと思います。
でも具体的にどんなリスクがあるのか事前に理解しておいた方が良いと思います。
以下は主なリスクです。
・現金化したいときに、購入したときより株価、投信信託の基準価格が下がっていたら損失がでる
・株式の場合、会社が倒産したら価値がゼロになる
・上場廃止になると株券の価値がなくなる(会社の指定の買取価格で売却するため損失がでることがある)。
・投資信託の場合だと、売買手数料や年間の口座管理費がかかる場合があり、利益が出ても管理料と差引きして帳消しになってしまうこともある。
・個別株だとその会社が他の会社に買収されてしまうことがあるが、買収した会社の株と買収された株が交換になった場合、保有株の方が買収先より力関係が弱いと、交換比率が悪くなることがある
交換比率は少し難しいので、具体例をあげて考えてみましょう。
例えば、あなたが1株100円のA社の株を500株=50,000円相当の資産価値を持っているとします。
ある日、A社がB社(1株200円)に買収されてしまいました。
株式交換となったのですが、A社の株5株に対し、B社の株1株という条件での交換でした。
あなたの所有していたA社の500株は、B社の株として100株になります。
その結果、あなたの資産はB社株100株となり、約20,000円相当の資産価値 となってしまうのです。
さらに東京証券取引市場の株主の65%以上(2023年6月末現在)は外国人の株主です。
海外での政治や経済に変化が日本の金融市場に影響を与える可能性が常にあります。
リスクはなるべく下げたい。銘柄選びはどうする?
成長して資産形成の機会もありますが、リスクもあるのが投資です。
そのリスクを最小限にするために以下のような分散をする方法があります。
[1]地域分散
ご存知かもしれませんが、金利というのは国の政策ごとに違います(政策金利)。例えば、日本は-0.1%、米国は5.00~5.25%、欧州も3.5%~4.25%(2023年7月21日現在)と様々です。金利は今後も変動し市場も変化すると思います。従って、日本国内だけでなく他の国の商品を組みこむのもお勧めします。
[2]時間分散
例えば、NISAをやるのであれば、積立NISAをお勧めします。投資の初心者であればさらにこちらをお勧めします
皆、銘柄は最安値で買って最高値で売りたいですが、それはプロでも難しいです。
皆さんが老後を迎えるまで40年としてみると、将来何も経済ショックがないこと願っていますが、これからも経済ショックが無いとはいえません。
過去40年振り返ってみても、ブラックマンデー、米国サブプライムローン、リーマンショック、コロナショックがありました。
一定の金額の商品を銘柄の価格が上がっても下がっても買い続ければ、高い時は購入数量が少ないですが、下がった時は沢山の数量購入できます。
月々10,000円出資するとして、銘柄の価格が5,000円なら2口、2、000円なら5口。
1株の平均値を下げることによって急激な価格下落へのリスクを下げることができます。
[3]通貨分散
[1]にも近いのですが私達が最近、買い物に行くと商品の値段が上がっている理由の一つは為替の変化があります。日本は食べ物や資源も海外に依存している部分が多いですね。その為、複数の国の通貨にまたがる投資もお勧めします。
[4]複数の銘柄を所持する
一つの会社だとその会社の業績が長く伸びていけば良いのですが、悪い時もあると思います。
3社、4社と複数に分けて投資することによって、2社業績が悪くても残りの2社の業績が良くて総合的に利益が出るなどのリスク分散ができます。今回は内容が難しくなるので説明を割愛しますがその他国債や不動産に連動する商品REIT等もございます。
[5]業界分散
複数銘柄の所有とも近いのですが、会社だけではなくさらに業界でも分けることが大切です。
例えば、自動車業界の会社2社の銘柄を購入した場合、自動車業界が伸びていれば両方利益が出るかもしれませんし、たまたま片方が悪くても、もう片方の利益が期待できるかもしれません。
一方、自動車業界の景気が悪いと、2社とも同じ業界なので両方の株価が下がる可能性があります。
従って、自動車業界と公共交通機関の業界、円高に強い会社と円安に強い会社といった1社の株価がもう1社の株価に連動しにくい銘柄や日本市場とアメリカ市場等業界をわけることによってリスクを分散できます。
金融資産を取り扱う時の留意点
いろいろと銘柄を選ぶ方法やリスクについて書いてきて、銘柄を買うのが難しいと思いがちですが、実は売るのが一番難しいのです。
オプション等の特殊な商品を除いて、株や投資信託は安い時に購入し高い時に売ることによって利益が出ます。
しかし、銘柄が上がっていれば、もっと上がるのではないかと思ってしまい、売りそびれ。
そして価格が下がってくると、損をするのは嫌なので、といつか上がるだろうと思いつつ長い間保持してしまう(このような状態を「塩漬け」といいます)。
その間にどんどん株価が下落し、赤字が拡大してしまうなんてことも…。
ここで、第1回で説明したライフプランが大切なのです。
自分のやりたい事を実現するために、資産形成を始めると思います。
従って、利益がいくら(何%)で売却すれば自分のやりたいことを実現するためにお金が確保できるのか、決めておくのです。
また、いくらまでの損失であれば我慢できるのかということも考えます。
我慢を越えた割合だったら売却を検討します。
この自分のルールを決めて投資することが、利益を得られる可能性を高めるには重要になるのです。
今回は、投資のリスクについて説明いたしました。
売るのが難しいというのは意外かもしれませんが、しっかり目標を持って管理しましょう。
[執筆者]
木村 隆紀(きむら たかのり)
シニア・経営者向けファイナンシャルプランナー(FP)
屋号は「くらしサポート」。
人々が充実した人生を送れるコンセプト「未来志(史)」を提唱し、複眼を持ち中立客観性の高い視点から「お金」、「モチベーション」、「食」を通じ人生に伴走するサポートをしております。
主な事業はくらしとお金の相談(iDeCo・NISA等)、ライフプラン作成、終活、相続、事業継承支援。
産業カウンセラー取得実績があり、企業の人事採用面接や、製品企画や営業、世界34か国訪問経験もあり。
介護と育児を契機に独立。
趣味はスポーツ観戦と将棋観戦、ボードゲーム、ときどき料理。人々の応援時にアドレナリンが出てきます。
エコノミストの取材を受けました。
「未来志(史)」づくりで充実のシニアライフ