口腔環境を整えることで、健康美が手に入る!?きみえ歯科院長の中村先生にお話を伺いました!

口腔環境を整えることが、キレイにつながるって本当?
キレイになりたいあなたへ贈る、口腔ケアの重要性。
今回は、きみえ歯科 院長の中村喜美恵先生にお話を伺いました。

口腔ケアとキレイの関係。『噛む』ことの大切さ

『噛む』ということについて、「しっかり噛む」「何回も噛む」ことが大切であると、多くの方が認識されていることでしょう。
『一口30回以上は噛みましょう!』というフレーズはよく耳にされると思います。
何回も噛むことで唾液の分泌が促され、唾液と食べ物がよく混ざり合うことで、消化吸収がよくなり、胃腸の負担も軽くなります。
腸の健康は体の抵抗力をアップさせますので、もちろん全身の健康に良い影響を及ぼすのです。口腔環境は健康な体づくりに大きく関与しておりますが、実は、“美” にも大変関係が深いのです。
では、『噛む』ということが、健康美に大きく関係しているお話をします。

キレイにつながる「良い噛み方」のためには姿勢を整えることから

良い噛み方をしないと、かえって口腔環境も全身も老化を早めます。
良い噛み方とは?
まずは姿勢が大切です。
どうして噛むことに姿勢が重要となるのでしょうか?
美しい字を書くためにも、速く走るためにも、目的を果たすための理想的な姿勢があります。
上手に成し遂げるためには、姿勢が重要なのです。
口腔環境も同じです。
首から上の筋肉を理想的に動かすためには、まずは姿勢を整えるところから始めます。
「良い噛み方」のための姿勢の重要性について検証した「おむすび咀嚼実験(日本歯科大学 丸茂善二先生による)」をご紹介します。
(1)正座
(2)足を地面につけて椅子に座った状態
(3)足が宙にぶらぶらした状態で椅子に座った状態

この3つの姿勢別に被検者におむすびを食べてもらい、その咀嚼回数を計測すると、(1)>(2)>(3)の順で(1)が最も咀嚼回数が多くなりました。
この結果から、足元が安定する姿勢ほど、おむすびを噛む回数が多かったということがわかります。
つまり、噛む時の姿勢が重要なのです。
身体はひとつながりで、どこもボルトやナットでねじ止めされていません。
ですから、首から上の筋肉を正しく動かすためには、それを支える姿勢を正すことを、まずは考える必要があるのです。
椅子に座る場合、足裏を床にしっかり付けて、足裏で自分の身体を支え、もたれずに身体を起こします。
そして、うつむかずに顔をあげます。そうすることで頭を楽に支えることができ、その頭の骨(頭蓋骨)に筋肉で付いている下顎が動きやすくなるのです。

奥歯(大臼歯部)でしっかり噛むことが重要・・・なんとたるみ予防にも?!

正しい姿勢をとることで、大臼歯部でのしっかりした咀嚼が可能となります。
必ず左右別々に使用し、咀嚼することが大切です。
左右同時に使って噛むと、舌に良い動きをさせられず、正しい飲み込み(嚥下)は出来ません。
舌をお口の中で動かすことが大事なのです。
左右別々に使うということは、舌で食べ物を左右に振り分け、舌、頬、口唇で噛む面に食べ物を保持しながら咀嚼をするということです。
左右別々に使うのと、左右を同時に使用するのとでは、歯の傷み方(老化)も違ってきますので注意が必要です。
そして、大臼歯部をしっかり使えていないと、口腔環境の老化が進むと覚えておいてください。
骨粗鬆症はご存じかと思いますが、自分にとってはまだ先のこと・・・と思われている方が多いのではないでしょうか。
実は頭蓋骨は40歳代から萎縮してくるといわれています。
つまり、頭蓋骨の骨粗鬆症は、40歳代から始まるということです。
頭蓋骨の萎縮により余った皮膚や筋肉がずり落ちて、シワやたるみの原因となってしまうと考えられます。

