紫外線や日焼け対策のおすすめは?SO.グレイスクリニック院長の近藤惣一郎先生にお伺いしました。

塗る日焼け止め、飲む日焼け止め、サングラスや帽子、日傘など、巷には紫外線対策グッズがたくさん。
どれをどう使って紫外線対策をするのがおすすめ?
今回は、SO.グレイスクリニック院長の近藤惣一郎先生にお話を伺いました。

紫外線対策・日焼け対策

紫外線対策・日焼け対策としては、帽子、サングラスを含めた衣類の選択に加え、日焼け止め(クリーム)の利用があげられます。
最近では飲む日焼け止めも知られており、PLエキス(Polypodium Leucotomos抽出エキス)やビタミンC、ビタミンB5など、さまざまな成分が配合されているものが市販されています。
しかし、これ自体には紫外線をカットする効果はありません。
ただし紫外線による肌へのダメージを軽減する効果が期待できます。
具体的には、活性酸素を抑制し、シミやシワ、赤みを防ぐ効果が期待できます。
飲む日焼け止めの単体使用では塗る日焼け止めの替わりにはなりませんが、塗る日焼け止めと併用することは意味があると考えます。

日焼け止め、きちんと選べてる?

日焼け止めクリームもその意味と作用機序をしっかり理解し、正しく使用できるか否かで、効果に大きな差がでます。
紫外線対策(UVケア)商品に表示されている「SPF30」とか「PA++」はどんな意味かご説明しましょう(感覚的には「SPF」:日焼け、発ガンに影響する紫外線(UV-B)から肌を守る目安、「PA」:肌のくすみ、しみに影響する紫外線(UV-A)から肌を守る目安、と考えていただいても結構です)。

SPFを知って、きちんと選ぼう

SPF:Sun Protection Factor:サンプロテクションファクターの略。
日焼け止め化粧品にSPF○○と数値で表示されているように、SPFは、サンバーン(主にUV-Bによる日焼けで肌が赤くなること)防止効果を示す数値です。
数値が高いほど効果が強く、数値の意味は、何も日焼け止めを塗らない状態と比べて、日焼けが始まる迄の時間を何倍に延ばす事が延ばす事ができるかという目安です。
何も塗らない状態で日光を浴びると、一般的に肌は約20分で日焼けをします。
日焼け止めを塗って、60分後に同程度の日焼けをした場合に(3倍の時間がかかった)「SPF」は3となります。
数字が大きいほど「UVB」を防ぐ効果が高く、最大50+(SPFが50より大きい)と表示されます。
しかし現実的には「SPF30」を超えるとそれほど効果に差はなくなり、逆に効果の高い日焼け止めほど、化学反応の影響で、肌への負担が大きくなる傾向があります。
ですから普段使用するなら「SPF20」程がお勧めです。
なお最近は 化学反応とは違った機序で紫外線を反射できるタイプもあり、これならSPFが高くても肌への負担は少なくなり敏感肌の方でも使用できます(SPF20・ノンケミカルなどと表示があります)。
なお同じSPFの製品を使っても、俗にいう「赤くなりやすい人:Skin Type I,II,III」は防御できる時間が短かく、また、紫外線は時刻や天候で強さが変わるため注意が必要です(紫外線は午前10時か~午後2時ぐらいがピークです)。
繰り返しクリームを塗ったり、帽子やウエア、あるいは直射日光や照り返しを避ける工夫を怠ってはなりません。
ただし、化粧崩れが気になったり、汗をかくスポーツ中は頻回にクリームは塗ることが難しくなります。
そんな時便利なのはスプレータイプの日焼け止めです。これであればメイクも気にせず頻回に繰り返せます。
スプレー自体を冷やしておけばクーリング効果も期待できます。

PAって知ってる?

PA:Protection Grade of UVA:プロテクショングレイドオブUVAの略です。
PAは、即時黒化(主にUV-Aにより一時的に皮膚が黒くなる現象)の防止効果を示す指標です。
・PA+:UVA防止効果がある、
・PA++:UVA防止効果がかなりある
・PA+++:UVA防止効果が非常にある
・PA++++:UVA防止効果が極めて高い
の4段階で表示されます。
「SPF20、PA+」のようにSPF値と併記されます。
SPFと異なり効果を実感することは難しいのですが、日焼け止めの選択に有効活用できます。

