
基本は相手への理解と尊重。令和時代のビジネスマナー[歓送迎会・上司・デジタルコミュニケーション編]
春は歓送迎会などのイベントも多い時期。
気の置けない仲間との飲み会とは異なり、職場や取引先の方との席はちょっと緊張してしまいますよね。
今回は、歓送迎会のポイントやデジタル時代のコミュニケーションのポイントについて、AGO global株式会社 代表取締役の湯山卓さまにお話を伺いました。
歓送迎会での振る舞い:観察力を活かして場を読む
歓送迎会、楽しみでもあり緊張もしますよね。
でも、これもビジネスコミュニケーションの一環と考えれば、上手に乗り切れます。
まず服装。
私は「ジャケットさえあれば大丈夫」と思っています。
オフィスからそのまま参加する場合は、朝から小さめのジャケットを持っておき、パーティー会場で羽織るだけでも印象が変わります。
小さなアクセサリーやスカーフで華やかさをプラスするのも良いですね。
歓送迎会での私の鉄則は「最初の30分で場の空気を読む」ことです。
誰がリーダーシップを取っているか、誰が控えめにしているか、誰が盛り上げ役か。
それを見極めて、自分の立ち位置を決めます。
例えば、盛り上げ役が足りないなと感じたら「〇〇さん、学生時代のエピソードを聞かせてください!」と話を振ってみる。
逆に話したがりの人が多い場合は、「良き聞き手」に徹する。
これが「場を読む力」です。
お酒について、最近は「アルコール・ハラスメント=アルハラ」などの言葉もあるとおり、無理な勧酒は絶対NGです。
「いかがですか?」と一言添え、相手の了承を得てから注ぐようにしましょう。
自分も適量を守り、節度ある振る舞いを。
これは令和では鉄則ですね。
また、歓送迎会は普段なかなか話せない方と交流できる貴重な機会です。
特に、部署や役職を超えたコミュニケーションができるチャンスを活かしましょう。
ただし、あまりにプライベートな質問や会社の不満を話題にするのは避けるべきです。
代わりに、趣味や最近のニュース、共通の関心事など、気軽に話せる話題を用意しておくと会話がスムーズに続きます。
心地よい距離感を保ちながら、新たな人間関係を築く場と捉えることが大切です。
上司や目上の方への心遣い:「先回り」の気配りがカギ
上司や目上の方との関係で大切なのは「先回り」の気配りです。
私が40歳でITベンチャーに転職したとき、若い上司がたくさんいましたが、年齢に関係なく「相手の立場で考える」ことを心がけました。
報告や相談の際には、相手の予定を把握し「お時間よろしいでしょうか」と一言添える。
報告内容は「結論→理由→詳細」の順に。
忙しい上司は結論だけ聞いて「あとは資料で読むから」ということもあります。
臨機応変に対応できるよう準備しておきましょう。
言葉遣いでも、ちょっとした工夫ができます。
「お手すきの際に」「ご確認いただけますと幸いです」「〇〇については私が責任を持ちます」など、相手の時間を尊重し、かつ自分の責任感を示す表現を使いましょう。
また、上司との雑談も大切なコミュニケーションです。
世の中の動向や業界の話題など、共通の話題を持っておくと良いですね。
私は毎朝15分だけでも業界ニュースをチェックする習慣があります。
「先日、〇〇についての記事を読みました」と話せるだけで、知的好奇心の表れとして印象アップにつながりますよ。
さらに、上司や目上の方との関係で見落としがちなのが「フィードバックの受け方」です。
アドバイスや指摘を受けたとき、単に「はい、わかりました」と言うだけでなく、具体的にどう改善するかを伝えると良いでしょう。
「ご指摘ありがとうございます。次回は○○の点に気をつけて取り組みます」という応答は、あなたの成長意欲と前向きな姿勢を示すことができます。
このような細やかな対応の積み重ねが、信頼関係を構築する基盤となるのです。
デジタル時代のコミュニケーションマナー
今や働き方の主流となったデジタルコミュニケーション。
