感じる人ほど痩せている?!新しい味覚とダイエットの関係

私たちの舌は、5つの基本となる味を感じることがわかっています。
1.甘味2.酸味3.塩味4.苦味5.うま味の5つに分類され、この基本の味覚はほかの味を混ぜ合わせてもつくることができないとされています。
うま味は2000年に舌の味蕾にうま味成分であるグルタミン酸の受容体が発見されたことによって世界的に認知されるようになった味で、池田菊苗氏が1908年にだし昆布から発見し、名付けたもの。
日本国外では特にうま味に相当する言葉がなかったため、諸外国でも「umami」としてあらわされていることが多くなっています。
しかし最近、6つ目の味や7つ目の味があるのではという研究結果も報告されており、どうやら私たちの大きな関心であるダイエットとも大きなつながりがあるようです。
私たちが感じる『味』と体形の関係とは、どのようなものでしょうか?

6つ目の味は、脂肪! 感じる人ほど痩せている??

マグロも赤身より脂ののった大トロのほうが高級ですし、高級牛肉として人気を集める和牛の魅力も、細かく入ったサシと呼ばれる脂肪分です。
基本的に、私たちは脂肪分が大好き。
市場でも脂肪の多いもののほうが高級で好まれる傾向があります。
しかし、こうした食品を好まないという人もいますよね。
実は、脂肪分をどれほど感じるかは人によって差があり、この差がBMIに影響を与えるという研究結果が2010年に英国の栄養学会誌に報告されています。
オーストラリアにあるDeakin大学のKeast博士らによると、脂肪の味に対する感受性が高い人は、脂肪分の少ない食品を食べる傾向があり、そうでない人よりもBMIが低いとのこと!
反対に、脂肪に関して鈍感な人は、気にせず脂っぽいものをたくさん食べてしまい、その結果太りやすくなってしまうのです。
さらに、高脂肪な食品を食べ続けることで、脂肪の味に慣れ、脂肪に対する味覚が鈍くなる可能性があるそうです。
現代では、高脂肪の食品を簡単に手に入れて食べることができるため、高脂肪な食事を食べ続けてしまう恐れがあるとKeast博士は述べています。
(出典:British Journal of Nutrition Volume 104, Issue 1 14 July 2010 , pp. 145-152)
なぜ脂肪に対する感度が人によって違うのかはわかっていませんが、
『高脂肪の食事を摂る⇒脂肪の味に慣れてくる⇒たくさん食べてしまう⇒太る』
という流れに乗ってしまうのは、避けたいところ。
脂肪分タップリのこってりメニューは美味しくてもほどほどにとどめておきましょう!
また、第6番目の味覚については、2015年に米国のPurdue大学の研究者により、油を意味する「Oleo」と味覚を意味する「Gustus」を組み合わせ、「Oleogustus(オレオガスタス)」と呼ぶことが提案されています。
(出典:Chem Senses. 2015 Sep;40(7):507-16)
今は「酸味がきいてる」「塩気がちょうど良い」「ほろ苦さが最高」なんて表現をすることが多いかと思いますが、もしかしたら今後は「オレオガスタスがたっぷりでおいしいね~」なんて言うようになるのかも??

第7の味覚は、炭水化物。敏感な人ほどウエストが太い??

さきほど、第6の味覚「脂肪」について報告していたKaest博士らの研究により、2017年には第7の味覚としてパスタやパン、米などに含まれる、炭水化物の味(でんぷん質の味)の可能性が示唆されています。
炭水化物も糖の一種ですが、甘味とは別の『炭水化物らしい味』を人は感じているのだとか。
炭水化物はブドウ糖や加糖などから構成されており、体内で分解吸収されエネルギー源として利用されています。
しかも、炭水化物の感受性が高い人ほど炭水化物を多く摂取しており、ウエストサイズが大きい傾向があるという、脂肪味の感受性が高い人の時とは、体形的には逆の結果となったのです。
私たちの多くは「甘味」のある食べ物を美味しいと感じますが、炭水化物味に敏感な人は、炭水化物に甘さ以外の味、即ちおいしさを感じているため、摂取量が増える傾向にあるとこの研究では述べられています。
美味しいものをたくさん食べたくなる気持ちは、わかりますよね。
「味」に対する感じ方の違いなのに、逆の結果になるというのは、とても興味深いですね。
(出典:The Journal of Nutrition, Volume 147, Issue 12, December 2017, P2235–2242)

脂の味に炭水化物の味。
どちらも私たちが好む味ですが、どちらも摂り過ぎると肥満や生活習慣病を招きかねないものでもあります。
なぜ、この2つの味に対する閾値(感度)が人によって差があるのかは、まだ解明されていません。
ですが、これらがわかれば、私たちはより食欲をコントロールしやすくなり、体形のコントロールもしやすくなるかもしれませんね!
また、第5の味覚「うま味」が加わると、塩分や脂肪分を抑え、健康的でおいしく調理できることがわかっており、病院食やレストランなどでも多く実践されています。
ヘルシー且つおいしいものを食べたいときは、第5の味であるうま味を上手に利用しましょう。
美味しいものを食べたとき。
自分がどの味を好んで「美味しい」と感じているか、一度考えてみることをお勧めします。
自分が好きで、たくさん食べてしまう味の傾向を知ることは、きっと食べ過ぎ防止に役立ってくれるでしょう。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

関連記事一覧