現代版の栄養失調、「新型栄養失調」って何?新型栄養失調の原因と予防法

「栄養失調」と聞くと、戦後間もない頃の食糧難の時代のことで、飽食の現代には関係ないと思われる方もいるかもしれません。
食料が溢れるほどの現代ですが、新たな「栄養失調」の問題が浮上していことを知っていますか?
今回は、子どもからお年寄りまで、誰もが危険性のある現代版の栄養失調である「新型栄養失調」についてお話ししたいと思います。

カロリーが足りていても栄養不足? 新型栄養失調について

新型栄養失調とは、カロリーベースでは十分足りているのに、栄養ベースで見ると不足してしまい、心身に不調が起こっている状態のことを指します。
特に、ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足が懸念されています。
実際に30代女性の摂取量を確認してみると、食物繊維、ビタミンA・B1・B2・B6・C、カルシウム、マグネシウム、鉄が推奨量の80%程度しか摂取できていないことが分かります。
反対に、推奨量の5.5倍以上も摂取しているナトリウムも気になりますね。


しっかりご飯を食べているのに疲れやすい、風邪をひきやすい、やる気がでない、落ち込みやすいなどの不定愁訴を感じていらっしゃる方は、新型栄養失調を疑ってみてもいいかもしれません。

新型栄養失調が起こる原因としては、
●朝ごはんを食べないなどの欠食
●野菜や肉・魚嫌いなどの偏食
●自己流で無理なダイエット
●ファストフードや丼もの、麺類など栄養が偏りがちな外食
などが考えられています。
忙しいからといって、毎日の食事がなおざりになっていませんか?
食物繊維不足で起こる便秘や血糖値の乱高下、ビタミン類の不足による肌荒れにエネルギー代謝の悪化、肥満……栄養不足はさまざまなトラブルを引き起こします
食事は、飢えを満たすためだけのものではなく、私たちの体をつくるとても大切なもの。
自身の普段の食生活を一度しっかり振り返ってみましょう。

新型栄養失調にならないために

栄養バランスをとるために、1日30品目を目指している方、いませんか?
1日30品目を目標にすることは、実は昭和60年に厚生省(現厚生労働省)が『健康づくりのための食生活指針』にて報告したもの。
しかし30品目を取ることが目的となってしまい、カロリーがオーバーしてしまうことが多いという問題がありました。
そのため、平成12年に閣議決定された食生活指針では、30品目の言葉は削除され、「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と変更されたのです。
さらに、「調理法が偏らないようにしましょう」との記載もされるように。
これは、栄養素によっては調理法によって失活したり、吸収されやすくなったりするものがあるからです。
調理をする際は、栄養素を効率的に摂れるような工夫をしたいですね。
例えば、
・ビタミンCなど水溶性ビタミン:水に流出したり、熱で壊れたりしやすい
→加熱調理をする場合は時間を短めに、サラダなど生で食べる機会を設けると良い
・ビタミンAなど脂溶性ビタミン:油と一緒に摂ると吸収率が上がる
→油で炒める、ドレッシングにオイルを使う、肉など脂肪を含む食材と一緒に摂るとよい
・非ヘム鉄(野菜などに含まれる鉄分):体内への吸収効率が悪い
→吸収率をアップするため、酢やレモン汁と一緒に調理すると良い
などが考えられます。
いくら野菜をたくさん食べていても、全部を茹でしまうとビタミンCをしっかり摂ることは難しくなります。
ひとつの食卓にいろいろな調理法のものが並ぶことを目指しましょう!
また、しっかりと野菜から栄養を摂るためには、
●旬のものを選ぶ
旬の食べ物は栄養価も美味しさもぐっとアップします。
●新鮮なうちに食べる
冷蔵庫に入れておくうちに鮮度が落ち、どんどん栄養素は失われてしまいます。
などに気を付けることも大切です。

テレビのCMも、街へ出てお店を見ても、美味しそうなものだらけの現代。
そんななか、新たな懸念として生まれた「新型栄養失調」。
「安い! 早い! うまい!」の基準で選んでしまいがちな外食で食欲を満たす前に、もう一度自分たちの体をつくる栄養素について考えてみてはいかがでしょうか。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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