ダイエットや健康を考えるなら「何を食べるか」より「いつ食べるか」が重要!?クロノニュートリションって知ってる?

「たんぱく質を多く摂ろう」
「体重が増え気味だから脂質や糖質は少なめに・・・」
「ビタミンはたっぷりがいい」
体調やダイエットなど、TPOに合わせ、いろいろと考えて食事や食材を選んだことは、だれしも経験があると思います。
しかし、それらを食べるタイミングって意識していますか?
眠る直前に高カロリーなものを食べると太りやすいと聞いたから止める、というイメージを持たれる方は多いかもしれません。
ですが、実際に食べる時間ってどの程度私たちの体に影響があるのでしょうか?
『いつ食べるか』によって食べたものの栄養効果が変化し、体内時計(概日リズム、サーカディアンリズム)に影響を与えるという考えを時間生物学(Chronobiology)と栄養学(Nutrition)を合わせて、クロノニュートリション:Chrono Nutrition(時間栄養学)といい、ここ数年で注目度が向上している分野です。
今回は、栄養素を摂取する時間が私たちに与える影響についてお話ししたいと思います。

『夜食べると太る』は本当?


前段でもお話ししましたが、ダイエット情報などでよく「夜は眠るだけで消費カロリーが少ないから太る」などの記載を目にしますが、これは本当なのでしょうか?
同じ食事内容でも、摂取する時間が変わると体にも変化があるかを調査した、米国Vanderbilt大学でおこなわれた実験についてご説明します。
被験者は健康に問題のない51~63歳の12名で、被験者を以下の2群(各n=6)に分けておこなわれました。
・1群:朝食(8:00)、昼食(12:30)、夕食(17:45)
・2群:朝食なし、昼食(12:30)、夕食(17:45)、夜食(22:00)=1群の朝食と同じ内容
つまり、2群は朝食の分の食事を夜寝る前に食べることになります。
被験者は、睡眠時間は23:00~翌7:00に調整され、昼・夕食の内容は2群とも同じ、1日の運動量も有意差の無いようコントロールされた状態で56時間を過ごしました。
その結果、朝食を食べた群では夜食を食べた群より、24時間で15g多く脂肪燃焼していたことが確認されました。
筆頭著者のKelly氏は「就寝前に摂取した食品は脂肪の燃焼を遅らせる。夜間の食事摂取を継続させることで、かなりの脂肪蓄積につながる可能性がある」と述べています(出典:PLOS BIOLOGY 18(2): e3000622. February 27, 2020)。

1日15gと聞くと大した量には感じません。
しかし、10日続くと150gに、そして1年(365日)続いてしまうと、なんと5,475gにもなるのです!
たまの夜食ならそこまで気にする必要もなさそうですが、それが日常化してしまうと、体脂肪の大幅な増加につながってしまう可能性が。
また、この試験では朝の分を夜食に回しているので総摂取カロリーは同じですが、3食+夜食を摂ってしまうとより脂肪蓄積を促すことに。
夕食後のデザートはちょっと我慢して、翌朝に持ち越すのがおすすめです。

筋肉を増やしたいなら〇〇は朝に摂るべき!


たんぱく質の豊富な肉料理や魚料理を食べるのは、夕食だという方は多いのではないでしょうか?
もし、あなたが筋肉を大きくしたい場合は、朝ご飯に食べるようにした方がいいかもしれません。
食事からのたんぱく質摂取は、骨格筋の維持と成長にはとても重要ですが、早稲田大学の柴田教授らの調査によると、私たちが接種するたんぱく質の量は朝夕で大きな差があり、朝食摂取するたんぱく質は夕食よりも28g少ないとのこと。
60歳以上の女性(活動レベルや身長、体重、脂肪量、摂取する食事量やたんぱく質量に有意差なし)の食事内容を調査したところ、たんぱく質を朝に多く摂取していた群(n=18)は夜に多く摂取していた群(n=48)に比べると、骨格筋量と握力が有意に高かったという結果に(出典:Cell Reports VOLUME 36, ISSUE 1, 109336, JULY 06, 2021)。
この女性たちのたんぱく質の摂取量は日本人女性の基準よりも多かったとのことで、筋肉をしっかりつけて筋力をアップさせるには、たんぱく質を
・量をしっかり摂ること
・朝に多めにとること
が重要となるようです。

被験者の女性たちは、たんぱく質を1日70g以上(日本人の食事摂取基準(2020年版)によると成人女性の推奨量は50g/日)を摂取し、朝食でそのうち約30gを摂取していました。
筋肉をアップさせたいというと男性のイメージがあるかもしれませんが、成長期の子どもやサルコペニア(骨格筋量の低下による身体機能の低下)が問題となっている高齢者にとっても筋肉はとても重要です。
シェイプアップのためにも重要ですが、いつまでも元気に、自分で動ける体を維持するためにも、筋肉運動とあわせて、食事内容や食事時間をコントロールしたいですね。
朝はパンとバターだけ、ご飯とお漬物やふりかけだけという方。
ハムやチーズ、卵や焼き魚などたんぱく質の豊富な食材を追加しましょう!
もう1品がしんどい時は、飲み物をカフェオレやミルクココアにするのもおすすめです。
オートミールなど、たんぱく質が豊富な穀物を試してみてもいいでしょう。

『何を食べるか(素材)』
『どう食べるか(調理法)』
これらは美容や健康に重きを置く方にとっては当たり前に考えていることですよね。
これからは
『いつ食べるか(時間)』
についてもしっかり考えることが、キレイへの近道かもしれません。
クロノニュートリションを意識した生活、はじめてみませんか?

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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