緊張するのは、誰だって同じ。大舞台の前の心の整え方をバレリーナの視点からお届けします。
大事な商談、面接、プレゼン・・・大舞台の前に緊張するのは、誰だって同じ。
舞台に立つのが日常のバレリーナは、どうやって心のコントロールをしているのでしょうか?
今回は、小さなころからさまざまな舞台に立ち、現在は根岸真由美バレエスクールを主宰する根岸美緒さまにお話を伺いました。
バレリーナは舞台の前に何を意識してるの?
真っ暗な客席から、たくさんのお客様のざわめきが聞こえる、開幕直前。
自分のミスで公演に影響があったらどうしよう、振り付けを忘れたらどうしよう。
いろいろ不安が浮かんでは消えていきます。
そんな舞台前に気持ちを整えたり、緊張をコントロールするには、自分自身を信じてあげることが最も大切です。
今まで自分がやってきたことを信じてあげられなければ、自信を持って舞台に立つことはできません。
とはいえどうしたって緊張はします。
でも、緊張に負けて自分の力を発揮できないことほど悔しいことはないので、その緊張すら楽しめるように自分に言い聞かせます。
どう踊ってもこの舞台は一回きり。
同じ踊るなら楽しまなきゃ損だし、何よりお客様に楽しんでもらいたい。
そう思うと、緊張のお陰で集中でき、緊張が力になります。
私は、生徒を舞台へ送り出すときも、「楽しんでおいで。」と言って送り出すようにしています。
舞台に一歩出た瞬間から、その世界に入り込み、その空間を楽しむことが大切です。
普段の生活で心を整えるために心がけていること
クラシックバレエの教師として活動するようになった今も、心を整えることを意識して生活しています。
心を整えるには、身の回りを整えることから。
忙しくてお掃除や整理整頓に気が回らなくなると、物事がスムーズにいかなくなり、悪循環になりがち。
忙しいときこそ、身の回りを整える時間をつくるようにしています。
身の回りが片付くと、頭も整理しやすくなり、心を落ち着かせることができます。
現在私はバレエの先生であり、主婦であり、二児の母であり(主人は単身赴任中)、両親は他界しているため祖母の面倒も見ています。
そんな中でバレエスクールを経営しながら家庭を守っていくのは簡単ではないですが、何足のわらじを履いていても、両立は可能だと考えています。
そんな中で気持ちの余裕がなくなりそうなときは、無心でお部屋を綺麗にします。
そうすると気持ちも晴れてスッキリして、前向きに頭を切り替えることができます。
心を良い状態にするには、体も良い状態であることも大切
もちろん、すべては健康な体があってこそ。
きちんとバランスよく栄養を摂ることも、十分な睡眠を取ることも大切です。
でも、食事を摂るにしても、消費カロリーが少なければ太ってしまうし、良質な睡眠を取りたくても、適度な疲労感がなければなかなか眠れないものです。
どちらも改善するには、運動などで適度に体を動かすのが良いと思います。
ひとくちに運動といってもいろいろなものがありますが、バレエやダンスは、好きな音楽に合わせて楽しく踊ることができます。
体にとっても心にとっても健康的でお勧めです。
舞台というと特殊に感じられるかもしれませんが、私生活でも同じなのではないかと思います。
どんな状況でも、自分の背中を押してあげられるように、物事を前向きに捉えることが大切です。
人生も一度きり。
怖がって前に進めずにいたら、時間がもったいないですし、やらなかったことはいつかきっと後悔すると思います。
不安でも、思いきって一歩踏み出してみてください。
きっと、その一歩が自信になり、一歩一歩が未来へと繋がっていきます。
[執筆者]
根岸美緒
1989年、母、根岸真由美のもとで3歳よりバレエを始める。
1998年、牧阿佐美バレエ団「くるみ割り人形」にてクララ役に選ばれ出演。
新国立劇場バレエ団公演、日本バレエフェスティバル等に子役として多数出演。
全国バレエコンクールにて上位入賞多数、数々の舞台にたち、ソリスト・主役を務める。
2001年~2003年、バレエ雑誌「クララ」のモデルを務める。
2005年、中国瀋陽舞踊学校にてバレエ研修。
2012年、橘バレエ学校卒業・余バレエアカデミー・クラシックバレエ教授法クラス卒業。
2014年、優秀指導者賞を受賞。
2023年、永眠した母の遺志を継ぎバレエスクール主宰者となる。
指導した生徒たちが、コンクールにて上位入賞を果たしている。
バレエの先生でありながら、二児の母としても奮闘中。
学校や病院からのオファーを受け、バレエを披露したり、講演を行うこともある。
根岸真由美バレエスクール インスタグラム
@negishi.mayumi_balletschool