オーガニック化粧品は安全で肌にいい??ISOによるオーガニックの定義と表記について

自然派化粧品、オーガニック化粧品……表現方法は色々ですが、ナチュラルなイメージの化粧品に心惹かれるという方は多いのではないでしょうか?

『オーガニック原料配合』『天然成分100%』といった表記や、フランスのエコサートなど、認証機関によるさまざまな種類のオーガニックコスメのマークがついた化粧品を見かけたことがある方も多いかと思います。

化粧品で使用されている「オーガニック」「自然」「天然」とは、何を表していて、私たちはどう受け取ればよいのでしょうか?

化粧品の自然・オーガニックに関する国際標準が定義される!!


近年の自然派化粧品、ボタニカル製品ブームにより、「自然」「オーガニック」化粧品市場は世界的に成長を続けており、美や健康に着目する女性たちの関心の高さがうかがえます。

しかし、「自然」「オーガニック」製品として認証されたマークが表示されていたとしても、その基準は国・地域や認証機関によってさまざまで、消費者にとってはとても分かりにくいものとなっていました。

さらに、「ナチュラル系コスメ」「自然派コスメ」など表示された化粧品に関しても、どんな原料を自然由来の原料とするか、自然由来の原料をどの程度含めば「自然派」と謳うかなどに関する明確な基準はなく、各化粧品メーカー独自の判断によるものでした。

商品を選ぶ側としては、何を信じて判断していいか、困ってしまいますよね……。

このような現状を打開すべく、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)から、化粧品の自然・オーガニックに関する定義を定め、初めての国際標準となるISO 16128が発行されました。

ISO 16128には、

〇自然・オーガニックに関する原料の定義

〇自然・オーガニック指数および指数の計算方法

が定められています。

では、実際にどのような表記がどのように変わったのでしょうか?

こう変わった! 4つの分類とは??

化粧品に「自然」「オーガニック」と表記する場合は、4種類の指数に分類されます。

これらの指数はISO 16128で指示された算出法によって算出され、%で表示されます。

また、水の有無を明記する必要があります。

1)natural content:自然指数

製品に自然原料が何%含まれているかを示す。

2)natural origin content:自然由来指数

製品に自然原料と、自然由来原料中の自然由来部分が何%含まれているのかを示す。

3)organic content:オーガニック指数

製品にオーガニック原料が何%含まれているのかを示す。

4)organic origin content:オーガニック由来指数

製品にオーガニック原料とオーガニック由来原料中のオーガニック由来分が何%含まれているのかを示す。

用語解説(ISO16128にて定義)

自然原料
水及び植物・動物・微生物・鉱物(石油・天然ガスを除く)起源で、且つ化学合成を伴わず乾燥や粉砕といった物理的な処理で得られたもの
自然由来原料
植物・動物などから得られた『自然由来部分』と、石油などから得られた『非自然由来部分』が化学反応してできた原料で、分子構造の50%以上が自然由来部分でできているもの
オーガニック原料
各国基準や国際基準で定められたオーガニック農法または収穫方法で得られた自然原料。※日本においては、有機JAS認証基準で定められる
オーガニック由来原料
オーガニック農法で得られた『オーガニック由来部分』と『自然由来部分』が化学反応して得られた原料で、石油由来の部分を含まないもの
実際に表示されるときは、

Ex.1)自然由来指数80%(水55%を含む) ISO 16128準拠

Ex.2)オーガニック指数32%(水を含まない) ISO 16128準拠

のようになり、自然・オーガニックの原料がどの程度含まれているのかを、どのメーカーの化粧品であっても同じ基準で判断できるようになりました。

今までは、ひとつしかオーガニック原料を使用していないにも関わらずオーガニックコスメと表示していたり、化学合成でつくられた自然由来原料を「自然原料」と謳ったりと、イメージよくするためだけに耳触りのよい言葉を使っている例もあり、私たちには判断が付かないこともありました。

現在は、ISO 16128準拠(“準拠”は省略される場合もある)と記載があるものは、自然やオーガニックな成分がどの程度含まれているのかわかるようになり、ナチュラルコスメを求める方にとっては商品を選択しやすくなったのではないでしょうか。

ただし、ISOが認証をするわけではなく、標記の有無は各メーカーの判断に委ねられます。

ISO 16128によって初めて国際的に定義された4つの表記方法。

これらは製品に含まれる自然・オーガニック原料や自然・オーガニック由来原料の配合%を示すものであり、製品の安全性や効果効能を示すためのものではありません。

また、自然・オーガニック成分だからといって、必ずしも肌によい・肌にやさしいというわけでもありません(薬機法でもこのような表現は認められていません)。

目を引く宣伝や売り文句を鵜呑みにするのではなく、自分の肌に合ったものを使うのがいちばん大切だということを忘れないようにしましょう。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]
この記事は、過去ブログに掲載した記事を加筆・修正のうえ再掲したものです。

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