セルフプロデュースの達人!クレオパトラについて~ビューティ今昔物語②~

『歴史上もっとも有名な美女は?』と聞かれたら、誰の名前を思い浮かべますか?
古代エジプトの女王、クレオパトラの名を思い出す方も多いのではないでしょうか。

クレオパトラ7世(古代エジプトにおいてクレオパトラという名は多く使われており、彼女の母親はクレオパトラ5世、娘もクレオパトラ・セレネ2世だといわれています)は、中国の楊貴妃、ギリシアのヘレネ(日本では小野小町とされることも多いです)と並び、世界三大美女と称される美貌の持ち主。

美しいだけでなく、エジプトの女王として、当時破竹の勢いであったローマとの同盟に手を尽くしたり、カエサルやアントニウスといった英雄たちを虜にしたり…と、逸話も盛りだくさんなクレオパトラ。
今回は、そんな彼女の美しさのヒミツをのぞいてみましょう!

美しさは歴史をも動かす!クレオパトラの美貌が歴史を変えた?!

「クレオパトラの鼻がもう少し短かったら(低かったら)歴史が変わっていた」との言葉を残したのは哲学者のパスカルですが、その美しさを得るために、クレオパトラはどのような美容法を取り入れていたのでしょうか。

クレオパトラはバラの花を重用していたことで知られています。
今でもバラは多くの女性に愛され、人気のある花ですが、当時のエジプトでは金よりも高い値段で取引されていたほどの貴重なものでした。

そんなバラの花をふんだんに使ったバラ風呂に入り、バラの香油を使ったマッサージを受け、バラの練り香水をつけ、クレオパトラはバラの香りをいつもまとっていたそうです。
バラの香りには、体内の抗酸化作用を高める・美肌効果を高める・ホルモンバランスを整えるなどといった、女性にとってうれしい効果があることが分かっています。
香りが素晴らしいのはもちろんですが、クレオパトラはバラの美容効果も知っていたのかもしれません。

また、クレオパトラと聞くと、目を縁どる印象的なアイメイクを思い出しませんか?
あのアイシャドウは、孔雀石(マラカイト)やラピスラズリなどといった宝石を粉にしたという贅沢なもので、その美しさや輝きは想像にかたくありません。
しかし、その贅沢なアイシャドウは、美しさを演出するためだけでなく、虫よけ(孔雀石には毒性があるため)や悪霊よけ(目から悪霊が入ると信じられていたため)の効果と、日射をやわらげる効果(プロ野球選手が目の下を黒くするのと同じですね)を期待されて使用されていたそうです。

そのため、当時は女性のみではなく、男性もアイシャドウを使用していました。
実はエジプトの男性は、肌色を良くするために黄褐色やオレンジ色の化粧品(今でいうファンデーションやチーク代わり)を使っていたことも知られている上、マニキュアを施す男性もいたことがレリーフに残っており、現代の男性に負けないほど(それ以上に?!)美容に対する意識が高かったようです。
なんと、クレオパトラはアイシャドウを眼病予防のためだけでなく、自分を美しく見せるためのメイクとして取り入れた初めての人物だといわれています。
塗り方にもこだわりがあり、上まぶたを青、下まぶたを緑と塗り分けるのがお気に入りだったとか。

日本でアイシャドウが一般に広まったのは昭和になってからということを考えると、紀元前を生きたクレオパトラの高い美意識が感じられますね!

ただ美しいだけじゃない!!クレオパトラのテクニックとは?

ところで、クレオパトラの魅力とは、美しさだけなのでしょうか?

実は、帝政ローマの著述家プルタルコスは、「クレオパトラの美しさは、抜きんでた美しさではなく、見る人に衝撃を与えるというほどのものではなかった」と対比列伝(英雄伝)に記しています。
しかし、クレオパトラの声については「弦楽器の音のように甘美な声の響きは、聞いているだけで喜びだった」と絶賛しています。
クレオパトラの美貌には、歴史家の間でも意見が分かれるところですが、彼女が魅力的であったことには、疑いの余地はありません。
当時の地中海周辺国で使われていた7つの言語を自在に操り、話術にも長けていたため、その美しい声で海外の英雄たちを次々と夢中にさせていったとか。

また、クレオパトラは歴史や詩、演劇などにも造詣が深く、様々な書物を読んで学び、馬術を嗜み、王女としての立ち居振る舞いの美しさを身に付けた、まさに才色兼備な女性だったそうです。
クレオパトラがカエサルに初めて会ったとき、彼女が贈り物のじゅうたんにくるまって現れたというエピソードは有名ですよね。
彼女はその聡明さで、自分の魅力を演出し、周囲にアピールしていったのでしょう。

美しさというのは、顔の造形だけにとどまらず、香りや雰囲気、しぐさ、知性や教養などさまざまな要素が相まってつくられるものなのかもしれませんね。

いかがでしたか?
さまざまな美容法やメイクで自分を磨き、理知に富み、自分の魅力を最大限に引き出して世の中を魅了したクレオパトラ。
自分の魅力をセルフプロデュースしていた彼女は、わたしたち現代女性にとっても、学ぶべきことの多い、まさに『究極の美女』といえるのではないでしょうか。

(キレイ研究室 研究員:船木)

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