腸活って何をすればいい??腸活で内面からキレイをアップ!「腸美人」を目指してみませんか?

あなたは「腸活」って言葉を聞いたことがありますか?
腸活とは、簡単にいうと『腸内環境を整える活動』のこと。
私たちの腸内にはさまざまな菌が住んでいて、その数は1,000種類以上で数にして600~1,000兆個、重量にすると1kg以上にもなります。
腸内に住む細菌は、菌種ごとに固まり、腸壁に隙間なくびっしりと張り付いているのですが、その様子が群生する植物の様だということで、腸内フローラ(flora=花畑)と呼ばれています。
腸活とはつまり、腸内フローラを整えることなのです。
腸内の細菌は大きく分けると3種類になります。

私たちの腸内では善玉菌と悪玉菌で常時縄張り争いをしているような状態で、腸内フローラのバランスは刻々と変化しています。
加齢による変化も確認されており、赤ちゃんのときには多く存在していた善玉菌も、60歳ごろになると1/100になるとの報告も。
また、腸内フローラは私たちの食生活に大きく影響されるため、腸内フローラのバランスを良い状態で維持するためには、何を食べるかはとても重要なのです。
では、どのようなものを食べると、腸内環境に良い影響を与えられるのでしょうか?

1.良い菌を摂ろう! プロバイオティクス:probiotics


プロバイオティクスとは、英国の微生物生態学者Fullerが1989年に定義したもので、『摂取したり体に塗布したりすることで、健康に有益な作用をもたらす生きた微生物』を指します。
プロバイオティクスを直接摂取することを目的とした機能性を謳う製品も市場では多くみられています。
善玉菌のすべてがプロバイオティクスとして認められているわけではありません。
プロバイオティクスとしての要件としては、安全性が高いこと、もともと腸内フローラとして存在すること、胃酸などに耐えて腸内に到達すること、腸内に住みつき増殖できることなどが求められます。
ヨーグルトサプリメント整腸剤のようにプロバイオティクスを経口摂取するものが多いのですが、座薬やクリームタイプなども存在します。
「お腹の調子を整える特定保健用食品」として認められているビフィズス菌カゼイ菌などは、実際に食べたり飲んだりしたことがある方も多いのではないでしょうか?
最近は免疫調整作用を持つプロバイオティクスについても報告されており、腸活ブームの中、ますます注目度が高まっています。

2.良い菌を育てよう! プレバイオティクス:prebiotics


プレバイオティクスとは、英国の微生物学者Gibsonによって1995年に報告されました(出典:J Nutr. 1995 Jun;125(6):1401-12)。
消化管上部で分解されず、大腸に住む有益な細菌の栄養源となり、大腸の腸内フローラのバランスを改善し、ヒトの健康の増進や維持に役立つ食品成分を指しています。
要するに、プロバイオティクスを育てるものがプレバイオティクスといえます。
代表的なプレバイオティクスとしては、オリゴ糖(キシロオリゴ糖やラクチュロース、フラクトオリゴ糖など)や食物繊維の一種(イヌリンやグルコマンナンなどの水溶性食物繊維やアラビノキシランなどの発酵性食物繊維)があります。
オリゴ糖は玉ねぎやゴボウ、にんにく、アスパラガス、ブロッコリー、アボカド、バナナなど多くの野菜や果物に含まれています。
水溶性食物繊維は昆布やわかめなどの海藻や果物、ダイコンやゴボウ、キャベツなどに含まれ、発酵性食物繊維は小麦ふすまや全粒粉、大麦、もち麦、豆類やイモ類、根菜類に含まれています。
いずれも、特に手に入りにくい食材ではなく、スーパーなどでも見かける食材ばかり。
プレバイオティクスを摂取するために、少し毎日の食事を見直してみましょう。
白米に麦を足してみる、お味噌汁にわかめを足してみる、副菜にゴボウなどの根菜を使ったものを選んでみるなど、今日からすぐに始められますね!

3.プロバイオティクスとプレバイオティクスの合体技! シンバイオティクス:synbiotics


そして、プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたものをシンバイオティクスといい、前述のGibsonにより、プレバイオティクスと同論文内にて提唱されました。
相乗効果が期待でき、より効果的に腸内環境を改善し、健康増進に役立つと考えられています。
免疫に対する効果や癌のリスクを下げる効果、腸内環境の改善などさまざまな効果が報告され、注目されています。
現在はシンバイオティクス療法として医療現場でも採用されており、術後の体調管理や免疫力向上など、さまざまな成果をあげています。
ビフィズス菌+オリゴ糖が含まれるヨーグルトなど、製品の形で販売されるシンバイオティクスもありますが、
・ヨーグルト(ビフィズス菌)+バナナやリンゴなどのフルーツ(オリゴ糖)+全粒粉シリアル(発酵性食物繊維)など
・お味噌汁(乳酸菌)+根菜(オリゴ糖・水溶性食物繊維)・海藻(水溶性食物繊維)
・納豆(納豆菌)+おくらやメカブ(水溶性食物繊維)
など相性のいい食べ合わせがたくさんありますので、毎日の食事で意識して食べるようにしましょう。

4.死んだ菌も役立つ?! バイオジェニックス:biogenics

日本の微生物学者光岡知足が1997年に提唱した『バイオジェニックス』もあります。
直接、あるいは腸内フローラを介して免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍作用、抗血栓、造血作用などの体調調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御などに働く食品成分を指します。
生理活性ペプチドや植物フラボノイド、乳酸菌生産物質、乳酸菌の死菌などがバイオジェニックスとされ、腸内フローラのバランス改善に働くと同時に私たちの体に直接作用し、さまざまな効果をもたらすと考えられます。
生きた菌を摂取するのはプロバイオティクスですが、死菌も生態に作用し、免疫賦活作用などの健康維持効果があるというのはとても面白いですよね。
プロバイオティクスやプレバイオティクスは腸内フローラを改善することで間接的に疾病や健康に働きかけるものですが、バイオジェニックスは腸内フローラを改善させるだけでなく、体に直接働きかけ、効果を発揮するというメリットがあると考えられています。

いかがでしたか?
一口に「腸活」といっても、腸内フローラを整えるにはさまざまな方法があるのですね。
どれもそんなに難しくはないので、日々の生活の中で腸活を意識して取り入れてみましょう。
腸内フローラのバランスを整えると、便通やお腹の調子が良くなるだけではありません。
免疫力の向上や生活習慣病に対する効果など、多くのメリットが報告されています。
腸内フローラと健康に関しては、ビッグデータの解析が開始されるなど、大規模な研究が進んでおり、注目度の高さがうかがえます。
また、「肌は腸の鏡」ともいわれるとおり、腸の状態が良いと肌状態の向上も。
腸をキレイに整え、「超美人」ならぬ「腸美人」を目指してみませんか?

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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