栄養豊富で抗酸化、抗がん作用も!菜の花のもつすごい効果について
春をピンク色に彩るのが桜なら、黄色で包み込むのは菜の花ではないでしょうか。
「菜の花畑に入日薄れ」という朧月夜の歌詞や、与謝蕪村の俳句「菜の花や月は東に日は西に」にうたわれるとおり、優しい黄色の花は、春そのもの。
その花が咲く前のほろ苦いつぼみをいただくのも、初春の楽しみのひとつですよね。
でも、菜の花の魅力は季節を味わう楽しみだけにとどまらず、実はとてつもないポテンシャルを秘めた食材なのです!
豊富な栄養素! トップクラスのβカロテン!!
鮮やかな緑色からもわかるとおり、菜の花は緑黄色野菜のひとつです。
緑黄色野菜に豊富に含まれるβカロテン(プロビタミンA=ビタミンAの前駆体)は、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を正常に保ったり、活性酸素の発生を抑制するといった抗酸化力を有する、キレイと健康に欠かせない成分です。
日本食品標準成分表 2015年版(七訂)によると、菜の花には可食部100g中2400μg(和種なばな・生)も含まれ、ピーマン(400μg)やチンゲン菜(2000μg)の含有量を上回ります。
さらに、コラーゲンの合成にも重要なビタミンCの可食部100g中の含有量は、赤ピーマン(170mg)や芽キャベツ(160mg)には若干劣るものの、トップクラス (130mg)を誇り、美肌を目指す女性にとってはぜひ摂りたい食材なのです。
糖をエネルギーに変えるのに働くビタミンB群も含まれるため、疲れやストレスが気になる人にもおすすめ。
ビタミンB群は、数種類がチームとなって働くため、まとめて摂りたい成分。
菜の花にはB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸といったビタミンB群の成分がバランスよく含まれているので、効率良く働いてくれるのもうれしいところです。
また、カルシウム・カリウム・鉄といったミネラルも豊富。
菜の花に含まれる鉄分は、吸収効率の良くない非ヘム鉄なため、吸収率をアップさせるために、良質なたんぱく質やビタミンCを含む食品と一緒に摂るのがおすすめです。
春は出会いや別れ、新しいことが始まる季節。
楽しいことも多い反面、疲れやストレスも溜まりがちに。
ぜひ菜の花を食べて、エネルギーをチャージしましょう!
一番のポイントは、辛み成分イソチオシアネート
菜の花は、ブロッコリーや白菜などと同じアブラナ科の植物です。
ブロッコリーに含まれるものと同じスルフォラファングルコシノレートを始め、数種類のグルコシノレートが含まれています。
グルコシノレートは、同じく菜の花の別の細胞内に含まれるミロシナーゼという酵素と、調理や咀嚼などにより細胞が壊されることにより合わさることで、イソチオシアネートという成分に変わります。
このイソチオシアネートというアブラナ科の植物特有の成分の持つ健康効果に最近注目が集まっています。
最も注目を集めているのが、がんに対する効果です。
イソチオシアネートには、発がんを抑制したり、がん細胞のアポトーシス(細胞の自然死)を誘導させたりする効果があることが報告されました(出典:Drug Metabolism Reviews 32(3-4):395-411 ? October 2000)。
乳がんや胃がん、肺がん、肝がんなどさまざまながんに対する効果が研究されています。
そのほかにも、抗菌作用や抗酸化作用、肝機能の向上作用など、期待される効果はたくさん。
また、最近はアテローム性動脈硬化に対する効果も報告され、今後ますますその健康効果に注目が集まりそうです(出典:J Am Heart Assoc. 2018 Apr 17; 7(8): e008391.)。
可憐な見た目からは想像できないくらい、パワフルな効果を持つ菜の花。
その効果を享受しつつ、食卓でほろ苦い春の香りを楽しんでみませんか?
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]