大人になってから矯正が必要になることもある!?こどもと女性の歯科クリニックの院長、岡井先生に伺いました!

こどもの頃に矯正をおこなった人も、こどもの頃は必要が無かった人も。
実は、大人になってから矯正が必要になることもあるんです。
今回は、こどもと女性の歯科クリニックの院長で歯科医師の岡井有子先生に大人の歯並び問題についてお話しを伺いました。

こどもの時とは違う?大人の歯列矯正

こどもの矯正は、顎を拡げることができますが、大人の場合には基本的に顎を拡げることができません。
ですので、今の顎に歯を並べることしかできず、顎の大きさと並べたい歯大きさを計測比較したときに顎の大きさが足りなければ、歯を抜かなければならないことになります。
費用面では、一般的に子どもの矯正に比べると高い傾向にあります。
大人の場合は、顎を広げるのではなく歯並びを整えるブラケット矯正やインビザラインなどのマウスピース矯正が一般的になります。
矯正の期間は、一般的に3年~5年くらいでしょう。こどもよりも骨がしっかりしていますので、こどもに比べると歯が動きにくいです。
また、お豆腐も食べられないなど、痛みを伴うことが多くあります。

最近歯の隙間が気になるようになってきた・・・どうするべき?

歯の隙間が気になる方、抜けた歯はありませんか?
以前抜けた歯を放置していませんか?
歯医者さんで入れ歯にした方がいいとか、インプラントの説明とか受けていたけどそのまま忘れていませんか?
抜けた歯を放置すると、だんだん歯が倒れてきて、そのスペースを補うために歯が動くので、歯と歯の間にスペースができることがあります。
「え?歯は抜けていない」って方。
最近口臭が気になったりしませんか?
歯医者さんで検診は受けていますか?
それ、実は歯周病です。
歯周病が進行すると、歯と歯の間にスペースができるようになってきます。
「歯と歯の間に隙間」それは、危険信号です。
すみやかに歯医者さんに相談しましょう。

大人になってから歯並びが悪くなった気がする・・・放っておいて平気?

今までは平気だったのに、最近急に歯並びが気になるようになってきた方。
姿勢が悪くなっていませんか?
家にこもってばかりで、体を動かす時間が減っていませんか?
マスク生活が長くなってきているので、お顔の周りの筋肉の緊張からも歯並びが悪くなってくることがありきます。
実は、歯並びと姿勢、お口周りのコリは関係していると考えられます。
顎の位置に一番関与している骨「舌骨」について説明します。

舌骨とはのどのあたりにある小さな骨です。
通常、骨は、隣同士が骨ですが、舌骨は筋肉に支配されていて隣に骨がありません。
ですから、筋肉のコリの影響をかなり受ける骨になります。
つぎに、舌骨の周りにある筋肉を説明します。
舌骨の上にある筋肉群が舌骨上筋群、舌骨の下にある筋肉群を舌骨上筋群といいます。
顎の下と耳のあたりの骨と引っ付いている筋肉をまとめて舌骨上筋群といい、鎖骨と肩甲骨あたりと引っ付いている筋肉をまとめて舌骨下筋群といいます。
パソコン仕事などばかりしていて、いつも姿勢が悪くなるとどうでしょう?
肩回りや頭後ろのあたりが凝ってきますよね。
そうするとどうでしょう?
肩甲骨と舌骨をつないでいる肩甲舌骨筋もコリ固まってきます。

そうすると、舌骨が肩甲骨側に引っ張られ、下に下がってきます。
また同時期に、頭後ろも凝り固まってくると耳のあたりと舌骨をつないでいる筋肉もコリ固まり舌骨が後ろの方に引っ張られます。
舌骨が本来の位置より下がるとそれにつながっている下顎も後ろに下がり気道を圧迫するのです。
そうすると、苦しいので姿勢が悪くなり、それとともに舌が下がってしまい、上顎に舌がつかなくなります。歯並びは、舌とお口周りの筋肉の緊張のバランスで決まりますので、舌が上顎につきにくくなると歯並びが悪くなってきます。
以下の表からもわかるように、小さな子どもと同様に50代以降、誤った嚥下をする方の率が多くなってきます。

正しい嚥下ができないと歯並びに影響があり、出っ歯になったり、がたがた並んだりします。
大人になると、仕事の影響や、身体を動かす時間の減少などで歯並びに影響がありますので、日常の生活の中に、マッサージやストレッチなどを取り入れるとよいでしょう。
そして、パソコン作業時も姿勢に注意するなど、日常から悪くならないように注意することが大切です。
食いしばりなども歯並びが悪くなる原因になりますので、歯医者さんでマウスピースを作ってもらうのもいいでしょう。

[執筆者]

岡井有子先生
こどもと女性の歯科クリニック 院長。

[プロフィール]
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経たのち、大阪歯科大学に入学。
同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を専攻。
一般歯科医院勤務を経て、2017年7月、麻布に『こどもと女性の歯科クリニック』を開院。
「顎顔面口腔育成療法」により子どもたちの健康な発育をサポートし、ママへの抱っこや離乳食の講座なども開催している。

<所属学会>
日本小児歯科学会
日本小児耳鼻咽喉科学会
<所属研究会>
顎顔面口腔育成研究会
赤ちゃん歯科ネットワーク
母子フィジカルサポート研究会

こどもと女性の歯科クリニック
https://cw-cl.jp/

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