朝ごはん次第でお願いごとが叶うかも!?腸と心の不思議な関係
朝ごはんの内容次第で今日のあなたの寛容さが変わってしまうとしたら、どうしますか?
学校で、職場で、人間関係で。
人生には、大きな決断が必要な時が必ずありますよね。
悩んで、考え抜いて…そして、導き出した結論。
でも、実はその意思決定に、その日の朝食べたものが影響していたかもしれない…と聞いたら、あなたはどう思いますか?
あのときの決断は、朝ごはんのせいだったのかも?!
ドイツのリューベック大学のSoyoung park氏の予備的研究で、朝食の内容がその日の意思決定に大きな影響を与える可能性が示唆されました。
炭水化物が豊富な朝ご飯を食べたときと、たんぱく質が豊富な朝ご飯を食べたときとでは、「相手方の不公平な提案を受け入れるか否か」の決定率に大きな違いが出たのです。
A:高炭水化物・低たんぱく質(約炭水化物80%・たんぱく質10%)の朝食を摂る日
B:低炭水化物・高たんぱく質(約炭水化物50%・たんぱく質25%)の朝食を摂る日
A、Bの朝食を摂る日を設定し、「最後通牒ゲーム」をおこなったところ、Aの日は不公平な提案を拒否する可能性が高まり、Bの日は不公平な提案を受け入れる可能性が高まるという結果に。
※最後通牒ゲームとは・・・
報酬をどのように二人で分配するかを提案権・受諾者(拒否権を持つ)にわかれておこなうゲームで心理実験として用いられています。提案権を持つ方は、自分の取り分を多くしたいが、そうすると不公平な提案に受諾者が拒否する可能性があり、拒否権が行使された場合は二人ともに報酬が無くなるというもの。例えば、1,000円を二人で分けようとして、提案者が500円ずつと提案すれば受け入れられる可能性が高いのですが、自分に990円、相手に10円とすると拒否され、二人とも報酬を得られなくなる可能性が高くなります。これは、人には「自分の報酬を得るということ以上に、公正ではない相手を罰したいという欲求」があるためといわれています。(受諾すれば、たった10円とはいえもらえますが、拒否すると0円になってしまいますよね?)
意思決定に影響を与えているのは、アミノ酸の一種チロシン?
この実験の結果を生んだのは、アミノ酸の一種であるチロシンの血中濃度だといわれています。
低炭水化物メインの昼食を摂っていたときには、参加者の血液にチロシンが多く含まれていました。
チロシンはドーパミンという神経伝達物質の前駆体で、ドーパミンはやる気や充足感を感じさせてくれる脳内ホルモンです。このドーパミンの濃度の差が、不公平な提案を受け入れる寛容さや不寛容さを左右していたのではないかと考えられています。
自分が厳しい決断をしなければならない日や、逆に柔軟に物事を受け入れたい日。
それぞれのときに、どのような食事をすればよいか、普段から自分なりに把握しておくと、あなたの助けになってくれるかもしれません。
ちなみに、チロシンは鰹節や高野豆腐、チーズ、卵(黄身)などに多く含まれています。
また、ドーパミンは脂肪を摂取することでも放出されるので、両方が含まれるチーズは特に効果が高そうです。
頼みごとがあるときは、相手にチーズたっぷりのオムレツを朝ごはんにごちそうすれば、もしかするとあなたの有利に進められちゃうかも?!
自分の食べたものが自分の意思決定に影響を与えていたかもしれないなんて、ちょっと面白いですよね。
ほかにも、最近では、食べたものによって変化する腸内フローラも性格に何らかの影響を与えるといわれています。ヒトの精神状態に変化を与えることがある微生物は「サイコバイオティクス」と呼ばれ、さまざまな研究がされています。
第二の脳とも呼ばれる腸と、脳は密接に連携して私たちの体をコントロールしており、このような腸と脳の関係を「腸脳相関」といいます。
腸が消化吸収といった働きだけでなく、私たちの意思や性格にまで影響を与えているとは、驚きですね。
精神状態と腸の関係について考えてみると、緊張するとお腹が痛くなったり、トイレに行きたくなったり…というのは誰しも覚えがあるのではないでしょうか?
腸と心は、私たちが考える以上につながっているものなのです。
人生で、大事なことを決断しなければならない日…あなたはいったいどんな朝食を摂りたいと思いますか?
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]