がんばってお手入れしていてもできてしまう虫歯・・・。オーラルケアのポイントについて、りょうきデンタルオフィス院長、領木先生に伺いました!

がんばってお手入れしていてもできてしまう虫歯。どうして?
今回はオーラルケアのポイントについて、りょうきデンタルオフィス院長の領木先生にお話を伺いました。

ここがポイント!虫歯になりやすい人とそうでない人の違い

同じようにちゃんと歯を磨いているつもりなのに、虫歯になりやすい人となりにくい人の差ができてしまうのはなぜなのか。
以下の4つの要素・原因についてお話ししてみたいと思います。

(1)一つ目はプラークです。
プラークは、虫歯の原因となる歯垢(シコウ)です。
プラーク除去は虫歯予防にとって重要ですが、歯ブラシの向きや当てる角度で、このプラーク除去の上手下手が出てしまいます。
上手に磨くコツとして「歯ブラシは手で持たない、指で持つ」ということを意識してみてください。
歯ブラシを鷲掴みに持つとストローク(動かし幅)はどうしても大きくなりがち。
歯の細かいカタチに沿った動きにはならず、その点、指で持つと歯のカタチによりフィットした当たり方になり、これだけでも「なんだか違う」と実感しやすいと思います。
持ち方を変えるだけなので、カンタンに克服は可能です。
できれば歯医者さんで、さらに効果的な磨き方を教わっていただきたいですね。

(2)二つ目は唾液です。
唾液には歯の表面を覆っていて保護膜的な作用があり、また歯の構成成分であるカルシウムを供給する役割もあるのです。
つまり唾液にしっかりと覆われることで歯としての新陳代謝が絶えずおこなわれているのですが、お口がぽかんと開きがちだと唾液が歯の表面を濡らせずエナメル質が更新されにくくなり、虫歯に対してより脆弱になりがちだといえます。
特に前歯については虫歯の危険性の他にも、上記のようにエナメル質が厚みをつくれないとその下の層の象牙質(エナメル質のような透明さは無く、やや黄色っぽい)の色が反映されやすくなり審美的にも損だといえますね。
「口を閉じる」という行為は(上下の)歯を噛み合わせることではなく、「唇を結ぶ」ことなのだということを覚えておいていただきたいです。
意識し訓練することで十分克服可能です。

(3)三つ目は遺伝による歯の硬さです。
虫歯はミュータンス菌の出す酸によっていわば歯が溶かされていく現象ですが、歯の実質の硬さがもともと硬い人は虫歯に対する抵抗性がより高いといえます。
一般的に、見た目のわりに体重がある人にはその傾向があると考えられます。
硬組織(骨や歯)密度が高いからです。
逆に見た目のわりに体重のない人は、カルシウム含めバランス良く食事を摂っていても虫歯のリスクは、あくまで比較の上ですが、やや高いと考えられるのです。
この点については遺伝的な理由も大きいとはいえ、(1)、(2)、(4)の内容をしっかり意識し実践することで克服していきましょう。

(4)大事な四つ目はブラキシズムです。
成人の虫歯というのは歯と歯が接触する面(隣接面といいます)に多くできやすく、ぱっと見でわかりにくく発見が遅れがちで、気づいたときには神経に迫るくらいにまで大きくなってしまっていることも珍しくありません(従って虫歯の痛みによって気づくという悪いパターン)。
ではなぜ隣接面に虫歯は発生しやすいのでしょうか。
ちょっと考えてみていただきたいのですが、もし完全な球体と球体が接触していればその接触点の面積は限りなく小さいですよね。
これを歯に当てはめてみると、歯と歯がしっかり接触していてもその接触面積が小さいほど食べ物ははさまりにくく、虫歯発生の可能性は低くなり、反対に隣接面が多いと虫歯になりやすいといえるのです。
そうであるなら、接触面積を大きくしてしまい、食べ物を引っ張り込みやすくなる最大の原因は何でしょうか。
それは噛みしめ喰いしばりや歯ぎしり(総称してブラキシズムといいます)です。
どんな人でもパソコンやスマホを凝視する時間が圧倒的に長くなった現在、首から上があたかも固定されたような姿勢のとき、歯を無意識に噛みしめている場合が極めて多いのです。
加えて睡眠中も歯ぎしりがあったりすると、広がった隣接面という格好の居場所をミュータンス菌に提供することになります。
克服法としては、自分に合った適切な形態(ここが重要)のマウスピースを歯医者さんでつくってもらい、特に意識のコントロールの効かない睡眠時に少なくとも装着することが求められます。
ブラキシズムは虫歯だけでなく歯周炎のリスクも高めます。
さらに、歯がしみる、詰め物や被せ物がしょっちゅう取れるなど、お口の中のトラブルの主原因といってもよいくらいです。
そして悪影響の最たるものとして、しつこい偏頭痛や、首肩のこりへ繋がることも、覚えておいていただきたいと思います。

執筆者

領木治良先生
りょうきデンタルオフィス院長

[経歴]
1994年鹿児島大学歯学部卒
2002年東京都千代田区に『りょうきデンタルオフィス』を開業
歯科一般治療の他に、完全手作りのカスタマイズドマウスピースを用いて、鎮痛薬等を一切服用することなく、噛みしめなどが原因で起こる頭痛消去の治療法を20年の臨床実績を通して構築。
頭痛外来医療機関で匙を投げられた患者さん含め、多くの方にご満足いただいている。
現在、当該メカニズムについての論文執筆中。
オーラルケアだけでなく、片頭痛に悩まれる方も、是非一度ご相談ください。

りょうきデンタルオフィスホームページ 
https://www.ryoki-do-tokyo.com/

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