最近よく目にする「糖質制限」って何?糖質には種類がたくさん!糖類との違いは何?!
近頃、目にすることの多い「低糖質」「糖質オフ」「糖類ゼロ」「ローカーボ」。
さまざまな飲食品のパッケージの目立つところでアピールされています。
以前はダイエットやヘルシーというと「低脂肪」「無脂肪」「ローファット」と、脂質を抑えたものが多数でしたが、最近はどうやら「炭水化物(carbohydrate)や糖質」をカットすることがトレンドとなっているようです。
炭水化物と糖質は違うのか、糖類とはなんなのか?
そして、それらを摂らないとどうなるのか。
今日は主に『糖質』についてご説明したいと思います。
糖質には種類がたくさん! 糖類との違いは何?!
炭水化物というと、お米や小麦など、主食のことだと思われるかもしれませんが、炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称を指します。
炭水化物=糖質ではないので注意してくださいね!
近年、ダイエットや健康の敵とされがちなのが、炭水化物の中でも「糖質」ですが、図を見てわかる通り糖質にもたくさんの種類があります。
低糖質を謳う製品で摂取を控えるようになっているのは、いわゆる糖類(単糖類・二糖類のこと)と、消化性多糖類といわれるご飯やパン、芋類などに多く含まれるでんぷんです。
糖質の中でも、オリゴ糖は腸内細菌のエサとなるため腸活によく利用されていますし、糖アルコールは消化吸収されにくい利点を生かし、低カロリー食品やダイエット食品に欠かせない甘味料となっています。
食物繊維は、ヒトの腸ではほとんど消化吸収されないのですが、健康効果への期待から、最近は第6の栄養素とも呼ばれ、不足が懸念されているため摂取が推奨されています。
ダイエット向きのスイーツなどには、よく「食物繊維○○g配合」などとアピールされていますよね?
ちなみに、不溶性(主に腸のお掃除)と水溶性(主に腸内細菌のエサとなる)で働きが異なりますので、両方をバランスよく摂取しましょう。
糖質を制限するのはなぜ?
糖質というのは、たんぱく質・脂質と合わせて3大栄養素とも呼ばれる、私たちが生きていくうえでなくてはならない栄養素です。
主に脳や体を動かすのに重要なエネルギー源で、体に吸収されるとすぐにエネルギーになるという特徴を持っています。
18歳以上の方は、全摂取エネルギーの50~65%を炭水化物から摂取するよう推奨されています(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)。
それなのに、どうして糖質の摂取制限が叫ばれるのでしょうか?
ヒトの小腸は単糖類しか吸収できないため、さまざまな消化酵素の働きなどにより糖質は単糖類に分解されます。
小腸で吸収されると、血液に溶けて(血糖と呼ばれる状態です)全身へ運ばれ、「インスリン」という膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンの働きによってエネルギーとして利用されます。
そこで余ったブドウ糖は、「グリコーゲン」というでんぷんに変えられて、食事を摂っていない間も体がエネルギー切れとならないように、肝臓や筋肉に蓄積されます。
しかし、それでも余ってしまったブドウ糖があると、肝臓によって「中性脂肪」に変換され、全身を巡ったり、肝臓に蓄積されたりします。
脂質は1gで約9kcalと糖質の4倍近いカロリーがあるので、貯蔵するには都合がいいのです。
しかし、食糧不足に悩む時代ならともかく、飽食なこの現代、脂肪として体に蓄えられると、メタボに直結!
健康診断で「中性脂肪が高い」といわれた方は、脂質の摂り過ぎだけではなく、糖質の摂り過ぎにも気を付けましょう。
ラーメン+チャーハン+餃子のような、糖質の3重奏が大好きな方、白いご飯が大好きで、どんぶり茶碗でのお代わりが欠かせないという方は一度自分が摂取している糖質の量を見直す必要があります。
上記のメニューは男性に当てはまりがちですが、パスタやうどん、菓子パンやケーキが大好きな女性も糖質過多には要注意!
極端な制限はNG?! 糖質コンシャスとは?
ですが、これを聞いて「明日から主食や甘いものを食べるのは止めよう!」……と思われた方は少し待ってください。
糖質制限を長期間続けた場合の効果や安全性については、まだ解明されていない点も多く、専門家の間でも意見はさまざまです。
糖質制限食は、もともとは糖尿病患者の治療のために始まったものですので、ダイエットを目的に自己流で極端な糖質制限をおこなうことには、リスクがあると考えられます。
もともと、糖質は総摂取エネルギーの半分程度を担う栄養素なため、カットすることで大幅にバランスが崩れてしまいます。
そのため、ダイエットや健康が目的なら、極端な「糖質オフ」に走るのではなく、糖質の摂取に気を付ける「糖質コンシャス(conscious:意識すること)」がおすすめ。
単品メニューは避ける、お茶碗半分のごはんにするなど、自分の体と体調に合った糖質コンシャスを続けましょう!
実は、糖質の摂取では、量以外にもその『摂り方』も重要なポイント。
糖質を少し制限したせいで、お腹が減って我慢が出来なくなってしまっては、とてもではないけれど続けるのは難しいですよね。
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]