「美」を追求するならやっぱり睡眠!その関係は、睡眠ホルモン「メラトニン」と幸せホルモン「セロトニン」にありました

生体リズムの調整に大きな役割を持ち「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンをご存知でしょうか。
このメラトニンは、「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンをもとにつくられています。
そのため、このセロトニンの分泌が、メラトニンの分泌・・・つまりは良質な睡眠に関わってきます。

今回は、良質な睡眠のためのホルモン、メラトニンとセロトニンについてお話しします。

睡眠ホルモン「メラトニン」とは?

メラトニンは、ホルモンのひとつで脳の松果腺(しょうかせん)から分泌され、サーカディアンリズム(概日リズム(がいじつリズム)。カラダの基本的な働きを変化させる約24時間のリズムのこと)や、季節のリズムを調節する作用を持っています。
メラトニンは光によって分泌が調整されるため、日中はあまり分泌せず、夜になり暗くなると分泌量が10数倍に増えるというはっきりとした日内変動があります。
メラトニンが脈拍・体温・血圧・呼吸数などを低下させることで、睡眠の準備ができたとカラダが認識し、眠りにつくことができるのです。夜眠りにつく時間に合わせて、カラダが自然と分泌の量をコントロールすることで、適切な時間に眠りにつけるようになっているわけです。

近年、メラトニンは脳だけでなく、網膜、消化管、心臓、生殖器、皮膚などほぼ全身にて産生されることがわかっています。
また、メラトニンが高い抗酸化効果や抗炎症効果を有することが報告されています(出典:J Pineal Res. 2016 Oct;61(3):253-78  Curr Neuropharmacol. 2010;8(3):228-242.)。
そのため、全身へのさまざまな効果が期待されているホルモンといえます。
睡眠のためだけでなく、私たちの美容と健康にとってもメラトニンはとても重要なのです。

では、このメラトニンを効率よく分泌するにはどうすればよいのでしょうか?

幸福ホルモン「セロトニン」とは?


メラトニンはセロトニンを元に合成されるため、メラトニンをたくさん分泌したい場合はたくさんのセロトニンが必要となります。
セロトニンは、同じ神経伝達物質であるノルアドレナリン(恐れ・怒りなど)やドーパミン(快楽、喜びなど)の暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると、怒りっぽくなる・イライラする、などが起こりやすくなってしまいます。セロトニンがしっかり働くと、心が落ち着き、幸せな気分になるため「幸福ホルモン」と呼ばれているのです。
睡眠のためだけでなく、とても重要なセロトニンを増やすためには、以下のことを取り入れてみましょう。

・日中に光をしっかり浴びる
太陽の光(または、同様の光・明かり)が目から入ると、脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化します。
昼夜逆転の生活や、日中に屋内にこもって太陽光を浴びない生活をしていると、セロトニンとメラトニンの分泌のバランスや、体内時計が狂ってしまうので気を付けましょう。
直射日光である必要はないので、時間のない方はカーテンを開けて部屋を明るくすればOKです。
太陽光を浴びる際は、屋外に出るときはもちろん、室内にいる場合でも、長時間浴びる場合や紫外線の強い時期にはUVケアを怠らないようにしましょう。
また夜間であっても、強い照明(1000ルクス以上のコンビニの店内の照明など)を浴びると、メラトニンの分泌量が低下することが分かっています。
睡眠がうまく取れないときは、夜間の照明にも気を付けましょう。

・トリプトファンを摂取する
セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸からつくられているため、セロトニンをたくさんつくるには、トリプトファンを含む食品をたくさん摂取することが大切です。
トリプトファンは、肉や魚などの動物性たんぱく質、ご飯・小麦といった穀物、チーズや牛乳などの乳製品、豆やナッツ類、など多くの食品に含まれているので、さまざまな食材をバランスよく食べるようにしましょう。

・運動をする
以前、良い睡眠のためには運動が大切だと話しましたが、実はその理由のひとつがセロトニンで、リズミカルに繰り返される運動により、セロトニンの分泌が活性化することが分かっています。
ウォーキングやスクワット、自転車こぎなどの軽い運動、深呼吸を促すヨガ、大きな声で歌うことなどもおすすめです。
また、食事の際、しっかり「噛む」ということもリズミカルな繰り返し運動になります。

・グルーミング
グルーミングとは群れ内でおこなう毛繕いなどのことで、要は家族間・夫婦間・恋人間などでおこなうスキンシップです。
人との触れ合いがセロトニンの活性化に効果があるといわれています。
メールや電話でのコミュニケーションもいいですが、直接会って触れあうことも大切ですよね!

・腸内環境を整える
実は、セロトニンの90%以上は腸内でつくられています。
そのため、腸内環境を整えること、腸(お腹)を冷やさないということは、とても重要です。

メラトニンとセロトニン、どちらも睡眠には欠かせないホルモンなのですが、実は、セロトニンの分泌には男女差があります。
なんと、女性は男性の52%ほどしか産生能力がなく、さらにトリプトファンが不足すると、脳内セロトニン合成が男性より大幅に減少するともいわれています
絵巻「病草紙」で不眠に悩んでいたのも女性でしたし、眠れずに悩む女性が多い原因のひとつかもしれませんね。
メラトニンはトマトやキャベツなどの野菜やサクランボやブドウなどの果物、きのこ類、ナッツ類にも含まれていることが報告されており、食事から摂取される植物由来のメラトニンにも注目が集まっています。
バランスの良い食事も、睡眠にとってはとても大切なのですね。

睡眠は美容と健康を考える上ではとても重要な要素です。
女性の皆さまは、特にお気を付けくださいね!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

関連記事一覧