20~30代でも!?プレ更年期!?更年期障害の原因と女性ホルモンについて
「なんだか疲れやすい」「なぜかイライラする」「肩こりや腰痛がひどくなった」
このような不調が現れたとき、あなたは何が原因だと考えますか?
「風邪気味かも」「最近忙しかったから」「ちょっと疲れが溜まってて……」
色々思い浮かぶかもしれませんが、もしかしたらそれは『更年期障害』の始まりかもしれません。
「え、だってまだ30代なのに?」
と思われる方もいるかもしれませんが、人によっては30代後半から症状が現れることもあります。
「まだまだ」と思っている人も、「そろそろ」と思っている人も。
女性なら、いつかは訪れる、『更年期』について考えてみませんか?
まずはもう一度、女性ホルモンについてのおさらいと更年期
ホルモンとは、下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、生殖腺など主に内分泌器でつくられる生理活性物質のことで、血液中に分泌され、内臓の機能や体の調子をコントロールする役割を担っています。
私たちの体のなかでは100種類以上のホルモンが働いているといわれており、そのなかの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は『女性ホルモン』と呼ばれています。
この2種類のホルモンのバランスにより、生理周期や排卵、妊娠など女性にとって重要な作用をコントロールしているのです。
女性ホルモンは一生のうちでたったのティースプーン1杯しかつくられないのですが、分泌量が急増し、初潮を迎えたり体つきに変化が起こったりする思春期と、分泌量が急減し、閉経が起こる更年期の2つの時期は、女性の体に大きな変動が起こる大切な時期だといえます。
日本人女性の閉経の時期は平均して50~51歳といわれ、その前後5年間を合わせた10年間が更年期となります。
その期間に起こるさまざまな不調を「更年期症状」、家事や仕事といった日常生活にまで影響が出るほど重いものを「更年期障害」と呼び、更年期を迎えた女性の2~3割が更年期障害と診断されます。
通常、45~55歳あたりが更年期になりますが、最近は20~30代の女性にもホルモンのバランスが乱れ分泌量が減少することなどによって更年期のような症状が起こる、いわゆる「プチ更年期」「プレ更年期」といった言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
無理なダイエットやストレス、不規則な生活や食生活の乱れなどによって自律神経が乱れることが原因だと考えられています。
どうして起こる? 更年期のさまざまな症状
閉経が近づいた体には、どのような変化が起こっているのでしょうか?
卵巣から分泌される女性ホルモンは、脳が指令を出してコントロールしています。
脳下垂体より、卵胞刺激ホルモン(FSH:エストロゲンの分泌を指令する)が分泌されると、エストロゲンが、黄体形成ホルモン(LH:プロゲステロンの分泌を指令する)が分泌されるとプロゲステロンが分泌されます。
2つのホルモンのうち、特にエストロゲンの分泌量の低下が更年期障害の大きな原因のひとつと考えられています。
卵巣の機能が衰え、閉経が近づくと、FSHが分泌されても卵巣は十分なエストロゲンを分泌することができなくなります。
すると脳はさらにエストロゲンを分泌させようと、過剰にFSHを分泌させてしまうため、ホルモンのコントロール機能が乱れて、視床下部はパニック状態に。
視床下部はさまざまなホルモンの分泌をコントロールしたり、体温や呼吸などを調節したり……と自律神経のコントロールに重要な働きを担っていることから、自律神経が乱れ、心身にさまざまな影響が出てしまうのです。
この急激なホルモン量の変化が訪れる10年間が、更年期。
更年期に入ると、以下のような症状が起こるといわれています。
●ホットフラッシュ:ほてりやのぼせ、顔が熱くなる。大量の汗をかく人も
●冷え:特に上半身(主に顔)は暑いのに下半身に冷えを感じる方が多い
●肩こり・腰痛・手足の痛み
●動機や息切れ
●頭痛やめまい、吐き気
●皮膚の乾燥やかゆみ
●疲労感
●寝つきが悪い、眠りが浅い
●怒りやすく、イライラする
●不安感・憂鬱・落ち込む
女性ホルモンの分泌量が低下すると、まず月経が不規則になり、頻発月経(月経周期が早まり、24日以下になること)や、稀発月経(周期が長くなり、39日以上になること)が起こります。
そして排卵がなくなると、プロゲステロンの分泌と高温期がなくなり、低温期が続きます(月経が来ていても高温期がない場合は無排卵と考えられます)。
それから1年間月経がなければ、閉経したと考えられます。
更年期は全ての女性にやってくるものですが、どんな症状がいつ出るかは個人差があり、これらの症状の原因が更年期かどうかというのは、年齢や症状だけでは判断できず、なかなか分かりづらいもの。
そのため、月経周期の把握や基礎体温の記録などによって、自分の体の状態を知っておくことが大切です。
基礎体温をつけていると、頻発月経時は高温期と低温期のサイクルや閉経が近づくと起こる高温期が極端に短くなる期間も把握でき、閉経が近づいたことに気づきやすく、早く対処もできるようになります。
更年期の対策は、まずは自分の体を知るところから。
今は管理するためのアプリなどもあるので、きっちり記録をつけて確認できるようにしましょう。
更年期障害で受診する際にも、持参するのがおすすめです。
今回は、女性ホルモンと更年期の症状についてお話ししました。
次回は、更年期を過ごしやすくするためのポイントについてお話ししたいと思います。
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]