腸内環境を整えることで精神状態の改善にも期待。腸活と食生活のポイントについて筑波胃腸病院理事長鈴木先生にお伺いしました。

注目を集める「腸活」。
実は腸活をして腸の調子を整えると、お通じが良くなる以外にもさまざまな効果が期待できるんです。
腸活は、全身にどんな影響がある?
今回は、筑波胃腸病院 理事長の鈴木隆二先生にお話を伺いました。

腸活が、全身に影響するって本当?

実は腸内細菌と口腔内の細菌は関係があります。
口腔内の細菌は、食べ物と一緒に消化器系に入ります。
そのため口の中の細菌が腸内の細菌バランスに影響を与える可能性があります。
また、口腔内の健康状態が悪いと、腸内の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
口腔内と腸内の健康は密接に関連しており、全身の健康に影響を与えるといえます。
さらに、腸内の健康が改善されると、炎症が減少し、栄養素の吸収が向上します。
これにより、肌の状態が良くなり、髪の健康も改善されることがあります。
さらに、腸内環境が整うことで、免疫機能が向上し、全身の健康が改善されます。
腸内環境と精神状態には密接な関係があることもわかっています。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、セロトニンなどの神経伝達物質を生成しています。
腸内環境が悪化すると、これらの物質の生成が減少し、うつ病や不安障害のリスクが増加することがあります。
腸活を通じて腸内環境を整えることで、精神状態も改善されることが期待されます。
以上のように、腸の状態は私たちの全身に広く影響します。
良い状態を保ちたいものですね。

腸活と食生活のポイントは?

私たちが口にするものは、腸内環境に大きな影響を与えます。
食べた方がいいものは、
発酵食品ヨーグルト、納豆、キムチなど
食物繊維が豊富なもの野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)、全粒穀物・果物(リンゴ、バナナ)・海藻・きのこ類など
水分を多く含む食材
となります。

反対に、食べ過ぎない方が良いものとしては、
高脂肪食品
加工食品
過剰な糖分
アルコール
刺激の強い香辛料

などがあげられます。

そして、食べる順番にも気を付けてみましょう。
食物繊維を含む野菜などを最初に食べることで、血糖値の上昇を抑え、消化を助けることができます。
べジファーストを意識してみましょう。
また、食物繊維は便通を促進し、腸内細菌のバランスを整えますが、摂りすぎるとガスが溜まったり、腹部膨満感が生じることがあります。
適量や水分と一緒に摂取することを心がけることが重要です。
成人の場合、1日あたり20〜30グラムが推奨されています。
腸内環境に良い食品をとることは大切ですが、特定のものをただたくさん食べればよいのではなく、バランスを考えましょう。

腸は私たちにとって大切な器官です。
腸を冷やすことは良くないといえます。
冷たい食べ物や飲み物を摂取すると、腸の血流が減少し、消化機能が低下することがあります。
また、腸の温度が下がると、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えやすくなります。
温かい食事や飲み物を摂ることで、腸の健康を維持することが推奨されます。
まだ暑い日はありますが、冷たいものを摂りすぎて、腸を冷やさないように心がけましょう。

[執筆者]

鈴木隆二先生
筑波胃腸病院理事長

日本消化器内視鏡学会専門医
日本外科学会専門医
全ての患者の健康を第一に考え、日々最新の医療技術を提供しています。
理事長として筑波胃腸病院と千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック健診プラザをメインに運営し、消化器疾患の早期発見と治療、予防に力を入れています。

筑波胃腸病院
https://www.tsukubaichou.com/

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