3つの紫外線、A・B・Cの違いとは? ~紫外線のはなし~
太陽光は生命にとって必要不可欠なものです。
植物の光合成にも必要ですし、殺菌効果や、また浴びることにより体内でビタミンDがつくられるなど、生命にとってメリットとなる作用を持っています。
ですが、太陽光の一部である紫外線は浴び過ぎるとデメリットもあり、紫外線を知り上手にお付き合いすることは、美容と健康を守る上で、とても大切なことなのです!
3つの紫外線、A・B・C
まず、紫外線について説明したいと思います。
紫外線(UV=Ultra Violet)には、3種類あります。
◆UV-A:紫外線の中で最も波長が長く(320~400nm)、光エネルギー自体は強くありませんが、皮膚の内部(基底層から真皮)まで達します。
表皮の淡色メラニン色素を濃い色に変化させ、皮膚を黒化させる(サンタン)作用もあります(この作用を利用しているのが日焼けマシンです。日焼けマシンはUV-Bをカットしているものが多いのです)。
また、長期間浴びることにより、ハリや弾力を低下させ、皮膚の老化を促進することが知られています。
しかもオゾン層を通り抜けやすく、雲や窓ガラスを通り抜けやすいという性質を持っているので、曇りの日も日当たりの良い家の中でも対策が必要です。
◆UV-B:UV-Aと比べると波長が短く(290~320nm)、光エネルギーが強いため、肌表面の細胞を傷つけたり、炎症を起こしたりします。
日焼けして肌が真っ赤に焼けたり、水膨れができたり・・・このようなサンバーン(紫外線紅斑)の主な原因となるため、UV-Bはサンバーンスペクトルとも呼ばれています。
さらに、メラニン色素を増加させて、シミやそばかすの原因のひとつになり、免疫機能を低下させ、皮膚がん発症の原因になることもあります。
ただし、波長が短い分、UV-Aに比べるとオゾン層や上空の雲に阻まれ、地上に到達する量は全紫外線量の約10%と少量です。
◆UV-C:紫外線の中では波長が短く(190~290nm)、エネルギーはとても強いのですが、オゾン層で吸収されるため、地上には届きません。
殺菌用の紫外線ランプなどに使用されており、エネルギーの強さが分かると思います・・・絶対に体には浴びたくない紫外線ですね。
グラフをご覧いただくとわかるとおり、UV-A、Bともに4~8月にピークを迎えます。
ピークが終わると、徐々に下がりますが、ゼロにはなりません。
また、冬は空気が澄んでいて紫外線が大気中で散乱されにくくなり、さらにはお肌が乾燥し、バリア機能も弱まりがちなため、実際の照射量よりもお肌への影響が出やすいこともあります。
夏は万全だったケアも、秋になって涼しくなってくるとつい怠ってしまいますよね・・・。
しかも、UV-Aはガラスも透過するので、お家の中でも安心はできません。
秋になり、過ごしやすい気温になったからといって、紫外線のケアをせずに日当たりの良い部屋でごろごろする・・・とても気持ちいいものですが、実はそれだけで、かなりの紫外線を浴びてしまっているのです。
涼しくなってきても、紫外線ケアは忘れずに!
蛍光灯からも紫外線?!
実は、家やオフィスにある蛍光灯からも微量ですが紫外線が出ているのです!
・・・というと、びっくりして「日焼け対策しなきゃ!」と思われるかもしれませんが、蛍光灯から発せられる紫外線は、もっとも強いと思われる真夏の太陽光のわずか1/300程度しかないため、心配はいりません。
1時間(=3600秒)、蛍光灯の光を浴びるのと、12秒日光に当たるのとが同じ程度になるという計算です。
だからといって、家の中での対策が要らないわけではなく、上で述べたとおり窓などから入る紫外線の影響がありますので、室内にいる場合でも、気を付けてくださいね!
ちなみに、文化財や美術品保護のため、わずかな紫外線をも嫌う場所である、美術館や博物館では、紫外線吸収膜を使用した特殊な蛍光灯が使用されています。
また、近頃エコの観点から話題のLED電球は、発光原理が蛍光灯と異なるために紫外線は発せられません。
文化財や美術品を照らすライトも、最近ではLED電球に変わってきているようです。
植物はこの性質を利用して、花びらには紫外線を反射させる性質、めしべ・おしべには紫外線を吸収する性質を持たせ、花の存在と蜜の在処を示し、虫を誘引しているものもあるそうです。
生き物のもつ知恵というのはとても興味深いですね。
今回は、紫外線の種類についてお話ししましたが、いかがでしたか?
次回は、紫外線が体に与える影響やケア方法について、ご紹介したいと思います。
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]