寝つきが悪いのは寝室のせい?睡眠環境についてクリニック院長の中澤先生に伺いました

「眠りたいのになかなか寝つけない」
という経験をしたことがある方は多いと思います。
眠りにつくために大切なこととは?
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生による解説です。

あなたが寝付けない原因は何?意外と見落としがちな点とは

「布団に入ってもなかなか眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝起きても寝た気がしない」
そんな悩みがあると、ストレスや加齢のせいだと思いがちです。
しかし、まず見直したいのが寝室の環境です。
米国疾病対策センター(CDC)や米国国立心肺血液研究所(NHLBI)は、よりよい睡眠のために、寝室を暗く、静かで、涼しく、快適に保つことを勧めています。
さらに、就寝前は電子機器の使用を控えることも推奨されています。

まず見直したいのは「寝室の環境」

睡眠は、脳と体を休ませるための大切な時間です。
ところが、寝室が明るすぎる、音が気になる、暑すぎる・寒すぎる、寝具が体に合わないといった環境では、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすくなります。
CDCとNHLBIはいずれも、寝室を「暗い・静か・涼しい」環境に整えることを、睡眠改善の基本として案内しています。
快眠のための寝室環境を整備する上でのポイントを4つ整理します。

1)光はできるだけ減らす
夜の強い光は、眠る準備をする体内リズムを乱しやすくなります。
寝室の照明が明るい、寝る直前までスマートフォンを見る、通知や画面の点灯で目が覚める、といった状況は睡眠の妨げになります。
CDCは、就寝前少なくとも30分は電子機器の電源を切ることを勧めています。

2)音は「慣れているつもり」でも影響する
車の走行音、テレビのつけっぱなし、家電の動作音、家族の生活音などは、本人が気づかないうちに睡眠を浅くすることがあります。
CDCの睡眠環境に関する資料でも、寝室は静かであることが重要とされています。

3)室温は「少し涼しい」が目安
暑すぎても寒すぎても眠りにくくなります。
CDCやNHLBIは、寝室を涼しく保つことを推奨しています。
CDCの資料では、多くの人にとって快適な室温の目安として65〜68°F(約18〜20℃)が示されています。

4)寝具は「高価か」より「体に合うか」
マットレスや枕は、値段よりも体に合っていることが大切です。
朝起きたときに首・肩・腰が痛い、寝返りが打ちにくい、蒸れて途中で起きるといった場合は、寝具が合っていない可能性があります。
CDCの睡眠環境資料でも、快適なマットレスと枕が勧められています。

寝室を整えても改善しないなら、病気が隠れていることも

寝室の環境を整えても、眠りの質がよくならないことがあります。
その場合、単なる「寝つきの問題」だけでなく、睡眠障害が背景にあることも考える必要があります。
特に見逃したくないのが、睡眠時無呼吸症候群です。
NHLBIによると、睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり再開したりする病気で、体に十分な酸素が取り込めなくなることがあります。

いびきだけではなく、「日中の眠気」も重要なサイン
睡眠時無呼吸症候群では、いびき、睡眠中のあえぎやむせ込み、呼吸が止まる、朝起きてもすっきりしない、日中の強い眠気などがみられます。
AASMも、閉塞性睡眠時無呼吸の代表的な症状として、いびき、あえぎ、呼吸停止、日中の眠気や疲労感を挙げています。

「しっかり寝たはずなのに疲れる」ときは要注意
睡眠時無呼吸症候群があると、睡眠中に呼吸が何度も乱れることで眠りが分断され、睡眠時間が長くても熟睡感が得られにくくなります。
AASMの資料でも、閉塞性睡眠時無呼吸は睡眠を断片化させ、日中の眠気につながるとされています。

肥満や高血圧がある人は特に意識したい
AASMの診断ガイドラインでは、日中の強い眠気に加えて、習慣的ないびき、目撃される無呼吸、あえぎ・むせ込み、高血圧などがある場合、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸のリスクが高いとされています。

こんな症状があれば受診を検討

次のような症状がある場合は、寝室環境の見直しだけで済ませず、医療機関に相談することが大切です。
・大きないびきが続く
・寝ている間に呼吸が止まると言われた
・夜中に息苦しさやむせ込みがある
・朝起きても疲れが取れない
・日中の眠気が強い
・寝つきの悪さや中途覚醒が長く続いている
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、睡眠検査を含めた評価が必要になることがあります。
AASMは、症状のある人を適切に見つけて評価につなげる重要性を示しています。

まとめ

寝つきが悪い、眠りが浅いと感じたときは、まず寝室を「暗い・静か・涼しい・快適」な環境に整えることが基本です。
就寝前のスマートフォン使用を控え、音や室温、寝具を見直すだけでも、眠りやすさが変わることがあります。

一方で、いびきが大きい、呼吸が止まるといわれる、朝からだるい、日中の眠気が強いといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
睡眠の悩みを「体質だから」と片づけず、寝室の環境を整えることと、必要に応じて受診することの両方が大切です。

【参考文献】
・CDC. About Sleep.
・NHLBI. Sleep Disorder Treatments.
・NHLBI. What Is Sleep Apnea?
・AASM. Obstructive Sleep Apnea Screening Health Advisory.
・CDC. Create a Good Sleep Environment.
・CDC. Tips to Improve Your Sleep When Times Are Tough.
・NHLBI. Insomnia – Treatment.
・AASM. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea.

執筆者

中澤佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
金沢医科大学医学部医学科卒業。
「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。
2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニック(https://kanazawa-naika.jp/)を開院。

なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/

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