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緊急避妊薬(アフターピル)どんな人が使えて、どんな時に使えるの?使えない人はいるの??せきレディースクリニック院長の友影先生にお話を伺いました!

2023年11月28日より、全国の薬局で試験的に販売が開始された緊急避妊薬(アフターピル)。
どんな人が使えて、どんな時に使えるのか?
気になる方も多いと思われる緊急避妊薬について、せきレディースクリニック院長の友影九樹先生にお話を伺いました。

緊急避妊薬(アフターピル)ってどんな薬?使えない人はいるの??

「緊急避妊薬」は、避妊の失敗や、性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐための薬です。
性行為から72時間以内に服用すれば、妊娠を95%以上防ぐことができるとされてます。
今回は試験販売のため、購入ができる薬局は
(1)オンライン診療のために緊急避妊薬の調剤研修を修了した薬剤師がいる
(2)夜間・土日祝日の対応が可能
(3)プライバシーが確保できる個室などがある
(4)近隣の産婦人科医、性犯罪・性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」と連携が可能
といった条件を満たしたところのみとなります。
また、緊急避妊薬を購入できるのは調査研究に同意した16歳以上(16歳以上18歳未満の方は、保護者の同意が必要)の方となります。

しかし、この薬が使用できない方もいます。

薬剤の添付文書では
(1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある女性。
(2)重篤な肝障害のある患者
(3)妊婦
が禁忌
とされています。

また、
(1)心疾患又はその既往歴のある患者
(2)重度消化管障害又は消化管吸収不良症候群のある患者
は注意が必要
となっています。 
購入の際には注意が必要です。

緊急避妊薬のメリット・デメリットについて

メリットとしては、避妊率が高いことが上げられます。
副作用(悪心嘔吐、倦怠感、頭痛、眠気、下痢など)が軽い点もメリットといえます。
しかし、デメリットもあります。
避妊を検討する場合、アフターピルが直ぐに入手できることがベスト、というものではありません。
アフターピルでの妊娠阻止率90%以上といわれてはいますが完璧ではなく、もし妊娠が継続した場合のことまで考えて、“緊急”時以外は安易にお勧めできません。
定期的に性交渉のある方は、望まない妊娠を避けるためにも、低用量ピルの服用が望ましいといえます。
ピルは、世界的には経口避妊薬(Oral Contraceptives; OC)と呼ばれています。
日本では、ピルは月経困難症や子宮内膜症の治療薬として保険診療で処方可能なものと、保険適用外の自費診療となるものとに分けられます。
低用量ピルの処方を希望される方は、婦人科医などにご相談ください。
緊急避妊薬が欲しいと受診すると、自分がそのような状況になったことが広まってしまうのでは、周りの人にバレてしまうのではと思われる方もいるかもしれません。
ですが、病院クリニックでの処方は、産婦人科の特性上プライバシーの配慮はしっかりしていますのでご安心してください。

直接、処方される場合は、診断後の処方となるため、薬剤に関しての安全性が高くなります。
不安な気持ちもあると思いますが、安心して受診してください。
最近は、オンライン診療を実施している病院も増えています。
緊急避妊薬は、性行為後の妊娠の不安で悩む方に、より早く(12時間以内の服用だと99%以上の避妊効果が報告されている)内服していただく方が効果が高くなります。
オンライン診療の利用は病院への通院を悩む時間を短縮できる可能性があります。
「はずかしい、言えない」と悩んで、時間が過ぎてしまうことへの対策にもなります。
実際に通院するか、オンライン診療にするか、ご自身の都合に合った選択をしましょう。
インターネットの通販では、粗悪品なども横行している場合があります。
購入の際は販売会社の信用性などを吟味し、慎重にしてください。
また、緊急避妊薬は7000~15000円程度と高価な薬であることも頭に入れておきましょう。
緊急避妊薬の効果が確認できるのは、次の月経が来てからです。
薬の作用で多少周期が乱れることも考えられますが、月経予定日から10日以上たっても月経が起こらない場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう。

今回の緊急避妊薬の試験販売は、2024年の3月末に終わる予定です。
日本とは異なり、米国や英国、ドイツなど多くの国で、緊急避妊薬は医師の処方箋なしで購入できます。
日本は費用面でも海外と比べて大きな開きがあり、女性や若年者を対象に学校や病院で無料提供している国もあります。
今回の試験販売によって、緊急避妊薬の市販化がどう進むのか。
WHO(世界保健機関)も「意図しない妊娠のリスクに直面するすべての女性と少女は緊急避妊の手段にアクセスする権利がある」として、各国に対応するよう勧告し、2020年には薬局での販売検討など、緊急避妊薬へのアクセスを確保するよう提言しています。
日本では今後どのようになるのでしょうか?
今後の動向が注目されますね。

[執筆者]

友影九樹先生
せきレディースクリニック医院長

昭和48年福井県生まれ。
2002年東京医科大学卒業。
岐阜市の産科クリニック勤務を経て、令和元年7月にせきレディースクリニックを継承開業。
産科診療(無痛分娩など年間600件の分娩をこなす)・婦人科診療(子宮がん検査、ピル、性病診断など)も幅広くしており、地域医療に貢献しています。

Instagram:医療法人愛光会 せきレディースクリニック(@sekiladies

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