あさりをいじめて美味しくダイエット!?あさりの秘めた可能性教えます

1年を通して販売されているあさりですが旬はちょうど今の時季(9~10月)と春(4~5月)の2回訪れるといわれています。
貝類に含まれるコハク酸はうま味成分として知られていますが、あさりは貝類の中でもコハク酸が豊富。
産卵期を前に、うま味が更に増し、ふっくらして実入りも良くなるといわれる今、美味しいあさりを味わいましょう!

ミネラルの宝庫!現代人がしっかり食べておきたいあさりの魅力


歴史の授業で習った『貝塚』を覚えているでしょうか。
縄文時代の人が、生活廃棄物を捨てた跡が遺跡として発見されたものですが、あさりやはまぐりの貝殻が多く見つかったことから名付けられたものですが、当時の人々も私たちと同じようにあさりを食べていたようです。
現代でも、お味噌汁の具として人気のあさりは、私たち日本人にとって最も身近な貝類ではないでしょうか。
あさりには、私たちの体に必須とされるミネラルが豊富に含まれています。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、といった主要ミネラルの他、鉄、亜鉛、セレン、クロム、ヨウ素などの微量ミネラルも。
セレンやクロム、ヨウ素などはあまり聞き覚えがないかもしれませんが、私たちの体にとって重要な働きを持っています。
●セレン:抗酸化作用・抗炎症作用、免疫促進効果、重金属イオンの解毒
●クロム:糖質や脂質の代謝に関わる(六価クロムは毒性あり)
●ヨウ素:基礎代謝やたんぱく質の合成や運動機能に関わる(出典:桜井弘編(2017).元素118の新知識)
微量ながらも必須のミネラルなのです。
カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛といった、現代人に不足しがちなミネラルを含むあさり。
しっかり食べておきたい食材であるといえます。

女性にうれしい、ビタミンB12+鉄分が豊富で貧血対策にもおすすめ

あさりの栄養価を語る上で外せないのが、ビタミンB12です。
ビタミンB12は、神経や血液細胞を健康に保ち、DNAの生成を助ける働きを持つ栄養素です。
実は、貧血というと、鉄分の不足が原因と思うかもしれませんが、ビタミンB12の不足も貧血の原因となります。
あさりはしじみなと並んで、数ある食品の中でもビタミンB12の含有量はトップクラス。
さらに鉄分も豊富に含まれているため、貧血対策としてはばっちりの食材です。
月経の影響もあり、貧血に悩む女性は多いです。
あさりはそんな女性にとって心強い食材なのです!

疲れているときには・・・あさり?

「ファイトー!」
と断崖で叫びたくなる、栄養ドリンクに含まれることで知られるタウリン。
私たちの体には、体重の0.1%のタウリンがあるといわれています。
心臓・肺・肝臓・脳・骨髄などのさまざまな臓器や組織に含まれていることから、生命の維持に必要な成分と考えられています。
タウリンは、体内で合成することができないわけではないですが、合成量は少なく、基本的には食事などからの摂取が重要です。
また、消化管内でコレステロールの吸収を抑える働きを有するため、コレステロール値が気になる方にもおすすめです。
疲れを感じたときには、あさりを豊富に使ったメニューはいかがでしょうか?

より美味しくいただくコツは・・・あさりをいじめること?


あさりのうま味成分であるコハク酸。
コハク酸は、あさりが低温に安定した海中で通常の代謝をおこなっているときより、空気露呈と高温下に置かれるときの方が多くのコハク酸やアラニンを生成することが報告されています(出典:Aquaculture Science Vol.47 Issue3 Pages381-389(1999))。
つまり、水の中にいて安定した温度内にいるときとは異なり、水から出た状態で高温環境にある環境はあさりにとって過酷な状況といえ、呼吸(通常は海中を入水管から取り込むことで酸素を得ている)によってエネルギーをうまくつくり出せないときは、呼吸をストップし、自らコハク酸やアラニンをつくり、体に蓄えることで生き残ろうとします。
呼吸ができない状態でもエネルギー源をつくり出すことは、あさりの生存戦略にとって大切なのです。
そして、先ほども述べたとおり、コハク酸はうま味成分でもあります。
・・・もう、わかりますよね?
実は、調理前にあさりを過酷な状況に置いたほうがうまみが増すのです!
あさりを調理する前に水から出し、2時間ほど常温で置いておく(あまり長時間放置するとあさりが傷んでしまうので注意!)とよいでしょう。
環境の急激な変化によってもコハク酸を多く出すことが分かっていますので、急にやや熱めのお湯(50℃ぐらい)につけるのも良いといわれています。
食べる直前にいじめるようで、ちょっと悩ましい?
ですが、コハク酸には脂肪代謝に関わる褐色脂肪細胞を活性化させ、脂肪燃焼効果を向上させる働きがあることが示唆されています。
マウスによる試験ですが、高脂肪食(カロリーの60%が脂肪分)を食べたマウスにコハク酸ナトリウムを含んだ水を与えると、体重の増加を抑えたとの報告があるのです(出典:Nature volume 560, pages102–106 (2018))。
『美味しくなるうえダイエット効果もアップする可能性がある』
といわれると、あさりのコハク酸、増やしたくなりますよね。

鉄分やカルシウム、亜鉛などさまざまなミネラルやビタミンB12、うま味やダイエット効果が期待できるコハク酸が豊富に含まれるあさり。
お味噌汁や酒蒸しといった和食から、ボンゴレやクラムチャウダーなどの洋食まで、メニューも豊富で、飽きずに食べられるのも魅力です。
貝殻があって面倒だと感じる方は、むき身で売っている冷凍食品や缶詰を利用するものおすすめ。
その小さな体に秘められたあさりの栄養を、しっかりいただきましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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