[後編]iDeCo(イデコ)、NISA(ニーサ)って若いうちから始めた方がいいの??社会保険労務士の視点からお伝えします!

iDeCo(イデコ)、NISA(ニーサ)など耳にする機会はあるし、興味はあるけどよくわからない…
若いうちから始めた方がいいの??
今回は、話題のiDeCoとNISAについて、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの田形正広さまにお話を伺いました。

iDeCoやNISAのメリット・デメリット

国が投資をはじめる人を応援する制度にiDeCoやNISAがあります。これらはともに投資の優遇制度ですが、共通するのは投資で得た利益に対して課される税金が「非課税」になるという点です。
働いて得る給料には税金が天引きされていますよね?
投資で得た利益にも本来約20%の税金がかかるのですが、iDeCoやNISAを活用するとこれがかからなくなります。
シンプルな例で説明します。
仮に、投資した100万円が120万円になったとしましょう。
100万円を投資して120万円になったのであれば、120万円-100万円=20万円が投資の利益ですよね?
20万円の20%は4万円、本来であればこの4万円が税金として引かれてしまいます。
しかし、iDeCoやNISAならばこの4万円が引かれないのです。
これはとても有利な制度です。
iDeCoやNISAを活用すれば、この税金の4万円を引いた16万円でなく、20万円が全て自分のものとなります。
これはとても大きなメリットです。
この制度の中で皆さんが購入できる商品は、一定の基準に適合すると国が認めたものだけになるので、「投資は自己責任」とはいえ、少なくとも詐欺に引っかかることはないと言うことができます。

iDeCoとNISAの違い

NISAには、一般NISAと「つみたてNISA」があります。
一般NISAは個別の株式に投資するための制度ですが、「どの株を買うのか?」「いつ買って、いつ売ればいいのか?」について自分で判断する必要があり、初心者向きとはいえません。
ここでは、iDeCoとの比較ということで、「iDeCo」と「つみたてNISA」の違いについて説明します。
意識しておくべき大きな違いは
(1)積み立てたお金を引き出せるタイミング
(2)最低積立金額の違い
(3)掛金が所得控除になるかどうか

という3点です。

(1)については、つみたてNISAなら必要な時に売って現金化することができますが、iDeCoについては原則60歳まで現金化することができません。
投資は長期が鉄則なので、長期投資をしたい人にとっては「60歳まで引き出せない」という縛りがメリットになるともいえるかもしれませんが、どうしてもお金が必要な時に自分のお金を引き出すことができないというのはデメリットと感じる人が多いでしょう。
(2)については、つみたてNISAが月額100円という少額から積立可能なのに対し、iDeCoは毎月最低5,000円からとなっています。
また、iDeCoについては始める際に3,000円程度、また口座維持のために毎月200円から500円程度の手数料がかかるというデメリットもあります。
しかしこのデメリットを補ってあまりあるメリットがiDeCoにはあります。
それが(3)の所得控除で、このメリットはiDeCoだけのものです。iDeCoの毎月の掛金が所得から差引かれその分の所得税と住民税が引かれなくなる。
つまりご自身の所得に応じた税率の分だけ、払うべき税金を払わずに済むということです。
ご自身の拠出額に応じて確実に税金が少なくなるというのはとても大きなメリットです。
簡単な例で説明すると、所得税率が10%の方なら本来10,000円稼いでも税金で1,000円が引かれますが、iDeCoを活用すると、この税金の1,000円がかからずに済むという節税効果があるのです。

iDeCoとつみたてNISAどちらもやるべきか?どちらかを選ぶべきか?

どちらも加入すべき、どちらを優先すべき、という絶対的な正解はありませんが、投資に回すお金に余裕があるのであれば、「両制度の非課税枠をフル活用する」という意味で両方やることをおすすめします。
そこまでお金に余裕がないという方に関しては、つみたてNISAだけをはじめてみるのも良いと思いますし、iDeCoだけをはじめてみるのもよいと思います。
所得控除になるというメリットはiDeCoだけのメリットであり、税率の高い高所得者であればあるほどiDeCoのメリットは大きくなります。
どちらを先にどれくらいの割合でやるかという部分に関しては、ご自身の好きにできるお金の状況や価値観に最も合う組み合わせや配分で加入することをおすすめします。

お金は人生のツール、人生を料理に例えるなら、お金は包丁のような存在です。
包丁なら使えば使うほど上手になりますし、使わずにただ大事にしまっておいては技術が向上しないばかりか、いざという時に危険です。
料理をする時の包丁と同じように、投資についても実践に勝る経験はありません。
投資というと難しく聞こえるかもしれませんが、損をしないように国の制度をうまく活用するくらいの気持ちでいいと思います。
最近は証券会社の口座を開設するだけで無料でポイントがもらえ、そのポイントで投資をはじめられるキャンペーンなどもあるので、まずは、リスクのない形ではじめてみるのもよいでしょう。

執筆者

田形正広
Life Ship株式会社代表取締役。
社会保険労務士・キャリアコンサルタント・CFPファイナンシャルプランナー。
人材ビジネス業界にて20年、働く女性のキャリアやライフプランの相談に従事。
「知識がないと正しいアドバイスはできない」との考えから各種の資格を取得。
キャリアの土台としてマネーリテラシーを捉え、
自分も働いて、お金にも働かせる。お金の問題に悩まずに生きる「Financial Well-being」を広める。
「マンガで語るキャリア論」や「キャリアとマネーをセット語るマネーセミナー」講師。

Life Ship株式会社
https://life-ship.jp/

関連記事一覧