身体を紫外線から守るウエア

最近は、紫外線対策を意識して、夏の炎天下でも 長袖 長ズボンを着ている人も見受けられます。
また黒色が白色よりも紫外線をカットする事実が知られ(黒96%、赤と青87%、黄色76%、白67%)、最近街では夏でも黒い手袋や衣類 黒色の日傘を利用する女性も多いようです。
しかし、あまり重装備になるのも考え物です。
衣類は「熱をこもらせない」ことを考慮して、風通しの良い薄手の素材で、色も白など、光を反射する淡色系を基本にすればよいでしょう。
最近は、薄くて淡い生地でも 紫外線をブロックしたり、汗をすぐに蒸発させ体温を下げる、クーリング効果を持つ素材の衣類も多数メーカーから発売されています。

帽子・サングラス

帽子はひさしの大きなものほど有効で、顔の皮膚、髪はもちろん、眼も紫外線から守ることになります。
サングラスは眼を紫外線から守るために必須アイテムです。
夏のアウトドアでサングラスを忘れたり、曇りの日は大丈夫と甘い考えでサングラス無しで過ごすと、眼の充血、痛み、焦点の合いにくさ、視にくさが生じ、運転やデスクワークに支障を来し、倦怠感や集中力の低下、頭痛などをもたらします(紫外線角膜炎)。
数日で回復するものであれば良いのですが紫外線は浴び続けると眼の老化を早め、白内障や翼状片、黄斑変性症などを引き起こし大切な視力を損なうことにもなりうるのです。
だからこそ眼・アイケアは非常に重要になるのです。 _
サングラスは、紫外線カット率が明記され、高いものを使用しましょう。
ただし色が濃すぎるレンズを着用すると瞳孔が開き網膜に達する紫外線は返って多くなることも知られています。
日射しの強い日中だけで無く、朝夕の時間や曇天の状況でも良好な視界、視力を保つには濃すぎるレンズは不適です。
また濃すぎるレンズを着用すると瞳孔が開き網膜に達する紫外線は返って多くなることも知られています。
眼は人が生きてゆくために本当に貴重な器官です。
眼には十分過ぎるほど気を遣って紫外線対策を行いましょう。

焼けてしまった後のケア

日焼け止めや服装など工夫をしたにもかかわらず、肌が真っ赤になり、ヒリヒリする日焼けをしてしまった時の対処法をお話ししましょう。
この場合の日焼けは サンタンではなくサンバーンと呼ばれる火傷(やけど)で早めの対処が大切です。
水疱になっていない程度なら日焼けした部分を濡らしたタオルや冷たい水、氷などを使い、断続的に とにかく冷やします。
汗や潮を流す入浴も 水やぬるま湯でさっと流す程度にしてください。
くれぐれも熱いお風呂につからないでください。 
十分に冷やしたら日焼ケア専用のジェルをこまめに塗ったり、刺激の少ない化粧水で水分を与え、乳液やクリームなどで保湿を行いましょう。
ただし、水疱ができている場合は火傷です。
自己判断で使用したジェルや化粧品が逆効果になることも有り得ます。
その日の間(深夜ではなく早め)に病院を受診して下さい。
行けない場合はやけど用の軟膏があればひとまずそれを塗り、その部分をガーゼで保護して、翌日必ず受診して下さい。
水疱が破れたのち、感染症を発生すると、シミ(色素沈着)や瘢痕の後遺症を残してしまいます。

サンタン(黒化=日焼け)をしてしまったり、シミができてしまった場合

皮膚の乾燥はしわ、たるみ、しみの原因になりますので、とにかく保湿を念入りに行いましょう。
また継続して紫外線対策は続けましょう。
ビタミンCやトラネキサム酸、ビタミンEなどが有効です。
記述の飲む日焼け止め類も、肌のダメージ軽減効果がありますので、日焼けしてしまった後にむしろ有効であるとも考えられます。
サンタンの色が浅くなってきても、半年ほどしてもシミとして部分的に残ってしまった場合は、皮膚科でのレーザー治療が有効です。

まとめ

紫外線が全て害ではなくて、そのメカニズムをよく知って、正しい紫外線対策を行い、日焼け後の対策をしっかり行えば、シミを作らず、日焼け(サンタン)を楽しみ、免疫能を高め健康に過ごせることができるのです。

[執筆者]

近藤惣一郎(ロンリー侍ドクター)

SO グレイスクリニック 院長  
昭和63年 京都大学医学部卒 
医学博士(京都大学) 
日本美容外科学会専門医
日本脳神経外科学会専門医・評議員
若返り専門の美容外科医。
「美は健康の上に成り立つ!」をモットーに、自らもダンサー・プロ沖釣り師として活動中。

SOグレイスクリニック
https://so-graceclinic.com/

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