ニキビができたら受診する?おススメのコスメはある?皮膚科医の先生に聞いてみた!
ニキビができた時、皆さんはどのようにケアをしていますか??
今回はセルフケア方法や受診の目安など、とみ皮膚科クリニック院長、川村都美先生に伺いました。
ニキビはなぜできる?
ニキビは、何らかの原因で皮脂腺から分泌される皮脂の分泌量が、過剰に増えるところから始まります。
皮脂が過剰に増えると毛穴の入り口から出しきれなくなって、毛穴の入り口に詰まってしまいます。
詰まれば蓋となり、蓋がされてしまうと毛穴の中では空気が入らなくなるので、空気を嫌う性質を持つアクネ菌が増えます。
また、蓋がされた状態の毛穴の中に皮脂は分泌され続けて溜まります。
この皮脂はアクネ菌の餌となってしまうため、アクネ菌はさらに増えます。アクネ菌が増えると炎症が起こり、紅いニキビや膿んだニキビができてしまうのです。
皮脂が増える原因は、10代の場合はホルモンのバランスが変化してくることが一番です。20代からは、ホルモンのバランスの変化はもちろんのこと、疲れやストレス、寝不足、食生活の乱れなどが皮脂の分泌を増やす原因になります。
また、製品によっては外からの蓋となってしまう化粧やヘアオイルなどもあり、これらがニキビの原因になることがあります。
その他、便秘で腸内環境が悪化することも皮膚に良くないですし、髭剃りで細菌が入る場合もあります。
また、紫外線にあたることも、皮膚の免疫力を落としてアクネ菌の繁殖を促し赤いニキビを増やす原因になります。
特に、10代、20代関わらず、ヘアオイルの使用は直接顔につけていないけれども原因となっていることが多いのでご注意ください!
セルフケア方法と受診の目安
まず洗顔です。夜は洗顔料を使って洗顔しているけど、朝はお湯だけという人が多いのでは。朝も洗顔料を使って洗いましょう。ただし、脂を取ろうとしてゴシゴシこするのは厳禁!やさしく洗って下さいね。
洗顔や市販のニキビ用化粧品で治らないニキビをほっておくと、ニキビ跡になることがあります。実は、ニキビは保険治療で治せても、ニキビ跡は保険診療では治すことができません。すぐに治らないニキビは早めに病院に行きましょう。
では、受診の目安はどうでしょうか。
少し意外かもしれませんが、皮膚科医としては赤いニキビになる前の、ポツポツと毛穴が詰まり膨らんできた初期の状態(コメドができた状態)で、病院に行くことをおすすめします。
なぜなら、赤くなってからだと、病院で治しても赤いニキビ跡になってしまう可能性があるからです。「まだ病院に行くほどではない」と自己判断しないこと。赤いニキビになったら、もちろん早めに病院に行きましょう。
病院での治療はどんなことをする?
病院では、角層をうすくして毛穴の蓋をとる薬が処方されます。種類は3つ。
1つ目は、アダパレン(ディフェリン®)です。皮膚のターンオーバーをコントロールして角層をうすくして毛穴の詰まりをとっていく薬です。
2つ目は、ベンゾイルというピーリング(古い角層をとる)をする薬です。抗生剤(ばい菌殺し)入りのデュアック®と抗生剤が入っていないベピオ®があります。
3つ目は、アダパレンとベンゾイルの混合剤、エピデュオ®です。
ディフェリン®とエピデュオ®は使い始めに刺激感が出ることがあります。使い続けていくうちに慣れてきますので、途中で塗るのを止めないことが大切です。
ベピオ®とデュアック®は、乾燥していると刺激感がでることがありますが、普通は問題なく使えます。ただ、人によってはお肌に合わないこともありますので、赤くなったり痒くなったりしたら中止してかかりつけの皮膚科に相談しましょう。
まずは、自分に合う薬を見つけることが大切です。
合う薬が決まったら、最低3ヶ月は続けていきます。ニキビは慢性の病気です。3ヶ月、薬を続けていくとやっとできにくくなってきます。できにくくなった後も、赤いニキビがなくなった後も、毛穴の蓋がまたできないように続けていくことが大事。長く続けていくことでニキビがない美肌を保つことができるようになります。
ニキビ跡をつくらせないことが、病院でのニキビ治療の目標です。赤いニキビが治って満足してすぐに治療を止めてしまったら、また毛穴の蓋ができて赤いニキビができてしまいますよ。
知っておきたい情報
使う基礎化粧品はノンコメドジェニックテスト済と表示されているものを使いましょう。コメドとは毛穴が詰まった状態のこと。ノンコメドジェニックの性能を持つ化粧品は、毛穴を詰まらせにくい化粧品です。
病院で処方された薬を使うときは、角層(皮膚の一番表面)がうすくなるので乾燥しやすくなります。必ず、ノンコメドジェニック対応の保湿剤を一緒に使いましょう。
ファンデーションにもノンコメドジェニックの物が出ています。また、リキッドファンデーションやクリームファンデーションよりも、パウダーファンデーションの方が毛穴をふさぎにくいのでおすすめです。
クレンジングはジェルがおすすめ。オイルやバームを選びたい方は、アクネ菌が好きなオイル(オレイン酸)の含有量が少ないオイルクレンジング(ホホバオイルが良い)を選んでくださいね。
お肌はこすらない!触らない!これが大事
病院で処方された薬は肌の角層をうすくしてくれる作用があります。それなのにこすったら赤くなって刺激感も出てしまうかも。洗顔時や保湿、薬を塗るときも、なるべくやさしく塗布することを心がけ、こすらないように気をつけましょう。
また、睡眠の乱れもニキビには悪影響となることが。
ですので、学生さんは勉強を徹夜や夜中にするのではなく、なるべく朝方にすることをおすすめします。夜遅くまで勉強するよりも早く寝て、その分早起きして早朝に勉強をした方が肌には良いです。
まとめ
1)ニキビは毛穴がふさがることによってできる!化粧品はノンコメドジェニックテスト済がおすすめ
2)セルフケアのコツはやさしい洗顔・・・でも、悪化する前の早め受診を心がけて
3)病院での治療のポイントは、合う薬を見つけることと、その薬をしっかり継続使用すること
4)肌はこすらずスキンケア時もやさしく触ること、そして睡眠の乱れにも注意!
執筆者
川村都美先生
とみ皮膚科クリニック院長
[経歴]
専業主婦から一念発起、アトピーに悩む長男をきっかけに、医師になることを志す。
子育てと両立しながら医学部生・研修医時代を乗り越え、念願の皮膚科医に。
その後多くの患者と関わるうちに、見た目が変わることによって、笑顔を増やしたり、自信を持てたりなど、患者自身の人生を変えていけることを実感し、美容皮膚科の重要性を知る。
現在は、病気から美容まで皮膚のお悩みにお応えでき、地元の皆様に愛され頼られるクリニックを目指して、静岡県富士市にてとみ皮膚科クリニックを運営。
保険皮膚科と美容皮膚科の両方を大事にしながら、患者と日々向き合っている。
とみ皮膚科クリニックホームページ
https://tomiskinclinic.com/