マナーの根幹は「コミュニケーション」令和時代のビジネスマナーについて[電話対応・名刺交換編]

春から社会人になる、新しい部署へ異動するという方も多いのではないでしょうか?
そんな時、気になるのがビジネスマナーです。
今回は、まず押さえておきたい電話対応や名刺交換について、AGO global株式会社 代表取締役の湯山卓さまにお話を伺いました。

令和のビジネスマナーは今までとココが違う!

マナーの根幹は「コミュニケーション」です。
いわゆるやり方を学んでも、相手の状況を把握しないで、ただ挨拶するだけ、名刺交換するだけでは全く意味がありません。
また昭和のように、新人は元気が良ければOKなんて時代は終わりました。
これが分かっているかどうかだけで、あなたの取引相手の印象は180度変わってしまいます。
では、具体的にどうしたらいいのか一つひとつ解説していきますね。

相手を理解するコミュニケーションの基本

私が大企業、整体院、ITベンチャーと様々な業界を経験してきて痛感したのは、どんな業界でも「相手を理解する力」が成功の鍵だということです。
特に、今の令和の時代は形だけのマナーでは通用しません。
例えば、取引先の人と初めて会うとき、皆さんは何を考えますか?
「挨拶はどうしよう」「名刺はどう渡そう」・・・。
確かにそれも大切ですが、もっと重要なのは「この方は今どんな気持ちでここに来ているのだろう?」という相手への想像力です。
私が整体院で働いていたとき、患者さんの表情を見るだけで、痛みの度合いや不安の大きさがわかりました。
ビジネスの場でも同じことがいえます。
相手が急いでいるのか、不安を抱えているのか、期待に胸を膨らませているのか。
それを察知し、対応を変えられるかどうかが、真のマナーです。
具体的には、相手の呼吸のリズムや視線の動き、姿勢などを観察してみてください。
言葉よりも雄弁に相手の状態を教えてくれますよ。それに合わせて
「今日はお忙しい中」「お待たせしてしまいましたか?」
など、相手の状況に寄り添った一言を添えるだけで、印象がグッと良くなります。
相手が何を求めているのかを理解することで、適切な対応が自然とできるようになります。
これはマニュアルでは学べない、経験から得られる洞察力です。
皆さんも日常の中で意識して観察してみることで、この感覚を養うことができるでしょう。

電話対応:「聞く」から「理解する」へのシフト

苦手な人が多い電話対応。
実は私も大企業で会社員をしていた時代、電話が苦手でした。
でも、コツさえつかめば怖くありません、まず基本を押さえましょう。
「はい、〇〇部の△△です」と所属と名前を明確に。
相手の名前と用件を確認し、メモを取りながら最後まで聞く。
そして用件への回答や次のアクションを伝え、「お電話ありがとうございました」と締めくくる。
ここで私が強調したいのは、相手の「声」から情報を読み取ることです。
声のトーンや話すスピード、呼吸の仕方で、相手が急いでいるのか、不安なのかがわかります。
例えば、早口で話す相手には「要点だけ簡潔にお伝えします」と前置きして手短に。
丁寧に話す相手には、こちらも落ち着いたペースで応対する。
これだけで、相手は「わかってくれている」と感じるものです。
私がIT企業にいたとき実践していたのが、電話の後の「確認メール」です。
「先ほどお電話でお話しした〇〇の件、このように理解しております。違いがあればご指摘ください」
というフォローアップ。
これをするかしないかで、相手からの信頼度が全然違います。ぜひ試してみてください。
また、電話応対で大切なのは「メモを取る習慣」です。
相手の名前、会社名、連絡先はもちろん、会話の要点を箇条書きでさっと書き留める練習をしておくと、後で「あれ?何だったっけ?」という事態を防げます。これは単なる記憶の補助ではなく、相手に対する誠実さの表れでもあります。
しっかりとメモを取る姿勢は、「あなたの話を大切にしています」というメッセージにもなるのです。

名刺交換:単なる儀式から関係構築のスタートへ

春は出会いの季節ですね。
名刺交換って、実はすごく重要なチャンスなんですよ。
基本的な流れはご存知だと思います。自己紹介とともに「名刺を交換させていただけますか」と切り出し、名刺を両手で持ち、自分の名前が相手から見て正しく読める向きで差し出す。
「〇〇と申します。どうぞよろしくお願いいたします」と名乗り、相手の名刺も両手で丁寧に受け取る。
ここからが私のアドバイスです。
受け取った名刺を見ながら「〇〇様ですね」と相手の名前を確認するのは基本ですが、そこに一工夫加えてみましょう。「〇〇部署でいらっしゃるのですね。実は私、以前から御社の△△プロジェクトに興味を持っていました」など、相手の部署や会社についてのコメントを添える。
これは私がITベンチャーで取引先の人と会う際に必ずやっていたことです。
事前にその会社のホームページを見て、最新のニュースや商品について調べておく。
そうすれば自然と会話が広がり、「しっかり準備してきてくれた」という印象を与えられます。
最近はデジタル名刺も増えていますね。
その場合も、画面を両手で示し、見やすいよう気を配ります。
形は変わっても「相手を尊重する気持ち」は同じです。
名刺交換の後も、その名刺の扱い方が実はとても重要です。
会話の間は相手の名刺をテーブルの上に大切に置き、決して乱暴に扱わないこと。
これは相手自身を尊重している証でもあります。
また、頂いた名刺は後でしっかりと整理し、データベース化しておくと良いでしょう。
「以前お会いした〇〇さんですよね」と過去の出会いを覚えていることが、ビジネスでの信頼関係を深める第一歩になります。

電話応対も、名刺交換も、マニュアル通りにこなすだけでは気持ちがきちんと伝わりません。
これらも相手とのコミュニケーションと考え、相手のリアクションを見ながら、信頼関係を築いていけるといいですね。

執筆者

湯山卓(ゆやま・たく)
AGOメソッド®開発者/AGO global株式会社CEO
成城大学を卒業後、一部上場企業でキャリアスタート
39歳でITベンチャー企業に転職
41歳で独立、顎関節とうつ病の相関に着目した独自施術法を開発
AGOメソッド®セラピストスクールを運営
Forbes Japan掲載
医学界や多くのクライアントから信頼を獲得

AGO global株式会社
https://www.agoglobal.co.jp/

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