古代から食べられている「れんこん」栄養パワーの秘密がぎっしり詰まっていました!
「穴~のあいた、れんこんさん♪」
と、誰もが一度は耳にしたことのある、『おべんとうばこのうた』でもおなじみの、れんこん。
その特徴的な穴が開いた姿から、「先が見通せる」として、おせちにも欠かせない縁起のいい食べ物です。
厚生労働省によると、れんこんは年間野菜摂取量ランキングでは19位と、ギリギリでランクインしている野菜で、たまには食べるけど、冷蔵庫に常備されているようなポピュラーな野菜ではない…といったところでしょうか。
今回のテーマはれんこん。
この記事を読み終わると、アナタも冷蔵庫にれんこんを買い置きしておきたくなるかも?
穴は開いていても栄養はぎっしり!食欲の秋と美肌におすすめなれんこん
れんこんは、漢字で書くと蓮根となり、文字通り、お寺の池などで見られるあの美しい蓮の花の根っこ…ではなく、ジャガイモなどと同様地下茎が発達し肥大化したものです(本来なら蓮茎とでも呼んだ方が正しいのかも?)。
蓮は、大賀蓮と呼ばれる2000年前の蓮の種(縄文時代の種だそうです)が花を咲かせたことからもわかるとおり、とても生命力の強い植物で、日本人にはなじみの深い仏教とも密接なかかわりを持っており、泥水の中から生じて美しい花を咲かせる姿が仏の智慧や慈悲の象徴とされ、仏像の台座などにあしらわれています。
イモ類同様茎であるれんこんの主な栄養素は、イモ類と同じくデンプンです。
ビタミンCも多く含まれており(なんとレモン果汁に匹敵するほど!)、こちらもジャガイモやさつまいも同様、デンプンにより守られるので加熱にも強いといえます。
不溶性の食物繊維が豊富なため、お通じをよくしたい方にはぴったりの食材です。
れんこんを切るとちょっとネバッとしますが、これは多糖類の一種によるもの。
細胞の保水力を上げるといわれており、お肌のうるおいをアップさせる効果が期待できます。
さらに胃の粘膜を保護したり、胃腸の働きをサポートしたりしてくれるので、食欲の秋の到来で食べ過ぎ・飲み過ぎが気になる方はれんこんのチカラを借りましょう!
美肌に欠かせないビタミンCに、食物繊維。
100gで約66kcalと、さつまいも(同132kcal)やじゃがいも(同76kcal)と比較しても低く、ビタミンCや食物繊維を低カロリーで摂りたい女性にも良い食材です。
穴が開いたれんこんですが、意外にも女性の味方となる成分がたくさん詰まっているのですね!
れんこんで風邪知らず、さらには花粉症も? 免疫力UPのヒミツ
れんこんは奈良時代に日本に伝わり、『常陸風土記』に「神世に天より流れ来し水沼なり、生ふる所の蓮根、味いとことにして、甘美きこと、他所に絶れたり、病有る者、この蓮を食へば早く差えて験あり」と記録されており、当時から味もよく、健康にもよいとされていたことがわかります。
常陸風土記にもあるとおり、れんこんには免疫力を向上させる働きがあるということがわかっています。
れんこんに含まれるねばねば成分が口腔内や鼻の粘膜に働きかけ、粘膜のバリアを厚くし、細菌などの侵入を防いでくれるそうです。
喉がイガイガして少し痛いときには小鍋に水とすりおろしたれんこん・しょうがを入れて温めたれんこん湯が効果抜群だとか。
飲みにくい方は、こちらも抗菌効果があってのどに良いハチミツを加えると美味しくいただけます。
さらに、れんこんに含まれる成分には、花粉症の原因を作る「IgE抗体の生成を抑制する働き」があるとされています。
れんこんを切ると、切り口がだんだん黒ずんできますよね?
あれはタンニンというポリフェノールの一種が含まれていることによる起こるのですが、ポリフェノールにはIgE抗体を抑制する作用があるそうです。
このタンニンは皮に多く含まれる苦み成分なので、花粉症のためにれんこんを食べるときは、皮をむかず、あく抜きせずに食べましょう!
切るとすぐに色が変わってしまうので、手早く調理します。
IgE抗体抑制効果を持つポリフェノールは、ニンニクやタマネギにも含まれていますが、れんこんに含まれるねばねば成分は粘膜を強化してくれるので、さらに花粉症対策におすすめの食材といえます。
620を対象としたモニター調査では、れんこんを1日40g摂取し続けることにより、3か月間で花粉症の症状が改善された方が81%に上ったとの報告もあります。
今頃かられんこんを食べ続けることで、来春は花粉に悩まされずに過ごせるかも?
蓮は、れんこんはもちろん、花、種子、葉…とさまざまな部位が生薬として用いられている、強いパワーを持った植物。
中でもれんこんは美味しく気軽に食べられるので、美容と健康のために積極的に摂りたいですね!
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]