【抗酸化3】自分自身が発生源にも!?活性酸素で変わる私たちの体のおはなし
今回は、私たちの体内で活性酸素がどのように発生して、実際に私たちの体にどのような影響を与えるのか、お話ししたいと思います。
活性酸素の発生源
活性酸素の発生源について、「ミトコンドリア」によるものと「好中球」によるものの2種類をご紹介します。
以前に述べたとおり、わたしたちは酸素を使ってエネルギーをつくり出す好気性生物です。
この時、細胞の中で働いているのがミトコンドリアという器官です。
ミトコンドリアは、酸素を上手に使って、効率よくエネルギーをつくり出してくれます。ですが、このエネルギー産生時が、活性酸素の発生源ともなってしまうのです。
この時に発生する電子が酸素と結び付くと、スーパーオキサイド(superoxide:スーパーオキシド、超酸化物とも呼ばれる)が出来てしまいます。
このスーパーオキサイドが体内で反応すると過酸化水素ができ、過酸化水素が電子を吸収すると、最も攻撃性の高いヒドロキシラジカルとなるのです。
少し難しいですが、反応を図に表すとこのようになります。
呼吸をして生きる私たちにとっては、避けることのできない副作用ですね。
もう1つの発生源は・・・実は、私たちの体はわざわざ活性酸素をつくり出しています。
攻撃性の強い活性酸素をなぜ? と思われるかもしれませんが、その攻撃性を私たちの体は利用し役立てているのです。
血液の中に存在している白血球の約60%は好中球と呼ばれる食細胞です。
好中球は体内に細菌などが侵入すると、すぐさま捕獲し体内に取り込み(貪食といい)ます。
しかし、捕獲しただけでは細菌はまだ増殖しようとするため、殺菌してしまわなければなりません。
そこで好中球は酵素とブドウ糖を使ってスーパーオキサイドをつくり、細菌を攻撃・殺菌し、私たちの体を感染から守ってくれています。
このように、活性酸素も体に悪影響を与えているだけではないのです。
ですがストレスなどを受けると、交感神経が緊張し、好中球が増加して過剰に活性酸素を発生させてしまうということが分かっています。
当然、過剰に発生した活性酸素は、体にとって望ましいものではありません。
活性酸素が老化を引き起こす?!
活性酸素は発生と同時に体内の様々な細胞に攻撃をしかけます。
体内ではSOD(Super Oxide Dismutase:スーパーオキサイドを除去する体内の酵素)などの働きにより、活性酸素に対抗していますが、それを上回る量の活性酸素が出来てしまうと、細胞や、体の設計図ともいえるDNAはどんどん壊されてしまいます。
もちろん、私たちの体には細胞やDNAを修復する機能を持っています。
しかし! あまりに破壊された細胞の数が多いと、修復に手が回らなくなったり、修復時にどうしてもエラーが出たりして、完全に修復することが出来なくなってしまいます。
完全に修復されなかった部分や、そもそも修復すらできなかった部分が、毎日毎日積み重なっていくこと…これが、老化であるといわれています(老化のフリーラジカル説)。
もちろん、成人した私たちの体は毎日少しずつ老化していますが、活性酸素がたくさん発生すると、その速度が増してしまうのです。
下のグラフは、いろいろな霊長類の寿命とSODの活性を示したグラフですが、見事に正の相関があることが分かります。
ヒトは、霊長類の中で最もSOD活性が高く、最も長生きする生物なのです。
活性酸素が老化に深くかかわっていることがお分かり頂けるかと思います。
老化・・・女性なら、誰しもがなるべくは遅らせたいものですよね。
次回は、活性酸素が細胞を破壊すると、実際に、お肌や身体にはどのようなことが起こるのか、具体的にお話ししたいと思います。
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]