私も5つの事業を運営する中で、メール、チャット、オンライン会議を駆使しています。
ビジネスメールでは、件名を具体的かつ簡潔に。
「〇月△日の会議資料送付のお願い」のように、開けなくても内容がわかるようにすると喜ばれます。
本文は段落分けし、要点を明確に。
長文になりそうなら、冒頭に要点をまとめると、相手の時間を節約できます。
チャットでは、私は「5W1H+感謝」を心がけています。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、そして最後に感謝の言葉を。
例えば「お疲れ様です。明日の会議資料、15時までに必要なためご確認をお願いできますか?助かります」といった具合です。
オンライン会議は、実は対面よりも準備が必要です。
背景は整理し、カメラはオンに。
服装も上半身だけでも、対面と同様の身だしなみを。
私はオンライン会議の5分前には必ず接続し、音声やカメラの調子を確認する習慣をつけています。
ちょっとした準備が、スムーズな会議につながるんですよ。
デジタルコミュニケーションでも、基本は相手への配慮です。
画面越しだからこそ、表情や声のトーンに気を配り、相手が話しやすい環境を作ることを意識しましょう。
特に気をつけたいのが、文字だけのコミュニケーションでのニュアンスの伝わり方です。
メールやチャットでは表情や声のトーンが伝わらないため、思っていた以上に冷たく伝わることがあります。
ですから、少し丁寧すぎるくらいの言葉遣いを心がけ、必要に応じて絵文字や顔文字を適切に使用することも有効です。
もちろん、相手やシチュエーションによって使い分けることが大切ですが、温かみのあるコミュニケーションを心がけると、デジタルの壁を越えた信頼関係を築くことができます。
まとめ:令和時代のビジネスマナーの本質
ここまでさまざまなシーンでのマナーをお伝えしてきましたが、令和時代のビジネスマナーの本質は一つ。
「相手を理解し、尊重するコミュニケーション」です。
形式や型にとらわれるのではなく、なぜそのマナーが大切なのかを理解し、状況に応じて柔軟に対応できることが重要です。
私は多岐にわたる業界を経験してきましたが、どの世界でも通用するのはこの原則でした。
ビジネスマナーを身につけることは、単に「できる人」になるためだけではありません。
あなた自身が仕事をスムーズに進め、良好な人間関係を築くための大切なスキルです。
日々の小さな心遣いの積み重ねが、あなたの評価を高め、キャリアの可能性を広げていきます。
令和時代のビジネスパーソンとして、相手を中心に考えたコミュニケーションを意識し、素敵な大人を目指してくださいね。
マナーは単なる形式ではなく、相手との信頼関係を構築するための橋渡しです。
その本質を理解し、自分のスタイルに合った形で実践していくことで、あなたのビジネスパーソンとしての価値はさらに高まっていくでしょう。
私もまだまだ学び続ける毎日です。
皆さんと一緒に成長していけたら嬉しいです。
ビジネスの世界は常に変化していますが、人と人との関係の基本は変わりません。
相手を思いやる気持ちと、コミュニケーションを大切にする姿勢があれば、どんな時代でも、どんな場面でも、信頼される素敵な人になれると確信しています。
これからのキャリアに、今日お伝えしたマナーのエッセンスが少しでもお役に立てば幸いです。
執筆者
湯山卓(ゆやま・たく)
AGOメソッド®開発者/AGO global株式会社CEO
成城大学を卒業後、一部上場企業でキャリアスタート
39歳でITベンチャー企業に転職
41歳で独立、顎関節とうつ病の相関に着目した独自施術法を開発
AGOメソッド®セラピストスクールを運営
Forbes Japan掲載
医学界や多くのクライアントから信頼を獲得
AGO global株式会社
https://www.agoglobal.co.jp/