誰もが避けて通れない現象ですが、できるだけ最小限にとどめたいものです。
そのためには、大臼歯部で咀嚼するということが重要なポイントになります。
大臼歯部で咀嚼することで、骨への振動が、頭蓋骨の一部分ではなく頭蓋骨全体に均等に伝わります。
それは、頭蓋骨が最も萎縮しにくくなることを意味し、すなわちシワやたるみも最小限にとどめることができるでしょう。
うつむきの姿勢で咀嚼すると、大臼歯部ではなく前の方(小臼歯部)での咀嚼になるため、
頭蓋骨全体に均等に骨振動は伝わらず、頭蓋骨の前方に良くない力が加わるのです。
そして、頭蓋骨前方の萎縮が進み、余った皮膚や筋肉がずり落ちてたるみが進行し、ほうれい線やマリオネットラインが深くなっていくのです。
つまり、正しい姿勢で、正しい咀嚼と嚥下をおこなうことが健康美に繋がるということなのです。

舌を動かす重要性

舌を動かし刺激を与えることは、顔や首にある多くの筋肉を全部動かすことに匹敵します。
体の中に約800個あると言われるリンパ節のうち、約200個が首から上に集中しています。
手で触れてマッサージすることのできない筋肉や深部のリンパ節まで、舌を動かすことで刺激することができます。
リンパが流れると老廃物が流れますので、肌の代謝もよくなり、シワやくすみ、二十顎、たるみまで解消する効果が期待できます。
また、舌は胸と背中と筋肉で繋がっていますので、舌を動かすことで、首や肩をはじめ全身の血流が良くなり老廃物が流されます。
別の観点から考えてみましょう。
舌はお口の中にある唯一の筋肉で、胸と背中と繋がっています。
そのため、前かがみになったりもたれたりして姿勢が崩れると舌の動きが悪くなり、正しい飲み込みが出来ません。
舌をしっかり使えないと、舌の力は弱くなってむせやすくなり、要介護に急速に近づいていきます。
それだけでなく、二重顎やシワ、たるみの原因にもなります。 
また、姿勢が良くないと舌の位置も悪くなり、鼻呼吸から口呼吸になりがちです。
そうなると、ウイルスや細菌がダイレクトに体に入ってきますので、風邪をはじめ病気になりやすくなります。
プロスキーヤーで有名な三浦敬三さん、雄一郎さんは、毎日100回ほど「舌出し運動」をされていたとのこと。
「口の周りの筋肉だけでなく、目の周りの筋肉も引っ張られるし、頭や肩、胸のあたりの筋肉までほぐしてくれる。頭の中までほぐれたようになるので、肩こりにも良い」と実感があったようです(三浦敬三さん著書「100歳、元気の秘訣」より) 。
まさに、健康美には舌の運動は必須とわかっていただけると思います。

えっ?唾液にもキレイの秘密が!

唾液には、虫歯や歯周病予防など、口腔環境のケアへのさまざまな働きがあります。
それだけでなく、実は唾液には美肌に有用とされる、
・抗酸化能を有する酵素
・成長ホルモンの一種であるパロチン(耳下腺のみに含まれる成長ホルモンの一種で、別名:若返りホルモン。胃や腸の働きを助けるだけでなく、シミやシワを防ぐことにつながると考えられている)
・細胞の再生を促すEGF(上皮成長因子のことで、肌を整える役割がある)
なども含まれています。
唾液は一部血液に取り込まれますので、血中のパロチンやEGFは血流に乗って全身に行き渡り、全身を若返らせることができます。
つまり、エイジングケアには唾液の分泌が一役買っているのです。
シミやシワの予防効果や、肌の調子を整えてくれる効果があるとなると、“キレイ”を目指すなら無視はできません。

キレイになるために、スキンケアやメイクをがんばったり、トレーニングなどをしてスタイルを維持しようとしたり、さまざまな努力をされている方は多いでしょう。
でも、実はキレイのためには「口腔環境を整える」こともとても大切なのです。

[執筆者]

中村喜美恵先生
きみえ歯科 院長
1988年京都大学薬学部卒業、大阪大学歯学部学士入学(専門課程編入)
1992年大阪大学歯学部卒業、大阪大学歯学部付属病院に勤務
2003年姫路市に「きみえ歯科」を開業

一般社団法人日本ホームヘルスコーチ協会認定ホームヘルスコーチ
アンチエイジング歯科学会認定医
糖尿病協会登録歯科医

お口と全身はひとつながり。口腔環境と全身の状態には密接な関係があります。
「健康に美しく!」をテーマに、予防を中心に歯科からの情報発信を続けています。

きみえ歯科
https://www.kimie-shika.com/

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