簡単に痩せられる?医療ダイエットのデメリットについてクリニック院長小倉先生にお伺いしました

『簡単爆ヤセ』『楽ヤセ』などの広告を目にすることが多い昨今。
食事制限や運動など、継続が難しいダイエット、注射や服薬でダイエットできるならやってみたいという方も多いのではないでしょうか。
でも薬を使う以上デメリットも気になる・・・。
今回は、クリニックでおこなう医療ダイエットについて、金沢駅前内科・糖尿病クリニック院長の小倉慶雄先生にお話を伺いました。

医療ダイエットの基礎:まずはここから

SNSや広告では『短期間で−〇kg』などの言葉があふれています。
しかし、医療の観点で考えると、体重の数字合わせではなく、合併症リスクを下げる減量が目的です。
最新のエビデンスに基づき、医療ダイエットの適応・方法・副作用と、日常でできる実践ポイントをわかりやすく解説します。評価の基本はBMIと合併症:BMI=体重(kg)÷身長(m)^2。
成人では18.5〜25未満が標準域。日本肥満学会(JASSO)はBMI≧25を『肥満』、医学的合併症を伴い治療が必要な状態を『肥満症』と定義します。
治療の大原則:まず生活習慣療法(食事・運動・行動変容)。
これで不十分な肥満症に薬物療法や外科治療を検討します。
最近話題となっている、『スペ120/125』などの俗指標は根拠が乏しく推奨されません。
体重・腹囲・血圧・血糖・脂質など医学的指標で評価します。
肥満症の診断と受診の目安
受診推奨:BMI≧25で、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病・睡眠時無呼吸・関節症・脂肪肝などの合併症がある/家族歴が強い/生活改善で減量が進まない場合。
目標設定:まず5~10%の体重減少を12週間〜6か月で目指すと合併症改善の恩恵が期待できます。

薬を使ったダイエットについて

薬物療法(1)GLP-1/GIP作動薬
・セマグルチド(週1回)
注射薬ではオゼンピックやウゴービ、経口薬としてはリベルサスとして知られる。
無作為化試験(STEP1)で平均約−15%の体重減少(68週)。
日本では2023年に肥満症で承認。適応はJASSO基準に準拠。
主な副作用は悪心・嘔吐・下痢/便秘、胆石・膵炎に注意。
・チルゼパチド(週1回)
注射薬であるマンジャロやゼップバウンドとして知られる。
無作為化試験(SURMOUNT-1)で平均約−20%の体重減少(72週)。
2024年末に日本で肥満症承認、2025年発売。適応・禁忌は最新の添付文書で確認。
注意すべき点は、いずれも美容目的の『誰でも打てる注射』ではありません。
肥満症に対する医師管理下の治療で、用量漸増・副作用対策と生活習慣療法の併用が前提です。

薬物療法(2)経口薬など
・オルリスタット
ゼニカルやアライとして知られる。
腸管で脂肪吸収を抑制。
体重・腹囲の軽度減少が期待。
脂肪便・便失禁など消化器副作用に注意。
・マジンドール
日本で承認された食欲抑制薬で、サノレックスとして知られる。
高度肥満症に限定、原則3か月以内など厳格な運用。
依存性や副作用リスクを踏まえ、慎重に。

クリニックでの施術によるダイエットについて

施術(1)脂肪溶解注射
デオキシコール酸(DCA)のFDA承認はアゴ下の脂肪のみで、Kybellaやサブメントンが有名。
顎下以外、体の他部位やカクテル配合製剤は未承認で、有効性・安全性の確実性は限定的。
重篤な有害事象の警告もあります。
表現として「溶かして流す」は不正確。
脂肪細胞を破壊→体内で処理されます。

施術(2)脂肪冷却(クライオリポライシス)
冷却により脂肪細胞のアポトーシスを誘導し、局所の脂肪厚が約10~30%減少することがある『部分痩身』技術。
体重減少を目的とする治療ではありません。
稀ながら矛盾性脂肪過形成(PAH)が報告され、医療者の適切な評価と説明が必要です。

施術(3)脂肪吸引
脂肪細胞の『数』を減らし輪郭を整える力が強く、部分痩身に有効。
一方、体重管理を怠れば他部位や残存脂肪が増大し得ます。
内臓脂肪が補償的に増える可能性を示す研究もあり、減量術ではない点に注意。

泌尿器・内分泌代謝の視点:減量で改善が期待できる症状

腹圧性尿失禁:体重減少で症状軽減が期待できます。
2型糖尿病・高血圧・脂質異常症:5〜10%の減量でも血糖・血圧・脂質の改善が得られることが多く、合併症予防に寄与します。

よくある質問(FAQ)
Q1:GLP-1/GIPなら必ず痩せますか?
A:平均として−15〜20%の試験結果がありますが個人差があります。食事・運動の併用と継続フォローが不可欠です。

Q2:副作用が心配です。
A:消化器症状が多く、用量漸増で軽減することがあります。胆石・膵炎、妊娠・授乳など禁忌・注意は医師と事前に確認を。

Q3:脂肪溶解注射は『どこでも』安全ですか?
A:アゴ下以外は未承認で安全性が確立していません。施術選択は保守的に。

Q4:冷却・吸引はリバウンドしませんか?
A:処置部位の形は保たれやすい一方、体重管理を怠ると他部位が増えることがあります。体重コントロールは継続必須です。

今日からできる実践チェックリスト

やはり、体重管理に最も重要なのは日々の生活です。
以下に気を付けて生活を送りましょう。
起床・就寝の時刻を安定化(平日・休日の差は±1時間以内)。
食事:高たんぱく・高食物繊維・適正脂質。就寝3時間前までに主食を終える。
運動:週150分の有酸素+週2〜3回のレジスタンス(下半身中心が代謝効率◎)。
飲料:甘味飲料・アルコールを控え、就寝前の過剰飲水は避ける(夜間頻尿対策)。
医療:適応があればGLP-1/GIPや経口薬を医師管理下で。未承認施術には近づかない。

参考文献(抜粋)
日本肥満学会(JASSO)『肥満症診療ガイドライン2022』
Wilding JPH, et al. STEP 1. N Engl J Med. 2021.
Jastreboff AM, et al. SURMOUNT-1. N Engl J Med. 2022.
PMDA審査報告書:ウゴービ(セマグルチド)
田辺三菱製薬/Eli Lilly:Zepbound(チルゼパチド)承認・薬価収載資料(2024–2025)
FDA. KYBELLA(DCA)添付文書/未承認『fat-dissolving injections』に関する安全性情報
冷却脂肪分解(クライオリポライシス)の系統的レビュー(PAHを含む安全性報告)
Benatti F, et al. Liposuction and compensatory visceral fat. J Clin Endocrinol Metab. 2012.
※本原稿は一次文献・公的資料に基づき執筆していますが、個別の症状・治療は医療機関でご相談ください。効果には個人差があり、副作用や禁忌は最新の添付文書・ガイドラインで必ずご確認ください。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

執筆者

小倉慶雄先生

金沢駅前内科・糖尿病クリニックは金沢駅から徒歩3分で「糖尿病」「肥満」「甲状腺」の専門的な治療を行っています。
糖尿病・肥満で悩んでいる、一人でも多くの手助けになりたい。
その思いで、患者様の生活スタイル・習慣と病状に合わせた最適な治療を提供します。

金沢駅前内科・糖尿病クリニック
https://kanazawa-naika.jp/

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