アトピー性皮膚炎の子どもは秋生まれが多い!?生まれ月とお肌について

生まれ月といえば星占いや性格診断、相性診断などを思い浮べますが、生まれ月で自分の運勢傾向が分かるのなら、美容と生まれ月も何か関係があるのではないかと思ってしまいます。

あまり知られてはいませんが、最近の研究では赤ちゃんのアトピー性皮膚炎発症率は生まれ月によって違うことが報告されています。これは、生まれた月によってお肌の健康に何か関係があるのかもしれないということではないでしょうか。

今回は、アンケート結果も参考に、生まれ月とお肌というテーマに沿ってご紹介したいと思います。

子どものアトピー性皮膚炎は増えている!?

生まれ月のお話をする前に、最近アトピー性皮膚炎の話題が多くなっているのはなぜかご存知でしょうか。厚生労働省の患者調査を見てみると、実際に1987年に約22万人だったアトピー性皮膚炎の総患者数は2016年には45万人と、約30年間で倍以上に増加しているからなのです。
この背景には、地表に到達する紫外線の量が1990年代初めの観測開始以降で増加傾向にあること、日本の平均相対湿度が低下していること、1970年代からの急激なエアコン普及などにより、お肌にとってダメージを与える環境要因が増加していることが理由として挙げられています。

それに伴い、アトピー性皮膚炎を予防する目的の研究も多くおこなわれるようになり、赤ちゃんの皮膚環境を整えることの大切さが報告され始めました(みずみずしくうるおいたっぷりの赤ちゃんのお肌こそ、保湿ケアが重要です!)。今では乳幼児期のスキンケアの重要性が、皮膚の専門化だけでなく、実際に子育てしているママたちにも理解されるようになってきているのです。

年配の方から子育て中のママさんに「自分たちの時代はこうではなかった」と言われることがあるかもしれませんが、現代に生まれた子どもたちは育つ環境が違ううえに、研究も日々進歩しているのですから、昔言われたことと今言われることに違いが出ても当然といえるわけですね。

アトピー性皮膚炎になる子どもは秋~冬生まれが多い!?

さまざまな研究報告のなかで、新生児期の肌環境を整えることの大切さが報告されていましたが、日本では生まれた月(季節)により肌への環境がずいぶん違うことを疫学的に調査したデータが2000年頃に発表されました。その結果によると、乳児アトピー性皮膚炎発症率は秋生まれの子どもに多いというのです。その後もこのデータを確認した研究報告が続々と発表されています。

理由を考えてみると、日本では春夏秋冬という季節が次々と移り変わる四季があり、お肌の視点から考えれば、気温だけでなく、お肌の大敵“乾燥”の過酷度合い、また花粉の飛散量などが季節によってさまざまなのです。たとえば日本の秋冬は、急激に気温が下がり湿度が低下するため、お肌の水分は奪われ、乾燥し、バリア機能が衰えてしまいます。ただでさえデリケートな生後直後の赤ちゃんのお肌が、より厳しい乾燥にさらされてしまうのです。

特に秋生まれの赤ちゃんは、秋から冬へと長い期間をかけて低温と乾燥にさらされます。そのため、もともとアトピー性皮膚炎になりやすい素因を持った赤ちゃんが乾燥する時季を長く過ごすことで、ほかの季節に生まれた子に比べてアトピー性皮膚炎の発症率が高くなるのではないかと考えられています。低温と乾燥はアトピー性皮膚炎の増悪因子としても知られていますので、まだ抵抗力が弱い赤ちゃんにとっては、厳しい環境だといえそうです。

また、現代の生活環境を考えても、一生懸命キレイに掃除や除菌した高気密・高断熱の家で、エアコンをかけ、より乾燥しやすい状態を招いているともいえます。外的刺激に負けない健康な赤ちゃんの肌を育てるという考え方から見れば、正しい情報を見極めることの必要性も感じますね。

予防できるの!?

生後直後の赤ちゃんの皮膚環境を整えてあげることの必要性から考えると、まずは湿度と温度を見直しましょう。赤ちゃんのお肌を冬の乾燥から守るためには、部屋の湿度を保ち、空気を乾燥させないようにします。赤ちゃんが過ごす部屋の理想的な湿度は50~60%とされているので、冬の湿度を保つには加湿器の活用がおすすめです。加湿器がない場合でも部屋のなかに洗濯物を干したり、お湯や水を張ったコップを置いておくのもよいでしょう。

また、寒いからといって高い温度での長風呂は、肌を乾燥させてしまいますお湯の温度は38~40℃にして、熱すぎないようにしましょう。お風呂から上がった後は保湿ケアで親子のスキンシップを楽しんでみてくださいね。アトピー性皮膚炎になりやすい素因を持った赤ちゃんでも、生まれてすぐからスキンケアをすることで、アトピー性皮膚炎の発症を抑えることができると考えられています。特に冬場や、花粉の飛散する季節は気を付けてみるとよいでしょう。

大人になっても影響があるの?

乳児アトピー性皮膚炎発症率は秋生まれの子どもに多いということですが、大人になってもやはりその影響は続くのか気になるところです。そこで、アンケート調査結果からアトピー性皮膚炎と診断されている方を生まれ月によって分類してみました。

30~40代を見てみると、確かに秋生まれの方がアトピー性皮膚炎と診断されている方が多い傾向にあり、50代ではアトピー性皮膚炎と診断されている方自体が少ない傾向が見られました。この結果だけでは結論付けることはできませんが、生まれ月による影響が大人になるまで影響する可能性があることが伺えますね。

生まれ月とアトピー皮膚炎

子どものころはアトピーだったけれど、大きくなっていく間にアトピーが改善されたという例はたくさんあります。しかし最近は、思春期になっても、大人になっても症状が改善されない方が増えています。また、成人になってから再発するという方も増えているのです。その原因は、環境や食べ物が大きく関わっており、不規則な生活や不摂生、ストレスなどが原因でアトピー性皮膚炎の再発につながってしまうといわれています。規則正しい生活、バランスのとれた食事、清潔な環境で心穏やかに過ごすこと、これらをすべて実現することは難しいですが、少しでも症状を改善するためにも、日頃から意識していきたいですね。

[文:キレイ研究室研究員 西川]

●生活スタイルに関するアンケート
※本アンケート結果はキレイ研究室がおこなった調査結果です。
※実施:2015年12月20日~1月20日、N=1,635
(20代:125名、30代:317名、40代:616名、50代:441名、60代:136名)
※掲載データ及び画像転載不可
データのご利用希望の際は、コチラからお問い合わせください。

関連記事一覧