
大人と子どもの虫歯って違うの?特徴とケア方法について歯科医師石毛先生にお伺いしました
小さい頃からいわれているむし歯ケア。
実は、大人と子どもでは気を付けるべきむし歯が違って、それぞれケア方法も異なるの?!
大神宮デンタルクリニック院長の石毛俊作先生にお話を伺いました。
子どものむし歯の特徴
子どもの歯は生えて間もないと十分に硬くなっておらず、石灰化が完全に進むまでに数年かかるためむし歯になりやすくなっています。
お菓子やジュースなど糖分を多く含むものを好むこともむし歯のリスクを高める要因です。
子どものむし歯の8割以上で歯ブラシが届きにくい奥歯の溝(小窩裂溝)でむし歯が発生しているという報告があります(1)。
他に虫歯になりやすい部位として歯の根元の歯ぐきに近い部分(歯頚部)や歯と歯の間です。
したがって子どものむし歯予防には小窩裂溝を埋めるシーラントや歯質を強化するフッ化物の利用が特に重要になります。
市販のフッ化物配合歯みがき粉を継続的に使用したり、歯科医院でフッ化物塗布をしてもらいましょう。
また砂糖を含んだ飲食物をだらだらと食べないこと、寝る前の2時間以内の飲食を控えることや十分な歯みがきも大切です。
大人のむし歯の特徴
子どもと同様に歯の溝や歯と歯の間・歯ぐきに接する部分などから発生するむし歯に加え、根面う蝕もあります。
歯周病で歯ぐきが下がり露出した歯根に発生するむし歯です。
歯根表面は歯冠部と異なり硬いエナメル質で被われていないため、よりむし歯になりやすくなっています。
さらに、過去にむし歯治療を行った歯の修復物の下で起こるむし歯(二次う蝕)もあります。
修復物と歯の間に隙間ができると細菌が侵入し、修復物の下でむし歯をつくります。
神経を抜いてある歯の場合は痛みを感じないのでむし歯に気づかず、知らぬ間に歯がボロボロになっており抜歯に至るケースもあります。
むし歯を取り除いた後に歯の修復を行う場合は隙間ができにくい材質や細菌が付着しにくい材質を選択することが二次う蝕の予防には重要です。
大人のむし歯には、子どもと同様の理由でできるむし歯以外に、歯茎の露出によって起こるものや治療後の歯で起こるものなどがあり、実は子どもの頃よりも注意が必要といえます。
大人のむし歯ならではの原因をしっかり知って、ケアに努めましょう。
例え大人であっても、歯科医院へ行くことに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、口腔内に少しでも違和感があったら、早めに歯科医師にご相談ください。
参考文献
1.Burt BA, Eklund SA, Morgan KJ, et al. The effects of sugars intake and frequency of ingestion on dental caries increment in a three-year longitudinal study. J Dent Res. 1988 ;67:1422-9.
執筆者
石毛俊作先生
医療法人社団絆会 大神宮デンタルクリニック理事長
東北大学卒。
千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科で臨床研修終了後、大学院へ進学し医学博士号取得。
基幹病院の口腔外科勤務後、大神宮デンタルクリニックを開院。
「安心できる歯医者さん」を理念に、丁寧でわかりやすい説明を心がけ、患者様に沿った治療を提供しています。
専門である口腔外科のみならず一般診療も幅広く対応しております。
保有資格・所属学会
日本口腔外科学会 専門医
日本口腔科学会 認定医
日本障害者歯科学会 認定医
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科CADCAM学会
京セラインプラント臨床マイスター
厚生労働省臨床研修指導医
臨床歯科麻酔管理指導医
大神宮デンタルクリニック
https://www.daijingu-dental.com/