フェイスラインがもたついてきた。たるみの原因についてAPOLLO BEAUTY CLINIC院長鬼沢先生にお伺いしました。

フェイスラインがゆるんできた、頬がたるんできた、輪郭が変わった・・・。
さまざまな悩みを抱えている方は多と思いますが、どうして顔のたるみが起こるのかきちんと説明できる方は少ないのではないでしょうか。
今回は、顔のたるみが起こる原因について、APOLLO BEAUTY CLINIC院長の鬼沢正道先生にお話を伺いました。

あなたが悩みフェイスラインの悩み・・・それは「顔のたるみ」に問題が!

フェイスラインを綺麗に見せたいという願望は、きっと誰しも考えたことがあるかもしれません。
私は都内で美容クリニックを経営して5年になりますが、フェイスラインにお悩みの多くの方がご来院されます。
巷にはたるみ改善グッズやエステ商材が幅広く出回っており、インターネットやSNSで調べれば簡単にたるみ・フェイスライン改善に関する多くの情報を得ることができます。
しかし一言で「フェイスライン改善」といっても、そこにはさまざまなアプローチがあり、情報過多の状態になっています。
そもそもフェイスラインが整って見えないのは、「顔のたるみ」に問題があります。
ここで、顔のたるみの原因はなんなのか、そしてそれに対してどのような対策が必要なのかをしっかり分類すれば、これを読んでいる読者様の疑問や混乱は解決することでしょう。
今回は皆様が気になっている「顔のたるみ」について解説していこうと思います。

顔のたるみの3つの原因

まず顔のたるみの原因は大きく分けて3つあります。
順にご説明したいと思います。

1)皮膚や軟部組織の変化
もともと皮膚や軟部組織は密な構造をしており、特に真皮という層にコラーゲンやエラスチンといった、皮膚に弾力とハリを与えるタンパク質が豊富に存在しています。
このコラーゲンやエラスチンが少なくなってくると、皮膚は疎な構造になっていき、重力に逆らえなくなった結果、容易に弛みが生じ、フェイスラインの不整を引き起こすようになります。
コラーゲンやエラスチンが減少する原因は多々あります。
まずは「加齢」。
年齢を重ねるごとにコラーゲンやエラスチンを新しく生成する能力は徐々に低下します。
次に「紫外線」。
紫外線の長期曝露はタンパク質を変性させます。コラーゲンやエラスチンも例に漏れず紫外線により変性を起こします。
変性したこれらは、もはや肌の潤いや弾力には寄与しない、歪な形をしたタンパク質に成り下がってしまいます。
また喫煙や睡眠不足、栄養バランスの偏りなどもコラーゲン、エラスチンの変性や生合成の低下に大きく寄与しています。
真皮の更に奥には皮下脂肪が存在します。
急激なダイエットや過度な食事制限、必要のない脂肪吸引手術などで脂肪組織が少なくなると、顔のボリュームが減り、頬コケ、ほうれい線の出現、フェイスラインのもたつきの原因になります。
逆に皮下脂肪が多過ぎても、マリオネット線やブルドック線の原因になります。
皮下脂肪は多過ぎても少な過ぎてもフェイスラインに悪影響を及ぼすのです。

2)靱帯の変化
そもそも皮膚や表情筋群、顔の脂肪組織は、頭蓋骨から連なる「靱帯」という強力な組織に支えられています。
例えば、膝の「前十字靭帯」は、スポーツをしている人であれば馴染みのある言葉だと思います。
スポーツニュースなどでも、「靭帯損傷により今シーズンの復帰が難しい」などの言葉を耳にしたこともある方も多いのではないでしょうか。
靱帯というのは端的にいうと『骨と、その先にある組織をつなぐ強力な線維性支持組織』であり、前述の前十字靭帯であれば大腿骨(太もも)と脛骨(すね)をつなぐ靱帯なので、切れると膝関節が不安定になり、スポーツどころではなくなってしまうため、靭帯再建手術が必要になります。
いきなり膝の話になって恐縮ですが、もちろん顔にも靱帯があります。
前述したように、靱帯は『骨と、その先にある組織をつなぐ強力な線維性支持組織』です。
つまり顔の靱帯は、頭蓋骨から端を発して、その先の皮膚や表情筋群、顔の脂肪組織を支えています。
靱帯がピンと張っているからこそ、皮膚や筋肉、脂肪組織が重力に争って顔の弛みを防止しているのです。
しかし靱帯というのは、コラーゲンや弾性繊維を多く含んだ組織であり、これらも前述した通り経年変化や紫外線、生活習慣の乱れによって徐々に弛緩してきます。
これにより顔全体に弛みが生じ、フェイスラインの不整に繋がってきます。

3)筋・骨格系の変化
顔の表情筋群はしっかりと厚い筋肉から、紙のように非常に薄い筋肉まで幅広く見られます。
これら筋肉が皮膚をしっかり支えていますが、筋肉が緩むと、皮膚の支持構造が弛み、フェイスラインにも影響を及ぼします。
筋肉の衰えによる弛みは、表情が暗く見え、全体的に怠そうな印象を与えがちです。
頭蓋骨の形も顔の弛みにとって重要な要素の一つです。
そもそも骨というのは吸収されながら新しい骨を作るというスクラップ&ビルドの仕組みになっています。
身体の全ての骨が(骨量に換算すると)年に2回程度入れ替わっているくらい破壊と新生の頻度が高い組織であり、頭蓋骨も例外ではありません。
このスクラップ&ビルドの過程で、加齢とともに頭蓋骨は少しずつ形を変えます。
一般的には頬骨が大きく張り、こめかみと額が凹み、眼窩(眼球が収納されている部分)は径が大きくなり、梨状孔(鼻の部分にある穴)も広がりを見せ、顎も小さくなってきます。
その変化の程度は、遺伝的要素がかなり大きいと考えられます。
骨が形を変えるということは、そこに端を発している筋肉や靱帯にも影響を及ぼし、弛みが生じることになります。

このように、一言で「フェイスラインの弛み」と言っても、加齢や遺伝因子、環境因子など、さまざまな要素が複雑に交絡しているのです。
加齢は避けることのできない変化なので、抗うのはなかなか難しいことです。
しかしながら、前述した原因別に対策・治療をしていけば、弛みを解消したり遅らせることが可能で、綺麗なフェイスラインを保つことができます。
ぜひ、クリニックにご相談ください。

[執筆者]

鬼沢正道(おにざわ まさみち)先生
医師
1984年9月19日生
茨城県出身

経歴
2012年 日本大学医学部を卒業
同年 慶應義塾大学病院にて初期臨床研修を行う
2014年 慶應義塾大学整形外科学教室に入職
2016年 大手美容外科クリニックに勤務
2020年 APOLLO BEAUTY CLINICを開業
2023年 医療法人社団賢叡会設立、同法人理事長に就任
現在に至る

APOLLO BEAUTY CLINIC
https://apolloclinic.jp/

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