年末調整と確定申告の違いって知ってる?年末調整の仕組みと手続き方法についてお教えします。

年末が近づくと、会社から連絡がくる「年末調整」。
何となくおこなっていても、なぜ・何のためにしているのか、きちんと理解している方は少ないのではないでしょうか?
今回は公認会計士・税理士の小原崇史さまにお話を伺いました。

年末調整をする理由

年末調整は、給与から毎月控除される所得税額と実際の1年間の所得税額を一致させるための手続きです。
毎月の控除額は年間の給与変動を考慮していませんが、実際の年収はボーナスや残業手当、扶養家族の増減などにより変動します。
そのため、年末に1年間の正確な所得が確定した時点で再計算し、納付済みの税額との差を調整します。
これにより、控除額が多かった場合は還付され、不足していた場合は追加徴収されます。

年末調整と確定申告の違い

年末調整は、会社が従業員に代わって行う税金調整の手続きです。
給与所得のみを得ている会社員が主な対象で、会社がまとめて行うため、従業員個人では手間が少なくなります。
一方、確定申告は自身で所得を申告し、税額を納める手続きです。
フリーランスや個人事業主、給与以外の所得がある会社員、または年収2,000万円を超える会社員が対象です。
確定申告では、経費や控除を反映した上で正しい所得税額を計算し、申告します。

年末調整に必要な書類

年末調整を行うために必要な書類は以下の通りです。
1.扶養控除等申告書
扶養親族がいる場合に提出し、扶養控除や障害者控除を受けるために必要です。
2.配偶者控除等申告書
配偶者控除や配偶者特別控除を申請する際に使用します。
3.保険料控除申告書
社会保険料や生命保険料、地震保険料の控除を受けるための申告書です。
4.所得金額調整控除申告書
給与収入が850万円超で、本人が特別障害者である場合や、扶養に特別障害者がいる場合などに提出します。
5.基礎控除申告書
基礎控除を受けるために必要です。
6.住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除を受ける際に提出します。

医療費控除とは?

医療費控除は、年間で支払った医療費が10万円を超えた場合、その超過分を所得から控除できる制度です。
ただし、この控除は年末調整では対応できず、確定申告が必要です。
申告時には医療費の領収書や明細書をまとめ、確定申告書に必要事項を記入して提出します。
これにより、高額な医療費を支払った年には税金負担を軽減できます。

年末調整を正しく行うことで、所得税の過不足が調整され、納税の手間が軽減されます。医療費控除や住宅ローン控除など、確定申告が必要なケースも把握し、必要な書類を準備をしましょう。

[執筆者]

小原崇史
公認会計士・税理士

1989年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。
会計士試験に合格後、有限責任監査法人トーマツにて主に監査業務を経験。
都内中堅税理士法人で税務業務に従事後、2023年7月独立開業。
2024年4月1日に税理士法人化。
現在は、スタートアップや起業支援を行っている。

税理士法人小原会計
https://tax-ohara.jp/

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