寒さなどが原因で、冬はどうしても気分が沈みがちに。そんな時は太陽の光を浴びてみて!
寒さなどが原因で、冬はどうしても気分が沈みがちに。
こんな季節の乗り越え方について、株式会社H.N.Y.の代表でメンタルカウンセラーとしての経験をもつ紫関奈保美さんにお話を伺いました。
冬季うつ病かも、と思ったら
冬季うつ病は、睡眠時間が長くなる・食欲が増するといった症状が出やすくなるといわれています。
例えば、冬の間、朝起きるのがとても辛くなり、日中にも眠気を感じることが多くなる、また、チョコレートなどの甘いもの、菓子パンなどの炭水化物食品に対する食欲が非常に強くなる、といった症状です。加えて、運動量が低下しがちであるなため、太りやすくなります。
冬季うつ病は季節性のもので、冬以外の季節は健康な状態である人が多いです。また、20代くらいの比較的若い女性が罹りやすいといわれています。
冬季うつ病の発症は、日照時間と深く関係していると考えられています。
人間は、朝起きて明るい太陽の光を浴びると目から脳に信号が伝わり、脳内で働く神経伝達物質のひとつ「セロトニン」の合成が活発になります。すると、「メラトニン」という睡眠に関係するホルモンの分泌が抑制され、体内時計が調整されます。
ところが、十分に太陽の光を浴びることができないと、「セロトニン」の合成が促されず脳の活動が低下し、「メラトニン」が正常に分泌されなくなり、体内時計が狂います。
こうして、睡眠リズムが乱れ、疲れやすい、食欲が抑えられない、気力が落ち込む、といった症状が現れやすくなるという仕組みです。
冬季うつ病を改善するには??
日照時間の短さが冬季うつ病の原因であると考えられています。
実際に、緯度が高く冬の日照時間が極端に少ない北欧では、冬季うつ病は一般的な症状としてよく知られています。
健康づくりのために日常生活で行っていることを少し意識することで、冬季うつ病は予防・改善することができます。
朝起きて、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされます。
太陽の光を浴びることが難しい場合は、部屋の照明を明るくするなどして目から光を取り込み、セロトニンとメラトニンの活動を調整しましょう。
セロトニンは”幸せホルモン”とも呼ばれており、体内で非常に重要な働きをする三大神経伝達物質のひとつとなっています。
メラトニンはセロトニンを元に合成されるホルモンで、サーカディアンリズム(概日リズム)や季節のリズムを調節する作用を持っています。
セロトニンが不足すると、メラトニンも上手に働かなくなってしまいます。
セロトニンは「トリプトファン」を原料につくられます。しかし、必須アミノ酸であるトリプトファンは人間の体内ではつくり出すことができないため、食事で摂取することになります。
トリプトファンは、乳製品やレバー、大豆製品に多く含まれています。いずれも身近な食材ですので、積極的に摂取することをおすすめします。
さらに、セロトニンの合成には、ビタミンB6・マグネシウム・ナイアシンなどが必要となります。トリプトファンと合成に必要な食材を使用した食事メニューを考え、いつもの食事に追加してみましょう。
ちなみにビタミンB6は基本的には日々の食事の中で補えるものなので特に意識をして摂取する必要はありません。マグネシウムはわかめなどの海藻類、ナイアシンはたらこやレバー、鶏むね肉などに多く含まれています。
適度な運動もうつ症状に良いことが報告されています。
また、屋外で行える運動があれば、日光にあたることもできます。
晴天時のウォーキングは特にお勧めです。外で運動する機会を取ることが難しい人は、家事や部屋の片付けで積極的に体を動かすなど、日常的にできることから始めてみましょう。
[執筆者]
紫関奈保美
[プロフィール]
大手化粧品メーカー研究所に勤め、さまざまな製品の開発に携わりながら、形成外科のリハビリチームへの参加やボストンへの留学などを経てさまざまな経験を積み、同メーカーの国際部にてアジア圏におけるカウンセラー・美容技術の教育を担当。
化粧品製品開発並びにデザインからコンサルまで、美容健康業界に44年携わり、美容師としての国家資格も有する美容のプロ。
現在は株式会社H.N.Y.の代表取締役として、化粧品の開発や美容関連のスクール事業の展開などに従事している。