知ってる?美肌への近道は「基底膜」のケア!重要ポイントをおしえます!

シミやくすみ、シワやたるみのない輝かしい肌は、理想ですよね。
私達が実際に触れている肌=表皮(表皮の最外層の角層)
コラーゲンやヒアルロン酸で満たされている=真皮層
というのはご存知の方も多いと思いますが。
表皮と真皮を繋いでいる『基底膜』という組織があるのをご存知ですか?
今回は『基底膜』についてお話ししたいと思います。

基底膜の構造について

まずは、皮膚についてざっと復習したいと思います。
私達の皮膚は、大きく分けると、外側から私達の皮膚は、大きく分けると、外側から1.表皮 2.真皮 3.皮下組織の3つに。
さらに表皮は外側から1.角層 2.顆粒層 3.有棘層 4.基底層の4層に分けられています。

真皮層ではコラーゲン線維が組織の形状を保つ役割を担い、その間をエラスチン線維が縫うように走行し、皮膚に弾力を与えています。
その2つの線維の間を基質(ヒアルロン酸やプロテオグリカンがつくるゲル)が埋めています。
なお、線維芽細胞がコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などをつくり出しています。
真皮も外層から乳頭層・乳頭下層・網状層の3つに分かれていますが、表皮のように明確な境目はありません。
この表皮と真皮という全く異なった構造を繋いでいるのが基底膜です

基底膜の役割について

表皮と真皮を繋ぐ基底膜。
私たちの皮膚は、紫外線や乾燥などの環境的なストレスや、摩擦などの物理的ストレス、精神からくる内面的ストレスなど、常に多くのストレスにさらされています。
ですが、肌をつまんで表皮と真皮が剥がれるというようなことは通常起こりませんよね?
アンカリング複合体※1と呼ばれる特徴的な構造を持ちながら、わずか約0.1μm(なんと1/1,000万m!)という、とても薄い膜をした基底膜が、表皮と真皮という性質の異なる組織をくっつけ、肌を支えているのです。

基底膜はラミニン332※2 やⅦ型コラーゲン※3 によって構成され、基底細胞や真皮との間は強く結合し合っています。
また、真皮と表皮をつなぐという、接着剤的な役割以外にも、基底膜は重要な役割を担っています。
基底細胞と基底膜がきちんと結合した状態を保ち、基底膜が基底細胞の足場となることで、肌のターンオーバーがきちんと行われるようになります
他にも、真皮と表皮間の情報や物質の流れをコントーロールするという働きも担っています。
本当に薄い組織ですが、基底膜は美肌にとってとても重要なのです。
※1アンカリング複合体…アンカリングフィラメントとアンカリングフィブリルの結合によりつくられる、たんぱく質の会合体。表皮と真皮という異なる組織の結合に働き、皮膚の強度を維持している。
※2 ラミニン332…基底細胞と基底膜を結合しているアンカリングフィラメントの主要成分。ラミニン5やカリニンとも呼ばれていた。
※3 Ⅶ型コラーゲン…基底膜と真皮の結合を強固にしているアンカリングフィブリルの主要成分。

基底膜がダメージを受けるとどうなる?

肌にとって重要な基底膜。
特に紫外線により大きなダメージを受け、そのダメージは加齢とともに蓄積されるとの報告があります。
若く体の修復能力が高いうちはダメージを受けてもすぐに基底膜も修復されますが、20代後半頃から少しずつ修復能力が低下するため、修復に時間がかかったり、元通りに修復できなかったりしてしまいます。
基底膜がきちんと修復されないと、ターンオーバーやコラーゲンの生産と分解のバランスが乱れ、肌あれやシミ、シワ、たるみといったトラブルの原因に。
基底膜って、美肌にとってとても大切なのです。
しかし、表皮と真皮の間にある基底膜は、ケアをするのも容易ではありません。
どのようにお手入れをすれば良いのでしょうか。

基底膜ケアで最も大切なこととは?

前項で基底膜のダメージは加齢によって蓄積されると書きましたが、実は、それは頰など日光が多く当たる部分を中心に起こっています。
大腿部や腹部といった、普段は洋服などに覆われ、あまり日光の影響を受けない部位は、年齢を重ねてもわずかな構造変化があるだけで、基底膜も大きなダメージは受けていないことが報告されました(出典:J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn Vol.35,(1)p1-7 2001 )。
驚いたことに、80代の女性も、30代の女性も、お腹などの日光に当たらない部位の基底膜の構造には、大きな差はなかったのです。
つまり、基底膜のケアで最も大切になるのは、紫外線をきちんとケアすること
表皮より奥にある基底膜ケアを考える場合は、肌のより深くまで届くUV-A対策ができるもの(PAを確認しましょう)や、さらに深部まで届く近赤外線対策ができる日焼け止めを選ぶのがおすすめ。
帽子や日傘など日光を遮るアイテムも合わせて利用するとなお良いでしょう。
この時に大切なのは、SPFやPAの値の大きさだけにこだわって、それを使用しているからと安心しないこと。
日焼け止めは、特に日常使いの場合はSPFやPAの数値の大きさにこだわるよりも、
適量を塗布すること→使用量が少ない方が多いです!
こまめに塗りなおすこと→手や服による擦れ、汗や皮脂などで落ちてしまいます!
の2点をしっかり守って使用することが大切です。
また、最近では基底膜ケアについて考えられた化粧品やスキンケア、美容機器なども出てきています。
自分の肌に合うものを探してみてはいかがでしょうか。
美肌にとって大切な、とっても薄い基底膜。
ダメージが蓄積してしまわないよう、日頃からケアを怠らないようにしたいですね。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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